「真実の口」1,686 新型コロナウィルス・・・189

前回の続き・・・。

前回、変異株について、データは 第 34 回新型コロナウィルス感染症対策アドバイザリーボードにおるものだったのだが、一昨日( 5 月 19 日)、第 35 回新型コロナウィルス感染症対策アドバイザリーボードが開催されたのでアップデートする。入院治療等を要する者・重症者・新規陽性者数等の推移

重症者の推移
新規死亡者の推移

重症者、死亡者の波のうねりが、第三波よりも第四波の方が急激になっているのが良くわかるのではないだろうか?

各地の人口 10 万人あたりの 7 日間累積新規症例報告数の推移を見てみると・・・。

【北海道】全ての年代において横ばい~微減傾向であるが、全ての年代においてステージ 4 相当を超えている。

【宮城県】直近では 20 ・ 30 代が増加傾向にありステージ 3 相当を超えているが、他の年代は横ばい~微減でありステージ 3 相当を下回っている。

【首都圏】東京都は全ての年代において横ばい~微増、高齢者以外の新規症例報告数がステージ 4 相当を超えている。その他の県は横ばい~微減だが、 20 ・ 30 代ではステージ 4 相当を超えている。

【東海圏】愛知県はほとんどの年代で増加継続、岐阜県は横ばい~微減傾向だが、岐阜県の高齢者以外の全ての年代において両県ともにステージ 4 相当を超えている。

【関西圏】大阪府、兵庫県は全ての年代で減少傾向にあるがいずれも依然としてステージ 4 相当を超えている。京都府、奈良県の新規症例報告数は横ばいだが、全ての年代においてステージ 4 相当を超えている。

【中国】岡山県、広島県ともに横ばい~微減傾向にあるが、広島県の 20 ・ 30 代の新規症例報告数が急増、ステージ 4 相当を大きく超えている。

【九州】福岡県は、新規症例報告数は横ばい~減少傾向にあるが高齢者以外はステージ 4 相当を超えている。

【沖縄】 多くの年代で横ばい~微減だが、依然としてステージ 4 相当を超えており、直近で 20 ・ 30 代の新規症例報告数が急増している

現在、日本で猛威を振るっているイギリス型変異ウイルス( B.1.1.7 株)は、感染力が従来のウィルスより高いと報告されている。

因みに、国立感染症研究所は、国内事例の分析で、イギリス株は従来株より、重症リスクが従来株の 1.40 倍、特に 40 ~ 64 歳では 1.66 倍に上るとの推定を報告している。

・ 2 月 10 日~ 5 月 6 日に新型コロナウィルス感染者等情報把握・管理システム( HER-SYS )へ登録されたデータを基に、ゲノム解析や PCR 検査で N501Y 変異が確認された症例群と、 PCR 検査で N501Y 変異がないと確認された症例群を比較。

・発生届に「肺炎像」「重篤な肺炎」「多臓器不全」「急性呼吸窮迫症候群」のいずれかが記録されているものを届け出時の重症例と定義した。

・その上で、性別・年齢・報告週・都道府県・重症化リスク因子の有無を交絡因子として補正すると、イギリス株の届け出時重症の割合が従来株の 1.40 倍となった。

・年齢別に見ると、 0 ~ 39 歳が 1.21 倍65 歳以上が 1.28 倍だったのに対し、 40 ~ 64 歳では 1.66 倍となり、中高年で重症リスクが高まっていることが示唆された。

一応、感染研は、届け出後の症状の経過が追えていないことや、 N501Y 変異の検査が一定の割合にとどまることから、「本報告の結果のみから重症度について結論することは困難であることから、引き続き海外の報告を参照するとともに、国内臨床データを用いた検証が必要である」としている。

こうした分析結果を踏まえて、アドバイザリーボードは「 B1.1.7 は、非 N501Y 変異株に比べて特に 40 ~ 64 歳の重症化リスクが高まっている所見がある」などとし、医療提供体制の強化を求めた。

海外でも、変異ウィルスの感染力について論文が出されている。

以下が、その論文だ。

Estimated transmissibility and impact of SARS-CoV-2 lineage B.1.1.7 in England

この報告では、従来のウィルスより、感染力が 43% ~ 90% 程度高いとなっている。

ただし、重症化率に関しては、明確な違いは見つからなかったとなっている。

次に、致死率に関しても論文が出されている。

以下が、その論文である。

Risk of mortality in patients infected with SARS-CoV-2 variant of concern 202012/1: matched cohort study

