「真実の口」693 食の安全に関する再考⑱

前回の続き・・・。

前回、元大阪市立大学教授:畑明郎氏の中国の土壌汚染の調査報告を紹介させていただいたが、レポートはまだまだ続く・・・。

★湖南省株洲(しゅしゅう)市

中国最大の鉛・亜鉛の精錬所である株洲冶煉廠がある。

2006年1月7日、長江の支流・湘江(しょうこう)に、株洲冶煉廠からカドミウムが流出し、一部地域で、国家基準の25倍が検出された・・・( ̄□ ̄;)!!

流域では、身体の痛みを訴える住民が続出し、中には全身58箇所を骨折する住民もあらわれ、イタイイタイ病に似た症状が起きた・・・( ̄へ ̄|||) ウーム

★湖南省水口山(すいこうざん)鉱山

中国最大の鉛・亜鉛・銀の鉱山で、かつては「世界の鉛の首都」とまで評され、現在でも中国第4位の採掘量を誇る。

2007年の現地調査で、設備が古いことによる大気汚染が深刻化し、大気汚染による農地や土壌の汚染が進み、米の重金属汚染が起こっている・・・(*-゛-) う゛~ん

湖南省は非鉄金属鉱山が多く、河川や農地の重金属汚染は国内最悪と言われている・・・( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )

★湖南省岳陽(がくよう)県

2006年9月8日、岳陽県80,000人の飲料水源の河川で、基準の10倍を超えるヒ素汚染事件が発生。

原因は、上流にある桃林鉛・亜鉛鉱山後で操業する化学工場が、高濃度のヒ素を含む排水を未処理のまま大量に河川に放流したことが判明・・・ヾ(*`◇´*)オイッ!!

現地調査の結果、1億立米を越える選鉱廃滓堆積場(せんこうはいしたいせきじょう)がそのままに残されており、堆積場排水は垂れ流し状態だった・・・はあぁぁ(lll´θ`)=3ぁぁぁ・・・・

※選鉱廃滓堆積場・・・鉱石の中に含有される有価成分を分離したあとの、取捨された不要な鉱石を堆積する場所

★湖北省黄石(こうせき)市・大冶(だいや)市

大冶市には、中国の精銅発祥の地で、3000年歴史を有する銅緑山(りょくどうざん)鉱山があり、中国十一大銅山にも数えられている。

永年にわたる採掘と精錬により、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染が深刻となり、農作物の汚染も進み、“がんの村”が発生・・・((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

2009~10年に2度調査をしたらしいが、大規模な露天掘り、選鉱廃滓堆積場の放置、大量の煤煙を出す小規模精錬所が印象的だったという・・・。

★湖南省長沙(ちょうさ)市・瀏陽(りゅうよう)市

2009年7月、瀏陽市にある硫酸亜鉛やインジウムを生産していた科学工場によるカソミウム汚染で509人の健康被害、と2人が死亡するという事件が発生。

2010年に現地調査をしたらしいが、被害住民や浅い日新聞記者と閉鎖された工場に立ち入り検査をした際、現地公安と地元役人によって、一時拘束されたという・・・ヽ((◎д◎ ))ゝ ひょえぇ~

背景には、企業と役人の汚職によって、行政の監督が不十分だったのではと推測される・・・?

以上が、元大阪市立大学教授:畑明郎氏による、中国土壌汚染の調査結果である。

また、2010年10月3日、中国の耕地面積の約5分の1が、重金属汚染の影響を受けており、中国政府は汚染の拡大を防止するため「土壌汚染防治法」の公布準備をしていることが、中国新聞社から伝えられている。

その中で、武漢大学の教授で、環境法研究所の王樹義所長は、「中国の土壌汚染の状況は、すでに食品の安全や人体の健康に影響を与えるほど深刻になっている。土壌汚染の面積は拡大を続けており、中でも最も深刻なのは重金属類による汚染だ。」と指摘している。

そして、長江河口域の土壌分析データの驚くべき数値は、日本の土壌汚染の基準値に比べ、水銀は244倍、鉛は3500倍、カドミウムは4.2倍という・・・ヾ(0д0∥)ノ

畑氏は、中国での公害事件や汚染問題は、一過性の事故として処理される傾向が多く、日常的に汚染水を垂れ流しているのが実情らしいのだが、それがまた深刻さを深めていると指摘している・・・。

経済発展において、環境破壊は付き回ってくるものかもしれないが、日本を含む先進国が踏んだ轍を、発展途上国が踏まないように、先進国から技術供与したり、その国自体も企業体質から法整備まで、経済優先から環境優先の社会にしていかなければ、中国のみならず、発展途上国の環境問題は解決しないと思う・・・。

一つだけ、いい話を・・・。

四川省什?(しゅうほう)市に於いて、既に着工されていた銅・モリブデン精錬所計画にについて、環境汚染を懸念した住民の大規模な反対運動を受け、白紙撤回されたことが、2012年7月に報道され、中国でも、環境に対する住民運動が起き始め、環境へ配慮する兆しが見え始めている・・・(^-^)/

次回・・・。