「真実の口」398 人命救助・・・その2

前回の続き・・・。

夏のある日、私は梅田に買い物に出かけていた。

いつもならば、ハンカチを持ち歩いているのだが、その日は忘れてしまっていた。

30度を超える猛暑に汗がしたたり落ちてくるので、どこかでハンカチを買おうと思った。

近くを見回すと、ディスカウントストアのドン・キホーテがある。

店内に入ると、所狭しと、商品が置いてある。

そう言えば、以前、放火事件があって、圧縮陳列が妨げになり、人が逃げ遅れて亡くなった事件があったよなぁ・・・納得!・・・と思いながらも、目的のハンカチを購入して、店を後にしようとした。

すると、そこに男性がうつぶせに倒れているではないか!

声をかけてみるが、反応がない・・・。

私は、慌てて、先ほど支払いを済ませた、レジへ戻り、店のスタッフを呼んだ。

男性は、呼吸はあるが、激しく痙攣を起こしていた。

私は、男性をゆっくり横向きにして、店の女性に、救急車を呼んで、併せて、タオルを持ってくるようにお願いした。

上向きにすると、吐瀉物があった場合、気道を塞ぐ可能性があり、てんかんの発作により、舌を咬んでしまう事があるということを記憶していたので、女性に協力してもらい、タオルの先端を口にこじいれた。

そして、彼女に、身元が分かるものを持ってないか、カバンやポケットを探してもらった。

決して、自分で行ってはならない。

介抱強盗に間違われる可能性があるからだ。

カバンの中に、身分証明があったので、名前を確認して、名前を呼びながら、意識を取り戻させようと試みた。

持病にてんかんを持っているのであれば、カードを持っている可能性があるので、カードを確認してもらったのだが、診察券のみでカードは所持していなかった。

ただ、診察券は、既往症について、分かるので、救急車が来たら、見せた方が良いと彼女に伝えた。

そのうち、男性の痙攣が徐々に治まり、私の呼びかけに反応するようになった。

時間にして、5分程度だろうか、救急車が来て、発見時の状況を説明して、店を後にした。

女性から、名前を教えて欲しいと言われたのだが、後々、面倒なので、そのまま立ち去った。

そして、また、会田氏と一緒の時に遭遇した。

それは、昨年、環境省主催のエコライフ・フェアに出展したときの事である。

展示会前日に、会場までの道のりを確認するため、歩いて行って、迷子になった珍道中は、過去のブログを見て欲しい。

散々、歩いて、疲れていた我々は、ホテル近くの居酒屋で食事をしようと言う事で、エレベーターでロビーに下りていった。

ロビーと言っても、渋谷のそのホテルは5Fにフロントがあり、1Fに下りるには、エレベーターを5Fで乗り換えなければならなかった。

我々が、エレベーターから出ると、隣のエレベーターの前で、女性が倒れているではないか・・・。

すぐ側には、男性がいたので、状況を聞くのだが、白い杖を持っており、「色弱なため、何が起こったのか分からないのだが、エレベーターに乗り込もうとしたら、急に後ろ向きに倒れたようだ」と言うのである。

エレベーターホールとフロントは離れた位置にあるため、スタッフも誰も気付いていないようである。

女性は、口元から血が出ているのだが、後頭部を打った可能性もあり、私は急いでフロントに伝え、救急車を呼ぶようにしてもらった。

会田氏と私は、とりあえず、女性を横向きにして、男性に女性の名前を聞き、何度も呼んで意識を取り戻そうとするのだが、なかなか意識がはっきりしない。

実は、このとき、男性から女性の既往症について教えられたのだが、ここでは触れるまでもないので、伏せる事にする。

会田氏が、持っていたブレスレットを女性の手に着けて、しばらくすると、痛みを感じだしたのかうなりだした。

そして、徐々に、顔に赤味が刺し、血の巡りが良くなったためか、ゴホゴホと咳をし出した。

血液混じりである・・・、こんなことがあるので、必ず、横向きにしていなければいけない。

しかし、救急車の到着が遅い・・・。

週末の渋谷、人も車も多いのだろう。

20分以上が経過したころ、ようやく、救急隊員が駆けつけてきた。

介抱している我々を見て、救急隊員は、我々に状況を聞こうとするのだが、我々は倒れた後の事しか分からないので、詳しくは、一緒にいた男性に聞いて欲しいと伝え、現場を後にした。

男性には、このブレスレットは、怪しい物ではないので、HPを見て欲しいと、ブレスレットと名刺を渡した。

その後に、食事をしたのだが、ブレスレットを着けていないにも関わらず、会田氏の頼んだコーラ、私の頼んだビールはあっという間に気が抜けてしまった。

相当のエネルギーを放出していたのだろうか?

次回へ・・・。