「真実の口」1,576 人口動態統計【中編】

前回の続き・・・。

前回、人口動態統計から、我が国の将来を少し覗いてみた。

今回は、コロナ禍の中で起きた変化を見てみたいと思う。

人口動態統計には、速報と月報(概数)があり、速報は調査月の 2 カ月後に、月報(概数)は約 5 カ月後に公表されている旨はお伝えした。

9 月 5 日、厚生労働省より、人口動態統計速報令和 2 年 7 月分が公表された。

人口動態統計速報令和 2 年 7 月分

人口動態統計2020-7月

これが表紙になるのだが、このグラフから順序を変えて紐解いてみる。

赤線が本年度、細い線が前年度なので、 3カ年を比較することが出来るようにする。

まず、婚姻件数・・・。

婚姻件数2020-7月

婚姻件数2019

そして、今年は、新型コロナの感染初期、 2 月には、先行きの不安からか急に婚姻件数が増えている。

そして、感染拡大に伴い急減し、 3 万組台で推移ているのが分かる。

2019 年の『令和婚』の高さは目を見張るものがある(笑)。

ここ数年を見てみると、各月 4 万組~ 6 万組で推移しているようだ。

次に、離婚・・・。

離婚件数2020-7月

離婚件数2019

『コロナ離婚』という言葉が流行したが、グラフを見ると、現実感を覚える・・・( ̄▽ ̄;)アハハ…

テレワークの普及が加速し、その結果、夫婦が家で長時間共に過ごすことで、夫婦関係が「過密」になり、夫婦間で性格や価値観の不一致が表面化して離婚・・・。

配偶者が新型コロナウィルスの感染に対して神経質になりすぎてしまい、夫婦関係の悪化し離婚・・・。

新型コロナウィルスに対する危機意識の違いから離婚・・・。

緊急事態宣言下、外出自粛に伴い、仕事や学校が休みになり、家族が一日中在宅しているという状況の下、家事や子育ての負担が増加し、非協力的な配偶者に不満がたまり離婚・・・。

その理由は、様々だろうが、コロナが我々の生活に変化を与えたことは事実である。

厚生労働省の資料によると、離婚が最も多いのは、毎年、 3 月、続いて 4 月の順になっているのだが、新年度を迎え、お互い心機一転を考えてのことなのだろう・・・。

しかし、今年は、例年通り、 3 月に急増(今年 3 月の離婚件数は 23,514 件と昨年同月の 23,039 件とほぼ同水準)した後、 5 月を底に、徐々に増えてきている。

こんなデータもある・・・。

離婚を考えたことがある夫婦

まだまだ増えるのだろうか?

次に、死産数・・・。

死産数2020-7月

死産数に関しては、コロナの影響は無いようだ・・・。

次に、出生数・・・。

出生数2020-7月

出生数2019

出生数に関しても、コロナの影響は無いようだ・・・。

一番気がかりな死亡数を見てみよう・・・!

死亡数2020-7月

死亡数2019

グラフの曲線を見ると、冬場に死亡数が増え、夏場に減ると言うところだろうか?

全体の流れを見ると、大差が無いように見える。

しかし、次の『当月を含む過去一年間の自然増減数』を見てみると、微妙な違いに気づくはずだ。

自然増減数2020-7月自然減増減数2019

昨年、一昨年は、当然ことだが、右肩下がりになっていたのだが、今年に入り、横ばいになっているのだ・・・?

厚労省の人口動態調査によると、 2019 年の死亡者数は全国で 1,381,093 人。

統計によると、 2009 年に死亡者数が前年に比べ減少したのを最後に、ここ数年は毎年約 17,000 ~ 33,000 人のペースで増え続けているようだ。

2010 年・・・ 1,197,014 人

2011 年・・・ 1,253,068 人(前年比: +56,059 人)

2012 年・・・ 1,256,359 人(前年比: +3,291 人)

2013 年・・・ 1,268,438 人(前年比: +12,079 人)

2014 年・・・ 1,273,025 人(前年比: +4,587 人)

2015 年・・・ 1,290,510 人(前年比: +17,485 人)

2016 年・・・ 1,308,158 人(前年比: +17,648 人)

2017 年・・・ 1,340,567 人(前年比: +32,409 人)

2018 年・・・ 1,362,470 人(前年比: +21,903 人)

2019 年・・・ 1,380,198 人(前年比: +18,628 人)

2011 年は東日本大震災があったので、当然、その数字が乗っかりかなり多くなっている。

今年を具体的に見てみると・・・。

今年 5 月の月報によると、同月までの死亡者数は前年比で 13,851 人減っているようだ。

速報値では 7 月までの死亡者数は 795,807 人と、 2019 年の 813,805 人に比べ 17,998 人減少していることになる。

 

 

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

 

2020

 132,622

 117,010

 119,161

 113,362

 108,380

 100,423

 104,849

死亡数

2019

 141,292

 119,039

 119,329

 112,939

 112,258

 102,354

 106,594

 

2018

 138,710

 123,734

 121,818

 109,711

 107,914

 99,362

 107,452

確かに、 3 年を比してみると、各月、微減しているようだ・・・?

新型コロナウィルスの予防対策が、何らかの影響を与えたのだろうか・・・??

次回へ・・・。