★前回の続き・・・。
2019 年 3 月 22 日、株式会社ゼンリンの株価が暴落した。
言わずと知れた、地図情報の調査・制作・販売を行う日本国内最大手の地図情報会社である。
こんなアイコンの会社と言えばわかるだろうか?
何故、ゼンリン株が暴落したのかというと・・・。
地図を検索する際、“ Google マップ”をスマートフォンで利用している人が多いと思う。
これは、日本だけでなく、海外でも多くの人々が利用している。
この “ Google マップ”の日本の地図が、 前日 21 日夜頃に、突然変更され、これまで同マップ上に記載されていたZENRINの名前が削除されたのである。
21 日以前・・・地図データ©2019 Google、ZENRIN 日本
21 日以降・・・地図データ©2019 Google 日本
このことにより、ゼンリンと Google との契約が解除されたのではないかという憶測が株式市場に広がり、翌 22 日の暴落に繋がるのである。
22 日のゼンリン株は一時前営業日比 17% 安の 2,457 円をつけ、終値は 2,473 円と、16% の下落率は、同社が東京証券取引所に上場した 1996 年以降で最大の下落率となった。
この件に関して、ゼンリンの広報担当は、 22 日時点で Google マップから自社社名が消えている事実を認めた上で、契約状況の詳細についてはコメントを控えるとし、グーグルも同様に回答を控えるとしている。
この日を遡ること 2 週間程前、 Google 日本法人は 6 日のブログで、今後数週間以内に新しい Google マップの提供を開始することを明らかにしていたそうだ。
Google とゼンリンの協業は、 2005 年 7 月以降、米 Google 社向けに地図情報の提供を開始した時点からの長きにわたるパートナーのはずだったようだ。
この突然の地図変更によって、各所でイレギュラーが発生した。
そして、今の時代、『Google マップの劣化』という話題で SNS も賑わった。
10 例ほど紹介しよう!
★ 航空写真で山の陰になってる部分を誤認識して謎の湖ができてる。
★ヤフーマップ(左)と、ゼンリンとの契約を解除したGoogle Map(右)を比較。細い道が驚くほどごっそり省略されている。(場所は兵庫県たつの市室津)
★ グーグルマップが、おおさか東線の南吹田を、京都線の吹田と繋げてしまう。孤立する南吹田。
★ ココはどこの砂漠かな??朝起きたら砂漠化してた!
★ グーグルマップがゼンリンを切って起こった弊害→埼玉にある新しき村が一日で宮崎に移転した。
★ グーグルマップがおかしいって聞いてイオン見たら道路だらけで爆笑
★ グーグルマップが自社製地図になったら17桟橋が消えた
★ 北浦和公園に武蔵野線が通ってる!笑
★ グーグルマップを見たら、紀伊半島の山間で分断されているはずの国道371号が、何故かう回路の玉の川林道が国道指定されていて、繋がってしまってる事に気づいてしまいました・・・
★ 東京都のJR神田駅周辺地図、線路の数が物凄いことになっている
この他にも・・・。
「災害などで長期不通となっている路線が削除されている?」
「バス停が消えた?」
「林道や細い道が表示されない!」
「駐車場が道路になっている!」
「羽田空港の滑走路が太い道路になっている!」
「道路が太った(笑)」
「検索すると駐車場を通れと指示される?」
「自宅がいつの間にか美容院になっていた!」
「災害での運休区間の路線が廃線扱いを受けてる・・・。」
等々の声が上がっていた。
前述したように Google マップは世界中で利用されている。
アメリカ合衆国、イギリス、フランスなど大半の地域では Google が測量したデータや Google Map Maker にてユーザーが作成したデータを利用して地図が作られている。
グーグルカー(ストリートビュー撮影車)を見た人はいないだろうか?
私は、大阪地震直後に私の住んでいる地域目にして、本当に走っているんだと感心したことを覚えている・・・(笑)。
あるいは、こんなものもあるらしい・・・。
これは、富士山頂で撮影されたものらしい・・・!
グーグルマン・・・?
そして、日本のように、その国に根付いた他社のデータを使用して地図の作成を行う場合もあるそうだ。
Google が世界戦略をする上で、いずれの国でもあっという間に自社運用が出来るようになったらしいのだが、日本だけはそうはいかなったらしい。
その一因がゼンリンである。
ゼンリンでとは、どのような会社なのか?
社名の由来は、隣近所や隣国など、近隣と親しくするという意味の“善隣友好”にちなんでつけられたという。
創業者の大迫正冨氏の「平和でなければ地図作りはできない」という思いが込められた社名なのだそうだ。
元々、地図データは軍事的にも重要である。
現に、カーナビで使われる GPS ( Global Positioning System :全地球測位システム)も、軍事目的で開発され、カーナビ導入初期は、正確な位置を示さず、わざとずらして示されたりしていたという話もある。
その他にも、隣の大国では、現在も公開していない・・・((´д`)) ぶるぶる・・・.
ゼンリンでは、地図をどのようにして作っているのか?
ナント、調査員が足で地道に調査して作られるらしい・・・(^д^)スゲー!
全国 70 拠点に所属する約 1,000 名が、夏は汗をかきかき、冬は寒さに耐え、調査員が靴底をすり減らして、大通りはもちろん、路地裏までも、地道に歩いてローラー調査を行っているという・・・!
デジタルが良いのか(?)、アナログが良いのか(?)は別として、ゼンリンのこの日々弛まぬ努力によって、 Google マップの侵略を阻んでいたのは事実のようだ。
しかし、Google マップは、ゼンリンと決別して、独自の道を歩むことを選択できるまでに技術が進んだようだ。
それが AI による地図作りだ。
Google 公式 Blog では、以下のように発表されている。
「地域のユーザーからのフィードバックというのは、とても大事なポイントです。 Google はテクノロジーを得意としますが、それぞれの場所を一番熟知している各地のユーザーから提供される情報は地図を作る上で欠かすことができません。」
つまり、地図の不具合は、ユーザーからのフィードバックで、地図を改善していくというのだろう。
また、Google マップには「ローカルガイド」という機能があり、希望するユーザーが参加できる取り組みで、Google マップのスポットに口コミや写真を投稿して、「ポイント」を獲得でき、ポイントを貯めると上がるレベル制度が取り入れられているそうだ。
例えば、このローカルガイドに参加し、レストランなどに立ち寄ったとする・・・。
そうすると、 Google 社から自動的に「○○レストランについての情報募集」といったアプリ通知が届き、○×式で手軽に情報提供し、ローカルガイドのポイントを得られるというのだ・・・。
つまり、多くの人が、ポイント(達成感)という見返りを求めて、“今いるお店の情報を提供する”ということになるのだろう・・・。
Google 側から見れば、コストを掛けずに多くの情報を集めることができるのだろうが・・・。
利用する側から見れば、個人の情報をただで提供し、喜んで監視されているだけのものではないだろうか?
少し長くなったので次回へ・・・。