「真実の口」1,581 菌・ウィルスの除菌、除去(?)【中編】

前回の続き・・・。

新型コロナウィルスには、石鹸での手洗いが有効と言うことで、普通の石鹸より有効と思い薬用石鹸をお使いの方はいないだろうか?

因みに・・・。

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実に数多くの薬用石鹸が販売されているようだ。

もし、私が、「薬用石鹸は危ないよ!」と警告したら如何だろう?

「えっ?」

・・・という反応が多いのではないだろうか?

実は、薬用石鹸には、 トリクロカルバン という抗菌剤が使われてい“た”。

ん?

“た”??

何故、過去形???

・・・と疑問に思われたかたもいるだろう。

実は、このトリクロカルバンという成分は、殺菌作用をうたう石鹸・ハンドソープ・ボディソープ・歯磨き粉などに広く使用されていて、防腐剤・抗菌剤・消臭剤としても化粧水やクレンジング剤・美容液・フェイスクリーム・日焼け止めといった化粧品類にも添加されている。

しかし、 2016 年 9 月 2 日、米食品医薬品局( FDA )により、特定の成分を含む抗菌石鹸や抗菌洗剤の一般販売を全米で禁じる規則が発表されたのである。

【参照ページ】FDA issues final rule on safety and effectiveness of antibacterial soaps

禁止された 19 成分は・・・。

トリクロサン
トリクロカルバン
クロフルカルバン
フルオロサラン
ヘキサクロロフェン
ヘキシルレソルシノール
ヨウ素複合体(アンモニウムエステル硫酸とポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)
ヨウ素錯体(アルキルアリールポリエチレングリコールのリン酸エステル)
ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールヨウ素
ポロクサマーヨウ素コンプレックス
ポビドンヨード 5 ~ 10%
ヨード塩化ウンデコイリウム複合体
塩化メチルベンゼトニウム
フェノール( 1.5% 超)
フェノール( 1.5% 未満)
二次アミルトリクレゾール
ナトリウムオキシクロロセン
トリブロンサラン
トリプル染料

この他、塩化ベンザルコニウム塩化ベンゼトニウムクロロキシレノール( PCMX ) の 3 成分については、 1 年間の販売禁止猶予が与えられ、メーカーは安全性等を立証するためにデータ収集が義務付けられた。

全て 2017 年 9 月 6 日から適用されている。

FDA は、これに遡ること、 2013 年 12 月、抗菌石鹸や抗菌洗剤が使用後に水で洗い流された結果、耐性細菌の誕生を促したり、環境ホルモン害に繋がる恐れがあるとして、メーカーに対して安全性と除菌効果の有効性を立証するデータの提供を義務付けていた。

そして、提出されたデータを精査した結果、通常の石鹸に比べて感染症の予防効果が大きいことが証明できず、しかも、これらの殺菌剤を含む石鹸を長期間使うと、抗菌薬が効かない菌(耐性菌)が発生したり、体内の甲状腺ホルモンや生殖ホルモンに悪影響を及ぼす可能性があると位置付けたようだ。

この判断に基づき、上記 19 成分の使用禁止ということになったようだ。

これを受けて、日本においても、日本石鹼洗剤工業会などは、同年 9 月 26 日、対象成分を含む「薬用石鹸」の切り替えに取り組むよう会員会社に要請している。

同会は「有効性や安全性に問題はないと考えているが、国際的な状況や消費者の安心を考慮し、大局的に判断した」としている。

また、業界の取り組みを促すため、厚生労働省からも、同年 9 月 30 日、対象成分を含む「薬用せっけん」を 1 年以内に代替製品に切り替えるよう促す通知が、都道府県を通じて製造販売会社に出されている。

平成 28 年 9 月 30 日付薬生薬審発 0930 第 4 号及び薬生安発 0930 第 1 号「薬用石けんに関する取扱い等について」

そのため、現在、薬用石鹸には、トリクロカルバンは使用されなくなっている。

いったい、トリクロカルバンとはどのような成分なのだろうか?

トリクロカルバンのヒトへの健康影響について・・・。

☞アンドロゲン、エストロゲン、コルチゾールなどの他のステロイドホルモンの遺伝子発現を増強する。

☞エストロゲン受容体やアンドロゲン受容体の活性を調節する補酵素や補活剤と同様の作用をすると考えられる。

実験では、トリクロカルバンが in vivo(※注 1 ) と in vitro(※注 2 ) の両方で構成性アンドロステイン受容体とエストロゲン受容体 α を活性化し、正常な生理的恒常性を変化させる可能性があることが示されている。

(※注 1 ) “試験管内で(の)”という意味で、試験管や培養器などの中でヒトや動物の組織を用いて、体内と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応を検出する試験のこと。

(※注 2 ) “生体内で(の)”という意味で、マウスなどの実験動物を用い、生体内に直接被験物質を投与し、生体内や細胞内での薬物の反応を検出する試験のこと。

これらの受容体の活性化は、遺伝子発現を増幅させ、その結果、トリクロカルバンのヒトへの健康影響が懸念されるということらしい・・・。

現在、日本の薬用石鹸では、このトリクロカルバンが使用されていないので安心・安全なのかというと、残念ながら、そうとは言えない・・・(笑)。

トリクロカルバンの代替品として使用されだしたのが、イソプロピルメチルフェノールなのだ・・・( ̄へ ̄|||) ウーム

危険なものから安全な物へ変わったのかと言うと、そうではない・・・(笑)。

イソプロピルメチルフェノールは、防かび剤、防腐剤、殺菌剤として、化粧品や医薬品などに、数多く配合されている。

しかし、イソプロピルメチルフェノールは、旧表示指定成分に該当しているのである。

旧表示指定成分とは、体質によってアレルギーなどの皮膚トラブルを起こす恐れのある成分のことで、 102 種類の原料に香料を加えた合計 103 種類が 1980 年に厚生省(現厚生労働省)によって告示されたものである。

1991 年 4 月以降、化粧品は、全成分表示が義務付けされたが、それ以前は、これらの成分を化粧品に配合するときは容器や包装に明記することが、別途、義務づけられていたのである。

要は、国としては、安全とは必ずしも言えないが、使用を許可していたというところだろうか?

現実に、ソプロピルメチルフェノールは、皮膚への悪影響が疑われている。

イソプロピルメチルフェノールは強い殺菌作用があるため、皮膚に対して接触性皮膚炎を起こすことがあるのだ。

接触性皮膚炎とは、化学物質などが皮膚に作用して、免疫を刺激したり、あるいは表皮細胞に障害を起こすことで発生する炎症のことで、発赤(赤くなること)や水泡、かゆみや痛みなどが主な症状である。

敏感な人は、肌にかゆみを感じたり、赤くなったりすることがあるようだ。

“薬用”という誤魔化しの利いた商品名に惑わされず、迂闊に使用しない方が賢明だろう・・・。

次回へ・・・。