「真実の口」1,474 新型コロナウィルス・・・⑭

前回の続き・・・。

2 月 28 日、鈴木直道北海道知事が、道内で新型コロナウィルスの感染拡大が続いていることを受け、「緊急事態宣言」を打ち出した。

北海道の感染者数(2月28日時点)

鈴木知事は記者会見で、危機的な状況にある中で、この週末 2 日間は外出を控えてほしい。大切な命と健康は何事にもかえられない。」と道民に呼びかけた。

同日、和歌山で、新型コロナウィルスに関連した国内 5 例目となる死亡症例の報告があった。

【概要・国内死亡 5 例目】

●年代: 70 代(国内 31 例目の感染者)
●性別:男性
●居住地:和歌山県
●死因:新型コロナウィルス肺炎、急性腎障害
●経過:
・ 2 月 1 日、感冒症状、嘔吐出現。
・ 2 月 5 日、発熱。
・ 2 月 6 日、県内医療機関 A を受診、入院。
・ 2 月 13 日、県内医療機関 B へ転院。気管内挿管、人工呼吸器管理開始。 PCR 検査で陽性判明。
・ 2 月 21 日、 PCR 検査 1 回目陰性。
・ 2 月 24 日、 PVR 検査 2 回目陰性。
・ 2 月 26 日、呼吸状態悪化。
・ 2 月 28 日、死亡確認。

同日、横浜港で検疫中のクルーズ船に関連した患者の死亡が 2 例確認された。

【概要 5 例目】
●年代: 70 代
●性別:女性
●居住地:東京都
●基礎疾患:高血圧、糖尿病
●死因:肺炎
●経過:
・ 2 月 3 日、横浜港検疫錨地にて検疫開始。
・ 2 月 5 日、クルーズ船が横浜に帰港。有症者として PCR 検査を実施。
・ 2 月 6 日、新型コロナウィルス陽性が判明。
・ 2 月 7 日、医療機関に搬送し、感染症法に基づく入院となった。
・ 2 月 12 日、画像検査で肺炎の診断。
・ 2 月 19 日、呼吸状態の悪化あり、人工呼吸管理を開始。
・ 2 月 28 日、死亡確認。

【概要患者 6 例目】
●性別:男性
●国籍:英国

同日、新型コロナウィルス感染症への対応として、令和 2 年 2 月 14 日より雇用調整助成金について特例措置が講じられていたが、特例措置の対象となる事業主の範囲が拡大されることが決定。

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1. 特例措置の対象事業主の範囲の拡大

・特例措置の対象となる事業主を、新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主とします。

[現行の対象事業主の範囲]
日本・中国間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の一定割合( 10% )以上である事業主

[拡大後の対象事業主の範囲]
新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主
※これにより、日本人観光客の減少の影響を受ける観光関連産業や、部品の調達・供給等の停滞の影響を受ける製造業なども幅広く特例措置の対象となります。

2. 特例措置の内容

・休業等の初日が、令和 2 年 1 月 24 日から令和 2 年 7 月 23 日までの場合に適用します。

1. 業等計画届の事後提出を可能とします。

・通常、助成対象となる休業等を行うにあたり、事前に計画届の提出が必要ですが、令和 2 年 1 月 24 日以降に初回の休業等がある計画届については、令和 2 年 5 月 31 日までに提出すれば、休業等の前に提出されたものとします。

2. 生産指標の確認対象期間を 3 ケ月から 1 ケ月に短縮します。

・最近 1 ケ月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ 10% 以上減少していれば、生産指標の要件を満たします。

3. 最近 3 ケ月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象とします。

・通常、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近 3 ケ月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は助成対象となりませんが、その要件を撤廃します。

4. 事業所設置後 1 年未満の事業主についても助成対象とします。

・令和 2 年 1 月 24 日時点で事業所設置後 1 年未満の事業主については、生産指標を令和元年 12 月の指標と比較します。

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2 月 29 日、安倍総理大臣は、国内で感染が広がる新型コロナウィルスへの政府としての対応について、官邸で会見を開いた。

賛否両論だと思うが、一国の首相が決断した内容を折角なので全文転載する。

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【安倍総理冒頭発言】

新型コロナウィルスが世界全体に広がりつつあります。中国での感染の広がりに続き、韓国やイタリアなどでも感染者が急増しています。我が国では、そこまでの拡大傾向にはないものの、連日、感染者が確認される状況です。

