「真実の口」293 東日本大震災・・・抗酸化からの提案xiv

前回まで、被災地各地の第一次産業の被害状況及びそれらへの抗酸化での対応策を提案してきた。

ただ、ひとつひとつの産業に対して、バラバラな提案をしているが、本来はこれらを全てサイクルの一環として捉えなければいけない。

先般、抗酸化からの提案ⅲで書いたが、私の考えに賛同していただいた方が、早速、ある漁連の副漁協長に打診をし、私の案を提案していただいたらしい。

最終的な回答を得ることは出来ていないが、是非とも、復興に抗酸化の一石を投ずるべく話を進めていきたいと思うが、これに絡めて、何故、全てを同時に考えなければいけないかを紐解いていきたいと思う。

前述の副漁協調との話の中で、復興も大事だが、これに併せて、ここ数年、頭を痛めている案件があるということを仲介者から電話で聞いた。

これは、第一次産業はもちろん、我々の生活にも密着した問題である。

それは、“海の栄養不足”である。

基本的に、沿岸の栄養は、陸地にある窒素やリンあるいは有機物が海に流入し、それらを生態系システム(当ブログで何度か書いているので解説は省く)によって、栄養へと変えられていく。

例えば、窒素やリンが河川から大量に流入すると、富栄養化となり、植物性プランクトンの増殖に繋がり、赤潮の原因になるということは多くの人が知っている。

赤潮が発生すると、それらが生きていくために酸素を大量に消費し、海中の溶存酸素が極端に減ったり、あるいはえらに直接張り付くことで別の病気を発生させたりと、他の海洋生物が生きていけなくなる。

本来であれば、陸の栄養分を元にして沿岸部で養殖している海苔やワカメあるいは養殖魚なども大打撃を受けることになる。

では、これらの窒素・リン酸の過多が何故起こるのか?

言わずと知れた、農業排水・生活排水が原因である。

このブログを読んでいる人は、当然、“えみなシリーズ”を使用しているだろうから・・・(¬д¬。) ジーーーッ

全くもって無関係な話だが、市販の洗剤には、水質軟化剤としてリンが含まれている。

また、農業においては、窒素やリンは植物の主要栄養素であると信じて、肥料として使用されている。

それを、垂れ流せば、海洋生物の生態系を狂わし、引いては陸の生態系も変えてしまう。

一応、環境相は、昨年、『海域の物質循環健全化計画検討方針』というものを打ち出し、陸域・海域が一体となった生物多様性に富み豊かで健全な海域の構築に向けた取組みを始めている。

《参考》http://www.env.go.jp/water/heisa/healthyplan/conf/kesen_001/mat01.pdf

ちょっと、副漁業長の話から脱線してしまったが・・・

副漁協長が言うには、「鹿が増えて、森林が荒らされ、海の栄養不足に陥っている」ということである。

ちなみに、この鹿ばかりではなく、獣害被害は全国的に深刻な問題となっている

平成18年度の農林水産省生産局「野生鳥獣による農産物被害状況」統計によれば・・・

面積でみると、鹿:353,000ha、猪:171,000ha、猿:42,000ha、熊2,000h、その他:6,000ha

被害量でみると、鹿:287,900㌧、猪:38,400㌧、熊:19,600㌧、猿:8,700㌧、その他:8,000㌧

被害額でみると、猪:552,900万円、鹿:430,900万円、猿:163,000万円、熊:76,400万円、その他:129,700万円

花札じゃないが、猪鹿猿の被害は年々増えている。

副漁協町が頭を痛めるのも頷ける。

農林水産省より、平成18年に『野生鳥獣被害防止マニュアル -生態と被害防止対策(基礎編)-』というものが出されている。

http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/h_manual/h18_03/pdf/kiso_zen1.pdf

鹿だけピックアップすれば・・・

http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/h_manual/h18_03/pdf/data2-2.pdf

前述の副漁協長も、対策として、「鹿を駆除するしかない・・・」という結論らしい。

農林水産省の対策は、あくまで対処法であり、何ら問題は解決していない。

果たしてそれで良いのか?

長くなったので次回へ・・・。