この報告では、致死率は、 32% ~ 104% (中央値: 64% )高いとなっている。

つまり、従来のウィルスより、致死率が 1.6 倍高くなっているということだ。

日本国内で、最初に、イギリス株のターゲットとなった大阪が、感染拡大➡重症者増加➡医療崩壊➡死者激増の一途を辿ったのが理解出来得る数字である。

そして、私が取り上げているインド株だが・・・。

Newsweek 日本版に面白いたとえがあったので紹介する。

「武漢株がハイエナならインド変異株は最速チーター」(在ロンドン国際ジャーナリスト・木村正人氏)

英変異株より感染力が最大 50% も強いインド変異株( B.1.617.2 )について、英レスター大学のジュリアン・タン名誉准教授(臨床ウィルス学)が木村氏の取材に応じ、「中国・武漢株がハイエナなら英変異株やブラジル、南アフリカ変異株はライオン。インド変異株は陸上動物で最速のチーター(最高時速 100km 超)だ。日本は五輪を開かなくても大丈夫だが、ウィルスが広がると多くのお年寄りが亡くなる。」と警鐘を鳴らしている。

「日本の人口は 1 億 2,557 万人で、 1 回目のワクチン接種を受けた人は医療従事者が 336 万 7,995 人、高齢者が 65 万9,338 人( 2 回接種はそれぞれ 152 万 284 人、 4 万 5,819 人)です。検査による陽性者も累計で 66 万 5,643 人です。これらのことを考えると、人口の大半はウィルスに感染しやすい状態で残されています。つまり日本の人口のほとんどは捕食者に対して脆弱な草原の草を食べるカモシカのようなものです。捕食者とはハイエナ(もともとの中国・武漢株)、ライオン(より急速に広がるイギリスやブラジル、南アフリカの変異株)、チーター(潜在的にさらに速く感染するインド変異株)です。日本ではワクチン接種や自然免疫で保護が強化された、より高い“免疫学的な丘”に逃れた人は人口のごくわずか( 2 〜 5% )です。」

どうやら、日本という大草原にいる我々(カモシカ日本人)は、時速 100km のチーターに狩られるしかないようだ・・・((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

因みに、チーターは待ち伏せやチームプレーの狩りはせず、単独行動で、自慢の足を生かした狩りを行う。

ウィルスの場合は、点から線、線から面へと広がっていくので、チーターよりも怖い存在ということは言わずもがなである。

そして、感染力は、従来株より、イギリス株が 1.5 倍増、インド株は更に 1.5 倍増だから・・・。

1.5×1.5=2.25倍

前述のアドバイザリーボードにおいて、京都大学大学院の西浦博教授は、「日本でも、 2 カ月程度よりも短いスパンで、(インド変異種へ)置き換わりが起こるものと考えられる。」と警鐘を鳴らしている。

そして、インド変異種には、 B.1.617 系統B.1.618 系統が伝えられていたのだが・・・。

インドの細胞分子生物学研究所( CCMB : Centre for Cellular and Molecular Biology )が、「 N440K 変異種」を発見したのだ。

最初に確認されたインド南東部アーンドラ・プラデーシュ州の頭文字を取って、「 AP変異種」とも呼ばれているそうだ。

そして、地元の英字日刊紙「ザ・ヒンドゥー」( 5/4 日付)に驚くべきニュースが報じられたのだ。

COVID-19 | A.P. strain at least 15 times more virulent

新しい変異種は潜伏期間が短く、病気の進行は非常に速いです。 CCMBによって発見された新しいコロナウィルス変異体“ N440K ”が、ビシャカパトナムおよび州の他の地域で大混乱を引き起こしている変異体であるかどうかを述べるのは時期尚早ですが、専門家は、クルヌールで最初に発見された“ AP 変異種”と呼ばれ、以前の変異種よりも少なくとも 15 倍毒性が高く、 B1.617 および B1.618 のインド変異種よりもさらに強力である可能性があります。」

ただ、これはあくまで実験上のことであり、人の体内で同様のことが起こるかどうかは分からないとも注釈されている。

また、 “ N440K 変異種”は、二重変異種や英国型に取って代わられつつあるようだが、現地の専門家が先月 30 日に公開した論文(査読前)からも感染力の強さがうかがえそうだ。

ハーバード大学院卒で医学博士の左門新氏(元 WHO 専門委員)が論文を読んだ上で解説している。

“ N440K 変異種”が人に感染しやすいかどうか、ウィルスの『複製力』と『感染力』の 2 つの指標で論じています。実験では “ N440K 変異種”の感染力が、それ以前の株に比べ 10 ~ 1,000倍高い。ただし、この数字がそのまま人の感染に当てはまるわけではありません。およそ 1 年前は複製力の強いウィルスが席巻していたが、その後、感染力の強い変異株に取って代わられたことが論文から分かります。 “ N440K 変異種”は複製力が弱い一方、感染力は強いとみられます」

更なる、『複製力』と『感染力』を併せ持つ変異種が出てこないことを祈るばかりだ・・・。

次回へ・・・。