前回の続き・・・。
2 月 18 日(金)に、第 76 回・厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和 3 年度第 28 回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)が開催。
3 月 18 日(金)に、第 77 回・厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和 3 年度第 30 回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)が開催。
接種数の減少により報告数が少なくなってきていたので、 2 回分を併せて報告する。
今回は、“アナフィラキシー事例”を寄稿する。
≪アナフィラキシー報告事例≫
【ファイザー社製】
1.報告状況
〔 2 月 18 日・第 76 回分〕
○ 前回の集計対象期間( 1 月 2 日)以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 21 件(うち、 3 回目接種後の事例は 13 件)あり、令和 3 年 2 月 17 日から令和 4 年 1 月 23 日までに報告されたアナフィラキシー事例は計 3,135 件(うち、 3 回目接種後の事例は 16 件)となった。
〔 3 月 18 日・第 77 回分〕
○ 前回の集計対象期間( 1 月 23 日)以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 46 件(うち、 3 回目接種後の事例は 20 件)あり、令和 3 年 2 月 17 日から令和 4 年 2 月 20 日までに報告されたアナフィラキシー事例は計 3,181 件(うち、 3 回目接種後の事例は 36 件)となった。
2.専門家の評価
○ 令和 4 年 2 月 20 日までに報告された 3,181 事例を対象に、専門家の評価を実施。
○ 評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | 3回目接種時 | ||
1 | 118(+1) | 91(+1) | 27(±0) | 0(±0) |
2 | 467(+8) | 341(+5) | 123(+1) | 3(+2) |
3 | 24(±0) | 21(±0) | 3(±0) | 0(±0) |
4 | 2,470(+59) | 1,786(+13) | 651(+15) | 33(+31) |
5 | 102(-1) | 69(-1) | 33(±0) | 0(±0) |
合計 | 3,181(+67) | 2,308(+18) | 837(+17) | 36(+33) |
○アナフィラキシーの症例定義として国際的な指標になっている「ブライトン分類」での評価は、 3,181 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 609 ( +9 ) 例となっている。
●レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数注・・・609 件/ 182,168,476 回接種
● 100 万回あたりの報告件数・・・ 3.3 件
○ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数も見てみる。
年齢(歳) | 報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 性別不明 | ||
0~4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5~9 | 0 | 0 | 0 | 0 |
10~14 | 4 | 2 | 2 | 0 |
15~19 | 13 | 6 | 7 | 0 |
20~24 | 46 | 11 | 34 | 1 |
25~29 | 50 | 6 | 44 | 0 |
30~34 | 57(+3) | 12 | 45(+3) | 0 |
35~39 | 83(+1) | 8 | 75(+1) | 0 |
40~44 | 82(+1) | 9(+1) | 73 | 0 |
45~49 | 93(+1) | 8 | 85(+1) | 0 |
50~54 | 56(+1) | 2 | 54(+1) | 0 |
55~59 | 43(+2) | 5 | 38(+2) | 0 |
60~64 | 19 | 1 | 18 | 0 |
65~69 | 25 | 6 | 19 | 0 |
70~74 | 12 | 4 | 8 | 0 |
75~79 | 4 | 0 | 4 | 0 |
80歳以上 | 20(-1) | 2(-1) | 18 | 0 |
不明 | 2(+1) | 1(+1) | 1 | 0 |
合計 | 609(+9) | 83(+1) | 525(+8) | 1 |
(参考) 65歳以上 |
61(-1) | 12(-1) | 49 | 0(±0) |
今回から、増減の箇所だけ色を変えてみた。
表から見て取れることは・・・。
【年齢】
65 歳未満・・・ 548 ( +9 )例
65 歳以上・・・ 61 ( -1 )例
〔考察〕 アナフィラキシー事例のうち半数近くが 3 回目接取時に起きていることを考えると、 1 ・ 2 回目時よりは確率が上がっていることになる。
【性別】
男性・・・ 83 ( +1 )例
女性・・・ 525 ( +8 )例
性別不明・・・ 1 ( ±0 )
〔考察〕 ファイザー社の報告通り、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。
【モデルナ社製】
1.報告状況
〔 2 月 18 日・第 76 回分〕
○ 前回の集計対象期間( 1月 2 日)以降、スパイクバックス筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 4 件(うち、 3 回目接種後の事例は 0 件)あり、令和 3 年 5 月 22 日から令和 4 年 1 月 23 日までに報告された副反応事例は、計 522 件(うち、 3 回目接種後の事例は 0 件)となった。
〔 3 月 18 日・第 77 回分〕
○ 前回の集計対象期間( 1月 23 日)以降、スパイクバックス筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 1 件(うち、 3 回目接種後の事例は 4 件)あり、令和 3 年 5 月 22 日から令和 4 年 2 月 20 日までに報告された副反応事例は、計 523 件(うち、 3 回目接種後の事例は 4 件)となった。
2.専門家の評価
○ 令和 4 年 1 月 20 日までに報告された 523 件のうち、アナフィラキシーの疑いのある事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | 3回目接種時 | ||
1 | 8(±0) | 7(±0) | 1(±0) | 0(±0) |
