「真実の口」1,792 新型コロナウィルス・・・283

前回の続き・・・。

前回は、 12 月 24 日(金)に開催された合同部会の“アナフィラキシー事例”を取り上げたが、今回は、“心筋炎”、“心膜炎”、及び“血小板減少症を伴う血栓症( TTS )”について寄稿する。

〇 対象期間( 12 月 5 日)までに、ファイザー社ワクチンについて、 274 件( 100 万回接種あたり 1.7 件)、武田/モデルナ社ワクチンについて 116 件( 100 万回接種あたり 0.7 件)の報告があった。

〇 アストラゼネカ社ワクチンについて疑い報告は無かった( 112,300 回接種)。

〇 引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、今後も報告状況を注視し、最新情報の周知及び注意喚起を行っていくこととされた。

〔考察〕 前回指摘された特記事項が無くなっているのが気になる。

≪心筋炎関連症例≫

【ファイザー社製】

1. 報告状況

○ 初回免疫時に係るファイザー社ワクチン接種後の心膜炎疑いとして、接種開始から 12 月 5 日までに製造販売業者から 274 例の報告があり、 10 歳代及び 20 歳代男性の報告頻度が多い傾向にあった。

2. 死亡事例

○ 後述。

3. 発生頻度

○ 274 件/ 165,677,775 回接種
○ 1.7 件/ 100 万回接種

【モデルナ社製】

1. 報告状況

○ 初回免疫時に係る武田/モデルナ社ワクチン接種後の心筋炎疑いとして、接種開始から 12 月 5 日までに製造販売業者から 200 例の報告があり、 10 歳代及び 20 歳代男性の報告頻度が多かった。

2. 死亡事例

○ 後述。

3. 発生頻度

○ 200 件/ 32,021,483 回接種
○ 6.2 件/ 100 万回接種

≪心膜炎関連症例≫

【ファイザー社製】

1. 報告状況

○ 初回免疫時に係るファイザー社ワクチン接種後の心筋炎疑いとして、接種開始から 12 月 5 日までに製造販売業者から 116 例の報告があり、 10 歳代及び 20 歳代男性の報告頻度が多い傾向にあった。

2. 死亡事例

○ 後述。

3. 発生頻度

○ 116 件/ 165,677,775 回接種
○ 0.7 件/ 100 万回接種

【モデルナ社製】

1. 報告状況

○ 初回免疫時に係る武田/モデルナ社ワクチン接種後の心筋炎疑いとして、接種開始から 12 月 5 日までに製造販売業者から 43 例の報告があり、 10 歳代及び 20 歳代男性の報告頻度が多かった。

2. 死亡事例

○ 後述。

3. 発生頻度

○ 43 件/ 32,021,483 回接種
○ 1.3 件/ 100 万回接種

≪心筋炎関連事象による死亡数について≫

【ファイザー社製】

○ 総数・・・・・・・ 18
○ 65 歳以上・・・・・ 9
○ 40 ~ 64 歳 ・・・・ 4
○ 10 ~ 39 歳 ・・・・ 5

【モデルナ社製】

○ 総数・・・・・・・ 4
○ 65 歳以上・・・・・ 0
○ 40 ~ 64 歳 ・・・・ 2
○ 10 ~ 39 歳 ・・・・ 2

〔考察〕 前回までは、「ワクチン接種後の心筋炎関連事象に関するまとめ」という形でまとめられていたのだが、今回はまとめもない上に、報告上、死亡と記載されているにもかかわらず、上記の報告数にはカウントされていない点が腑に落ちない。

≪血小板減少症を伴う血栓症( TTS )≫

【ファイザー社製】

1. 報告状況

○ コミナティ筋注の副反応疑い報告において、令和 3 年 8 月 3 日から令和 3 年 12 月 5 日までに、製造販売業者から血栓症(血栓塞栓症を含む。)(血小板減少症を伴うものに限る。)( TTS )疑いとして報告された事例が 37 件あった。

2. 専門家の評価

○ 令和 3 年 12月 5 日までに報告された 37 事例を対象に、専門家の評価を実施。

TTSのブライトン分類(ファイザー社製)

○ 「ブライトン分類」での評価は、 37 事例中、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 15 例となっている。

・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 15 件/ 76,308,382 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 0.2 件

【モデルナ社製】

1. 報告状況

○ スパイクバックス筋注の副反応疑い報告において、令和 3 年 8 月 3 日から令和 3 年 12 月 5 日までに、製造販売業者から血栓症(血栓塞栓症を含む。)(血小板減少症を伴うものに限る。)( TTS )疑いとして報告された事例が 6 件あった。

2. 専門家の評価

○ 令和 3 年 12 月 5 日までに報告された 6 事例を対象に、専門家の評価を実施。

TTSのブライトン分類(モデルナ社製)

○ 「ブライトン分類」での評価は、 6 事例中、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 3 例となっている。

・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 3 件/ 20,432,508 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 0.1 件

【アストラゼネカ社製】

1. 報告状況

○ バキスゼブリア筋注筋注の副反応疑い報告において、令和 3 年 8 月 3 日から令和 3 年 12 月 12 日までに、医療機関から血栓症(血栓塞栓症を含む。)(血小板減少症を伴うものに限る。)( TTS )疑いとして報告された TTS 疑い事例は計 1 件となった。

○ 上記に加え、令和 3 年 12 月 13 日から令和 3 年 12 月 17 日までに、医療機関
から TTS 疑いとして報告された事例が 1 件あった。

2. 専門家の評価

○ 令和 3 年 12 月 17 日までに報告された 2 事例を対象に、専門家の評価を実施。

TTSのブライトン分類(アストラゼネカ社製)

○「ブライトン分類」での評価は、 2 事例中、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 1 例となっている。

・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 1 件/ 112,861 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 9 件

〔考察〕 前回までは、「血小板減少症を伴う血栓症についてのまとめ」という形でまとめられていたのだが、今回はまとめがない点が腑に落ちない。心筋炎・心膜炎同様、報告を少なくしていき、症例としては大したことがないと言うような風に持っていきたいのであろうか?

次回へ・・・。