「真実の口」256 オール電化で良いんかい?⑤

前回、送電設備とコストの話を織り交ぜて寄稿した。

ちなみに100万ボルトの高圧線は1kmあたり10億円超と言われている。

今回の原発騒動で、東京の電力をまかなうための原子力発電所ならば、東京に作ればいいという意見もかなりあったようだが・・・

残念ながら、原子力発電所は、人口密集地には作ることが出来ない。

何故なら、1964年5月27日に、原子力委員会によって「原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやすについて(原子炉立地審査指針)」が決められたからである。

“何か”あったときに困るので、“原子炉敷地は、人口密集地帯からある距離だけ離れていること”とされているからである。

今、まさに、その“何か”が起きてしまっているのだが・・・

人口密集地を避け、それでいて距離が離れていすぎては、送電設備のコストがかかる。

それで、白羽の矢が立てられたのが、東京電力では青森県・福島県・新潟県、関西電力では福井県なのである。

電気は、発電所からわれわれの手元に届くまでに、かなりのコストがかかる。

そこで、救世主として注目されたのが“エコキュート”である。

前々回、チラッと触れたが、今回はもう少し詳しく解説してみよう。

エコキュートとは、コンプレッサーで大気の熱を汲み上げ、加圧・減圧で、加熱・冷却することによって、給湯の熱エネルギーをつくる為、使用する電気エネルギーに対して約3倍の熱エネルギーを得ることができる。

さらに、電力会社あるいは当該メーカーは、以下のような宣伝文句を続ける。

“昼間よりも割安な夜間電力を使用し、効率的なヒートポンプシステムと組みあわせることでランニングコストを低減できます”

まあ、ランニングコストに関しては、経済効果の際にぶった切るとして・・・

あくまで、“エコ”の部分で軽いツッコミを入れてみよう。

オール電化の場合は、ほとんどが深夜(夜間)電力契約を結んでいるはずである。

その際の、電力会社の説明文には、『深夜電力とは、電力消費の少ない深夜から朝にかけての電気を使用するため、料金が割安になる契約です。』とある。

これを見ると、深夜は電気使用量が少ないので、その余った分を買っているというような錯覚に陥る。

しかし、残念ながら、そうではない。

今回の福島原発で解ったように、原子力発電は、そうたやすく動かしたり止めたり出来る物ではない。

動かす際にも、慎重に慎重を期し、止める際にも、慎重に慎重を期し、そして動かしたら、動かしたで炉を安定させなければいけないので、常に一定の安定した運転をし続けなければならないのである。

言い方を換えれば・・・

“電気が不要だったとしても、作らねばならないのである”

では、その作りすぎた電気はどうしたら良いんだろう?

そうだ!

消費者に格安だと言って押しつければ、一石二鳥ではないか!!

・・・と、考えたかどうかはわからないが、私のように天の邪鬼は、このように考えてしまうのだ。

もともと、電気はピーク時にあわせて、供給量をはじき出す。

無駄がでるのは当たり前のことである。

発電所は常に稼働している。

そこで、自身の目の前のIHクッキングヒーターやエコキュートがガスを使わずCO2を出さないからエコとかいう“おためごかし”は、もう、うんざりである。

その手元で使っている電気の大元は、電気を作るための大量のCO2を発生しているではないか・・・

次回へ。