2 | 49(+5) | 33(+1) | 14(+2) | 0(±0) |
3 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
4 | 440(+1) | 318(-6) | 118(+7) | 4(+0) |
5 | 26(+1) | 25(±0) | 1(+1) | 0(±0) |
合計 | 523(+7) | 385(-3) | 134(+10) | 4(±0) |
○ 「ブライトン分類」での評価は、 522 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 54 例となっている。
・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 54 件/ 32,557,064 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 1.7 件
○ ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数
年齢(歳) | 報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 性別不明 | ||
0~4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5~9 | 0 | 0 | 0 | 0 |
10~14 | 1 | 0 | 1 | 0 |
15~19 | 4(+1) | 0 | 4(+1) | 0 |
20~24 | 12(-2) | 5(-1) | 6(-1) | 1 |
25~29 | 9(+1) | 2 | 7(+1) | 0 |
30~34 | 10(+1) | 0 | 10(+1) | 0 |
35~39 | 7(+2) | 3 | 4(+2) | 0 |
40~44 | 3 | 0 | 3 | 0 |
45~49 | 4(+1) | 1 | 3(+1) | 0 |
50~54 | 3 | 0 | 3 | 0 |
55~59 | 3(+2) | 1(+1) | 2(+1) | 0 |
60~64 | 0 | 0 | 0 | 0 |
65~69 | 1 | 0 | 1 | 0 |
70~74 | 0 | 0 | 0 | 0 |
75~79 | 0 | 0 | 0 | 0 |
80歳以上 | 0 | 0 | 0 | 0 |
不明 | 0 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 57(+5) | 12 | 44(+5) | 1 |
(参考) 65歳以上 |
1 | 0 | 1 | 0 |
表から見て取れることは・・・。
【年齢】
65 歳未満・・・ 56 ( +5 ) 例
65 歳以上・・・ 1 ( ±0 )例
〔考察〕 これまで同様、 65 歳未満の増加が見て取れた。
【性別】
男性・・・ 12 ( ±0 )例
女性・・・ 44 ( +5 )例
〔考察〕 ファイザー社同様、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。
【アストラゼネカ社製】
1.報告状況
〔 2 月 18 日・第 76 回分〕
○ 前回の集計対象期間( 1 月 2 日)以降、バキスゼブリア筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシー疑いとして報告された事例が新たに報告はなく、令和 3 年 8 月 3 日から令和 4 年 1 月 23 日までに報告されたアナフィ ラキシー疑い事例は計 5 件のままである。
〔 3 月 18 日・第 77 回分〕
○ 前回の集計対象期間( 1 月 23 日)以降、バキスゼブリア筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシー疑いとして報告された事例が新たに報告はなく、令和 3 年 8 月 3 日から令和 4 年 2 月 20 日までに報告されたアナフィ ラキシー疑い事例は計 5 件のままである。
2.専門家の評価
○ 令和 4 年 3 月 20 日までに報告された 5 事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | 3回目接種時 | ||
1 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
2 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
3 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
4 | 5(±0) | 2(±0) | 3(±0) | 0(±0) |
5 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
合計 | 5(+2) | 2(±0) | 3(±0) | 0(±0) |
○ 「ブライトン分類」での評価は、 5 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 0 例となっている。
・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 0 件/ 115,872 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 0 件
○ ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数は無し。
アナフィラキシーに関する考え方(副反応疑い報告の状況に関するまとめ)
【 3 回目接種についてのまとめ】
○ ファイザー社ワクチンの 3 回目接種については、接種開始後( 2021 年 12 月 1 日)より、今回の審議会( 2022 年 1 月 2 日時点)までにおいて、医療機関より 147 件( 3 回目推定接種回数のうち 0.03% )、製造販売業者より 10 件( 3 回目推定接種回数のうち 0.00% )の報告があり、 1 ・ 2 回目接種時と大きな変化はなかった。
また、 3 回目接種後の死亡として 1 件( 3 回目推定接種回数 100 万回あたり 1.9 件)の報告があった。
○ 武田/モデルナ社ワクチンの 3 回目接種については、今回の審議会までにおいて副反応疑い報告はなかった。
【 3 回目接種に関する論点のまとめ】
○ 国内の 3 回目接種後に係る副反応疑い報告状況については、現時点では重大な懸念は認められない。
○ 国内外の 3 回目接種後の係る副反応疑いの報告状況についても、引き続き注視していく。
〔考察〕 前回までに、アナフィラキシーに関する状況整理やまとめ等が削除され、今回からは 3 回目接種は当然の如く、「 3 回目接種についてのまとめ」さえなくなってしまった。そして、既に、 4 回目接種の話も進んできている。いつになったら、国民は気づくのだろうか?そのワクチン接種が感染拡大を後押ししているということに・・・。
次回へ・・・。