「真実の口」210 その住宅で大丈夫?⑨

光触媒という言葉を聞いたことがあるだろうか?

光を照射することにより触媒作用を示す物質のことである。

代表的な物に酸化チタンがあげられる。

この酸化チタンは、紫外線を照射すると、酸化還元作用と超親水作用という2つの機能を発現する。

ちと、解りづらいかな?

例えば、光を吸収すると活性酸素を発生させ、悪臭や汚れなどの原因となる有機物を分解する。

あるいは、空気中の水素を引き寄せて表面に親水基を作り、ガラスの曇りを防ぎ、汚れなどを洗い流したりする。

従来は、外壁を汚れにくくするためのコーティング剤として使われていたのだが、最近、化学物質の分解を目的として、内装材にも使われるようになってきている。

しかし、室内では、紫外線の照射量が少ないため、十分に機能を果たすことが出来ないため、紫外線を必要としない空気触媒なるものまで登場した。

これらのものが安全であれば問題はない。

光触媒にしても空気触媒にしても、酸化還元反応を起こすことにより、有機化合物を分解する。

では、我々にとっては必要な善玉菌(人間が勝手に言ってるだけだが・・・)はどうなのだろう?

もちろんお構いなしに分解する。

善玉菌だろうが悪玉菌だろうが関係ない。

・・・と言うことは、室内の空気のバランスはどうなるのであろう?

光触媒にしても空気触媒にしても、その施工した表面に空気中の酸素と水が接触する事で、O2(二価)あるいはO3(三価)が生成される。

そして、その二価・三価(活性酸素)の酸素が、酸化還元反応をする事で、表面に付着した有機物を分解し、抗菌、防カビ、消臭等々の作用を引き出す。

つまり、善玉菌・悪玉菌のバランスをとるどころか、活性酸素に満ちた空間を作り上げていると言うことである。

あれ?

活性酸素は身体に良くないんじゃなかったっけ???

つまり、人間に害のある物を除去しようとしながら、人間にとっては、本末転倒な好まざる環境を作り上げているのである。

ただ、酸化チタンについては、これどころじゃない!

時間があったら次のリンクを読んで欲しい・・・

http://www.iskweb.co.jp/cgi-pdf/news/1190342826.pdf

これは、石原産業株式会社の「有機物残渣の不法投棄に対するお詫びと刑事告発に関するお知らせ」である。

石原産業と言えば、酸化チタンの製造の最大手の会社である。

同社は、輸入した砂鉄状の鉱物を粉砕して、硫酸法と塩素法でチタンを抽出している。

酸化チタンを、硫酸抽出法で抽出すると、1トンの酸化チタンに対して、同量の廃硫酸が生まれる。

その処理を、長年にわたって中和処理せずに伊勢湾に捨てたとして、四日市海上保安部から摘発され、垂れ流した廃硫酸が約1億トンに上がることが認定されて、1980年に津地裁で有罪判決を受けている。

対策を考えた同社は、その後、廃硫酸と汚泥は炭酸カルシウムや消石灰で中和し、脱水して、産廃処分場に廃棄していた。

更に、廃棄物の減量化と酸化チタンの製造コストの低減をはかるため、製造工程から副生する使用済み硫酸を再生利用して副生品を生産・販売する研究開発に着手し、

2001年から土壌埋戻材を「フェロシルト」と命名して販売を開始した。

これが前述の「有機物残渣の不法投棄に対するお詫びと刑事告発に関するお知らせ」に繋がる。

光触媒は、水を水素と水酸化物イオンに分解するほどの強力な酸化還元作用を持つ。

言い換えれば、太陽の光エネルギーから、水素というクリーンエネルギーを生成するということになるらしい。

そこで、当時の政府は、光触媒の開発・実用化を促すため、2007年(平成19)から5か年計画で、循環社会構築型光触媒産業創出プロジェクトを立ち上げ、開発を後押ししたという経緯がある。

これだけの公害をまき散らした物が、何がクリーンエネルギーで・・・、何故、政府が後押し・・・。

本当に大丈夫なのか、この国は?