そして、現状においては、感染の拡大のスピードを抑制することは可能である。これが、今週発表された専門家の皆さんの見解であります。そのためには、これから 1 、 2 週間が、急速な拡大に進むか、終息できるかの瀬戸際となる。こうした専門家の皆さんの意見を踏まえれば、今からの 2 週間程度、国内の感染拡大を防止するため、あらゆる手を尽くすべきである。そのように判断いたしました。

集団による感染をいかに防ぐかが極めて重要です。大規模感染のリスクを回避するため、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントについては、中止、延期又は規模縮小などの対応を要請いたします。スポーツジムやビュッフェスタイルの会食で感染の拡大が見られる事例がありました。換気が悪く、密集した場所や不特定多数の人が接触するおそれが高い場所、形態での活動も当面控えていただくとともに、事業者の方々には、感染防止のための十分な措置を求めたいと思います。

そして、全国すべての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週月曜日から春休みに入るまで、臨時休業を行うよう要請いたしました。子供たちにとって 3 月は学年の最後、卒業前、進学前の大切な時期です。学年を共に過ごした友達との思い出をつくるこの時期に、学校を休みとする措置を講じるのは断腸の思いです。卒業式については、感染防止のための措置を講じ、必要最小限の人数に限って開催するなど、万全の対応の下、実施していただきたいと考えています。

学校が休みとなることで、親御さんには御負担をおかけいたします。とりわけ、小さなお子さんをお持ちの御家庭の皆さんには、本当に大変な御負担をおかけすることとなります。それでもなお、何よりも子供たちの健康、安全を第一に、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まる、そして、同じ空間を共にすることによる感染リスクに備えなければならない。どうか御理解をいただきますようにお願いいたします。

万が一にも、学校において子供たちへの集団感染のような事態を起こしてはならない。そうした思いの下に、今回の急な対応に全力を尽くしてくださっている自治体や教育現場の皆さんにも感謝申し上げます。

企業の皆さんには、お子さんのおられる従業員の方々への配慮をお願いいたします。特に、日頃から人手不足に直面している中小・小規模事業者の皆さん、医療関係者、介護や保育の関係者の皆さんなどに大変な負担をおかけいたします。

その軽減に向けて、小さいお子さんをお預かりできるよう、できる限りの対策を講じます。学童保育において、春休みと同様の対応を採ることなど、各自治体における様々な取組を国として全力で支援する考えです。保護者の皆さんの休職に伴う所得の減少にも、新しい助成金制度を創設することで、正規・非正規を問わず、しっかりと手当てしてまいります。

私が決断した以上、私の責任において、様々な課題に万全の対応を採る決意であります。 2,700 億円を超える今年度予備費を活用し、第2弾となる緊急対応策を今後 10 日程度のうちに速やかに取りまとめます。

新型コロナウィルスの感染が世界的な広がりを見せる中で、海外からの観光客の減少に加え、工場の製造ラインを維持できるのかといった不安も拡大しています。業種に限ることなく雇用調整助成金を活用し、特例的に 1 月まで遡って支援を実施します。

中小・小規模事業者の皆さんが直面する課題について、その声を直接伺う仕組みをつくり、強力な資金繰り支援を始め、地域経済に与える影響にしっかりと対策を講じます。

そして、この機に、感染拡大防止の観点からも、テレワークなど、 IT 技術を活用しながら、社会のあらゆる分野で遠隔対応を進め、未来を先取りする変革を一気に進めます。

各地の主要な株式市場において、軒並み株価が大きく下落するなど、世界経済の動向も十分に注視しながら、そのインパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済財政政策を行ってまいります。

これまでに国内で新型コロナウィルス感染症を発症し、お亡くなりになった方は 5 名です。ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の方からも 6 名がお亡くなりになられました。心より御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。

多くの国民の皆さんが、今回のウィルスについて様々な不安をお持ちであると思います。ただ、クルーズ船も含め、これまで日本国内で陽性と判定された方々のうち 140 名を超える皆さんが既に回復し、退院しておられます。このウィルスに感染しても、多くは軽症であるとともに、治癒する例も多い。これが専門家の皆さんの評価です。

その上で、季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる事例が報告されており、特に高齢者、基礎疾患を有する方については、重症化するリスクが高いと考えられています。そのため、政府としては、感染拡大の防止に引き続き全力を挙げる一方、重症者の発生を最小限に食い止めるべく、盤石な検査体制、医療体制を構築していく考えであります。

