「真実の口」721 食の安全に関する再考 39

前回の続き・・・。

前回は、1970年代を懐かしんだだけで終わってしまったが・・・(o´∀`;o)aポリポリ

今回は、’70年代の世界の情勢を見てみよう・・・(「  ̄ー ̄) ドレドレ・・・

’70年代、欧米諸国では、スタグフレーションに悩まされていた・・・。

スタグフレーションとは経済現象の一つで、stagnation(停滞)、inflation(インフレーション)の合成語で、経済活動を表現する造語である。

景気後退局面にありながらも、モノ不足によりインフレの状態となることを意味する。

通常、景気が後退し、雇用や賃金が減少すると物価の下落が発生するのだが、スタグフレーション下では、雇用や賃金が減少しているにも関わらず、物価が上昇し、収入が減るうえ貨幣や預貯金の実質価値まで低下するため、更に、生活が苦しくなる。

’70年代のスタグフレーションの大きな原因は、’73年と’79年のオイルショックである。

しかし、歴史を紐解くと、その遠因が布石としてちりばめられていたようだ・・・。

第二次大戦後の混乱期を除けば、アメリカでは、比較的安定した物価が続いていたが、ちょうど、リチャード・ニクソンが一期目の大統領になった’69年頃から物価上昇が目立つようになってくる。

当時、アメリカはベトナム戦争で国論が二分し、反戦運動が暴徒化するような状況下だった・・・。

ニクソン大統領は、’71年8月、ドル防衛、雇用促進、インフレ抑止を内容とした新経済政策を公表。

ニクソン・ショックというキーワードで覚えている方もいると思うが、金本位制を廃止し、ドルと金との交換を停止させ、ドルと外国通貨との為替レートをドルの価値を減少させるレートに変更させたのである。

この大胆な経済政策の導入だが、中東諸国のカルテル、世界の天候異変等々で、石油や農産物などの第一次産品の値上がりを抑えることはできなかった。

そして、’72年、世界各地で干ばつが広がり、農作物の生産量が落ち込んでいく・・・。

穀物需給率は逼迫(ひっぱく)していくのだが、その状況下、前年比1,300万トンもの小麦の減収となった旧ソ連が、突如として大量の小麦購入に踏み切ったことで世界の穀物相場は急騰するのである。

この年、旧ソ連は、それまでのアメリカの穀物年間輸出量3,000万トンに相当する穀物や大豆の大量輸入を行ったと記録されている・・・(^д^)スゲー!

アメリカが大量の在庫を抱えていたことから、突然の注文に急場を凌ぐことが出来たたが、この大量輸出の結果、一転して、「世界のパンかご」と呼ばれていたアメリカの穀類在庫が少なくなってしまうのである。

因みに、’73年、アメリカは大豆禁輸の方針を打ち出す・・・( ̄ェ ̄;) エッ?

戦後の日本国内の大豆生産量を見てみよう!

1945年(昭和20年)・・・170,400
1950年(昭和25年)・・・446,900
1952年(昭和27年)・・・521,500(◆)
1955年(昭和30年)・・・507,100
1960年(昭和35年)・・・417,600
1965年(昭和40年)・・・229,700
1970年(昭和45年)・・・126,000
1975年(昭和50年)・・・125,600
1980年(昭和55年)・・・173,900
1985年(昭和60年)・・・228,300
1990年(平成2年)・・・・220,400
1994年(平成6年)・・・・ 98,800(◇)
1995年(平成7年)・・・・235,000
2000年(平成12年)・・・119,000
2005年(平成17年)・・・235,000
2010年(平成22年)・・・225,000
(単位t)

’52年(昭和27年)のピーク521,500tから、アメリカが大豆禁輸を打ち出す’72年には、126,500tと約4分の1まで落ち込んでいる・・・。

(◆)(◇)は、最大収穫年と最小収穫年である。

因みに、大豆輸入量も見てみよう!

1965年(昭和40年)・・・1,847,469(1,464,924)
1970年(昭和45年)・・・3,243,790(2,952,449)
1975年(昭和50年)・・・3,333,753(3,041,186)
1980年(昭和55年)・・・4,400,605(4,225,611)
1985年(昭和60年)・・・4,909,505(4,345,350)
1990年(平成2年)・・・・4,681,382(3,456,337)
1995年(平成7年)・・・・4,813,489(4,064,782)
2000年(平成12年)・・・4,829,378(3,608,478)
2005年(平成17年)・・・4,180,626(3,126,218)
2010年(平成22年)・・・3,455,633(2,466,601)
(単位t)

前の数字は、総量で括弧内はアメリカからの輸出量である・・・( ̄へ ̄|||) ウーム

この件も、GM作物に絡めて後述する・・・。

しかし、もっと問題なのは、’72年の輸入量3,395,600tに対し、国内生産量126,500tと、大豆の自給率はわずか3%に満たないのである・・・( ゚д゚)ハッ!

しかも、我が国政府は、この自給率に対して無策どころか、アメリカは日本に友好的であるという立場から楽観視し、アメリカ大豆禁輸発表後も、暫くは悠長に構えていたというのだから驚きである・・・。

次回へ・・・。