「真実の口」269 オール電化で良いんかい?⑱

前回、少し脱線してしまったので、今回は、“まとめ”を・・・。

3月11日の東日本大震災によって、被害を受けた福島原発の影響で、節電やらその他もろもろの理由で、電力会社は非難を浴び、急伸し続けていたオール電化住宅に歯止めが掛かった感がある。

そして、これを契機とばかりに、ガス会社は“ウィズガス”を合い言葉に、一気盛んにCM攻勢を強めている。

私たちのライフラインである電気・ガス・水道は、どれがかけても困るのである。

今回の地震で、原発の利権にどれだけの人間あるいは企業が群がっているのか解ったと思う。

昼間と夜間の電気料金に差を付けて、あまり電力の使われていない夜間の電気を買わせ、消費者を欺く。

これの裏には、原発必要性の正当化もあるのだろう・・・?

電気やガスは、我々の生活に欠かせない公共的な存在であるにも関わらず、何故、電力会社・ガス会社は、自己の利益の追求ばかりに走るのだろうか?

昨日、再生エネルギー買い取り法案が衆院を通過した。

「再生可能エネルギー買い取り法案」とは、電力会社に対し太陽光や風力などの自然エネルギーによる電力を、全量、国が決めた価格で一定の期間買い取ることを義務づけるものである。

これだけを見ると、買い取りを義務づけされた電力会社は、経営が圧迫されるのではと思う方もいるのではないだろうか?

いやいや・・・そんな心配はご無用である。

再生可能エネルギーのメリットは、利用者全体で享受することなので、買取りにかかる費用は、電気料金の一部としてユーザーが負担することになっているのである。

つまり、お金に余裕があって、太陽光発電システムを取り付けている人間だろうが、太陽光発電システムなぞ夢のまた夢というような、年金のみで慎ましく生活している高齢者からも、一律に電気料金を値上げして、その買い取りコストにあてるというのである。

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の原文がこれなのだが・・・

http://www.meti.go.jp/press/20110311003/20110311003-5.pdf

この中の“調達価格及び調達期間”に気になることが書かれている。

『経済産業大臣は、毎年度、当該年度の開始前に、電気事業者が次条第一項の規定により行う再生可能エネルギー電気の調達につき、経済産業省令で定める再生可能エネルギー発電設備の区分ごとに、当該再生可能エネルギー電気の一キロワット時当たりの価格(以下「調達価格」という。)及びその調達価格による調達に係る期間(以下「調達期間」という。)を定めなければならない。』

『経済産業大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、調達価格等を改定することができる。』

経済産業大臣のさじ加減で決められてしまう???

一応、『経済産業大臣は、調達価格等を定めようとするときは、総合資源エネルギー調査会の意見を聴かなければならない。』という条文もあるのだが・・・

参考意見として聞き流せば良いだけのことでは???

一つに権力が集中すれば、その利権を目当てに群がると言う構図は、すっかり慣れっこなのだが・・・

再生エネルギーとして期待されている、“風力”、“地熱”、“太陽光”などの自然エネルギーだが、エネルギー全体の1.1%にしか過ぎない。

自然エネルギーとしては、水力とあわせても9.2%にしかならない。

原発の恐怖を体験した今となっては、短期・中期・長期と考えて、段階的に自然エネルギーに移行していかなければいけないのは必至である。

伸びしろが大きければ大きいほど、利権も莫大になる。

資源の乏しいと言われているエネルギー問題は、我が国にとっては切実な問題である。

国・自治体・議員・企業・個人問わず、利己のために、国民を振り回すのは、止めて欲しいものである。

今回のテーマで取り上げたオール電化住宅ではないが、我々は、それが本当に正しいのかということを見極める目を持たなければいけないのではないだろうか?