PCR 検査については、国立感染症研究所における対応に加え、先月来、全国にある地方衛生研究所、民間の検査機関、大学に対して試薬などの検査キットを積極的に提供し、その能力構築に努めてまいりました。その結果、現時点で、全国で 1 日当たり 4,000 件を超える検査能力があります。現在も、地方にある民間検査機関、大学に試薬などを提供し、一層の検査能力の拡大に努めてまいります。

PCR 検査については、検査がしたくても保健所で断られ、やってもらえないという御指摘をたくさん頂いております。保健所は都道府県や政令市の組織ですが、政府として、医師の判断において感染を疑う場合には検査を行うよう、これまでも繰り返し依頼を行ってきたところです。また、その地域の検査能力に限界があるために断られるといったことが断じてないように、広域融通によって必要な検査が各地域で確実に実施できるよう、国において仲介を行います。

来週中に、 PCR 検査に医療保険を適用いたします。これにより、保健所を経由することなく民間の検査機関に、直接、検査依頼を行うことが可能となります。民間検査機関の検査能力も大幅に増強されます。

加えて、現在、検査の中で 2 、 3 時間を要しているウィルスを検出するための作業を 15 分程度に短縮できる新しい簡易検査機器の開発を進めています。この 1 ケ月間、試薬の開発、精度向上などに取り組んできたところであり、 3 月中の利用開始を目指します。

こうした取組を総動員することで、かかりつけ医など、身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんが PCE 検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします。

重症化予防の観点からは、治療のために必要な病床の確保も重要です。全国で 2,000 を超える感染症病床がありますが、緊急時には感染症指定医療機関の病床を最大限動員し、 5,000 床を超える病床を確保いたします。病院への支援を行い、現時点で空いているベッドをすべて維持してもらうことで、患者が大幅に増加する事態にも万全の医療提供体制を整えます。

今回のウィルスには、現時点でインフルエンザのように有効性が確認された治療薬がない。この点が世界的な不安の最大の原因となっています。そのため、現在、我が国では、いわゆるアビガンを含む 3 つの薬について、新型コロナウィルスに有効性があるかどうかを見極めるため、観察研究としての患者への投与を既にスタートしています。いずれも新型コロナウィルスを用いた基礎研究では既に一定の有効性が認められていることから、実際の患者の皆さんにその同意を得て使用することで治療薬の早期開発につなげてまいります。

危機にあっては、常に最悪の事態を想定し、あらかじめ備えることが重要です。北海道では鈴木知事が緊急事態宣言を発出し、この週末、外出を控えるよう、道民への呼びかけを行っています。国も雇用調整助成金の特例を設け、非正規の方も含めて、休業となる方々への支援をしっかりと行ってまいります。必要となる物資の提供など、あらゆる協力を惜しまない考えであります。

更に今後、一定の地域において急激な感染の拡大などが見られた場合にどのような措置を採るか。その具体化はもはや待ったなしです。既に政府として基本方針をお示ししているところでありますが、あらゆる可能性を想定し、国民生活への影響を最小とするために、立法措置を早急に進めてまいります。今後とも国民の健康と安全を守ることを何よりも最優先に、必要な措置は躊躇なく実施する考えであります。

今回のウィルスについては、いまだ未知の部分がたくさんあります。よく見えない、よく分からない敵との闘いは容易なものではありません。率直に申し上げて、政府の力だけでこの闘いに勝利を収めることはできません。最終的な終息に向けては、医療機関、御家庭、企業、自治体を始め、一人一人の国民の皆さんの御理解と御協力が欠かせません。

皆さんの暮らしに直結する決断には、当然、様々な御意見、御批判が伴います。内閣総理大臣として、そうした声に真摯に耳を傾けるべきは当然です。しかし、それでもなお内閣総理大臣として国民の命と暮らしを守る。その大きな責任を果たすため、これからも先頭に立って、為すべきことは決断していく。その決意であります。

終息への道のりは予断を許しません。険しく厳しい闘いが続いていく。そのことも覚悟しなければなりません。本当に大変な御苦労を国民の皆様にはおかけしますが、改めてお一人お一人の御協力を、深く深くお願いする次第であります。しかし、私たちは必ず乗り越えることができる。そう確信しています。

最後となりましたが、ダイヤモンド・プリンセス号の現場対応を含め、先月以来、ウィルスとの闘いの最前線で頑張ってくださっている医療関係者の皆さんを始め、すべての関係者の皆さんの御努力に心より敬意を表するとともに、これからもこの闘いに御協力を賜りますようにお願いを申し上げる次第であります。

私からは以上であります。

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次回へ・・・。