「真実の口」1,459 化学物質過敏症・・・⑨

前回の続き・・・。

科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂新版)に書かれている後半の重要ポイントを記す。

いわゆる「化学物質過敏症」(本態性環境不耐症)

□ 通常の人であれば症状を出さないような微量な環境中の化学物質に反応して、種々の多彩な症状を訴える病態とされる。

自覚症状が基本となる自律神経系の不定愁訴や精神神経症状をはじめとする多彩な症状を訴える。

WHO/IPCS では、症状の原因が環境中の特定の化学物質とは断定できず、因果関係が証明できないことから「化学物質」という言葉は使わず、本態性環境不耐症( Idiopathic Environmental Intolerance:IEI )を用いる。

「室内環境に由来する健康障害」であるシックビルディング・シックハウス症候群とは異なる疾患

化学物質曝露と症状の関係は否定的

※科学的には化学物質曝露と身体反応には関連はなく、症状の原因が化学物質とはいえない。

□ クリーンルーム内で、化学物質を含む/含まない空気に曝露させ、反応を見る負荷試験(介入研究)

ドイツ( Bornschein ら 2008 ):患者 20 名と健康な対象群 17 名に化学物質溶液を含む/含まない空気をランダムに曝露、血圧、心拍数、発疹、血中溶存酸素を測定(ダブル・ブラインド試験)

日本(吉田ら 2012 、長谷川ら 2009 、坂部ら 2005 ):患者にホルムアルデヒド、トルエン、あるいは含まない空気を曝露し、症状誘発を観察した(シングル・ブラインド試験)
         
いずれの試験でも、患者と対象者、曝露と非曝露時の症状の変化に差はなかった

「化学物質過敏症」の訴えへの対応

個々の患者が何らかの症状があることは事実。訴えを「気のせい」あるいは単純な「メンタル不調」とせず、症状の緩和につながる支援を行うことが必要

1. まず身体不調と住宅やシックハウス症候群との関連を検討。化学物質のみならずカビやダニアレルゲン、湿度環境が原因になっていないか?を検討する

2. しかし身体不調を化学物質のためとは決めつけず、心理社会的 ストレスによる体調不良やメンタルヘルスの問題など、他の既存の考え得る疾患である可能性を「除外診断」する必要がある

3. マインドフルネス認知療法などは症状を和らげて生活の質を向上させるためは役立つのではないか( Haug ら 2015 )

まとめ

1. シックハウス症候群は予防できる

2. ①シックハウス症候群、②アレルギー疾患などシックハウス関連病、③「いわゆる化学物質過敏症」を区別する

3. どのような環境と原因で、シックハウス症候群の症状を発症しやすいかを注意してみたうえで、症状別に原因と予防対策をたてることが大事

「新シックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂新版)」 は既に厚労省HPに掲載。ご活用ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/00001204201/html

ここに記されたリンクは開くことが出来ないようだが・・・(笑)

まあ、なんとなく国の姿勢は分かったのではないだろうか?

患者の訴えに対し、『個々の患者が何らかの症状があることは事実。訴えを「気のせい」あるいは単純な「メンタル不調」とせず、症状の緩和につながる支援を行うことが必要』とあるのだが、このレポートを読んだ人間ははたしてそのように取るのだろうか?

出版社のダイヤモンド社が提供するビジネス情報サイト「ダイヤモンド・オンライン( DOL )」に気になる記事を見つけた。

K クリニック院長の Y 医師に化学物質過敏症に対してのインタビューを行った記事である。

「化学物質過敏症とは、ある特定の化学物質にさらされることで、さまざまな体の不調を発症する病です。日本では、約70万人が発症しているといわれています」

「車の排ガスやたばこの煙、殺虫剤や除草剤。ガソリン臭、香水やヘアスプレー、新しいじゅうたんや新車のニオイまで、ありとあらゆる化学物質が原因となります」

「主な症状は、目の乾燥やかゆみ、鼻水、鼻づまり、口の中がただれるなどの『粘膜刺激症状』。不整脈や胸の痛みなど循環器の症状や、下痢、胸やけなどの消化器症状、ほかにも湿疹やじんましんなどの皮膚症状もあります」

「化学物質過敏症を発症すると、健康な人ではほとんど気にならない、影響を受けない量でも過敏になってしまうため、精神的な苦痛を感じてしまいます。例えば、症状が重く夜も眠れない、食事も取れない。服も着られず、今まで使っていた生活用品も使えない生活になってしまうのです」

「現段階では、個人の特定の性格や病気の関与ははっきりしていません。しかし、さまざまなストレスをため込みがちな人に、化学物質過敏症の発症例が多いといわれています。例えば、電車の中でかいだ他人の香水や整髪料のニオイで気分が悪くなり、次の駅で下車してニオイがしなくなっても気分が優れない、といったケースは精神的な問題が関わっている可能性がありますね」

「原因の解明が急がれる中で、ある特定の化学物質に対しては遺伝子レベルの解析が進んでおり、この解析によって、ある患者群だけに共通する遺伝子が徐々に見つかってきています。遺伝子の変異(遺伝子多型)が関係している可能性があるので、精神的な問題だけが関係しているとも限らないのです」

「症状が多岐にわたるため、ほかの病気の疾患が隠れている可能性があります。そうした疾患ではないことがわかった上で、精神的な要素と症状が関係しているようであれば、専門医に鑑別診断を依頼しましょう」

「化学物質過敏症の原因となる化学物質は、発症の直前まで使用している可能性があります。ガソリンのニオイや芳香剤など、自分がどんな化学物質と生活をしているのかを把握し、それらを使う頻度を減らすことが予防につながります。食器を洗う際は合成洗剤ではなく、石けんを利用するといった工夫のほか、住宅を新築、改修する際にはホルムアルデヒドが使用されていないかを確認しましょう」

「心療内科やメンタル科を受診し、ストレスに対するマネジメント、カウンセリングを受けることをお勧めします」

この記事は、『学物質過敏症、カウンセリングが有効な理由』と言うタイトルなのだが・・・。

この記事のまとめは・・・。

「生活にあふれる化学物質と、ストレスが原因となる化学物質過敏症は、現代ならではの病といえるかもしれない。物理的な対策はもちろん、精神面のケアも併せて行うことが症状緩和のキモであるようだ。」

いろんなことを気にしすぎる人が、ストレスをため込むことが、発症の一因の如き扱いをしているが・・・?

彼らは、本当の化学物質過敏症の患者に合ったことがあるのだろうか・・・??

カウンセリングで症状が緩和される・・・???

化学物質過敏症

似非化学物質過敏症

シックハウス症候群

似非シックハウス症候群

これらをごっちゃにしているのだろう・・・(笑)。

次回へ・・・。