「真実の口」89 大豆が危ない②

前回、遺伝子組み換えについて触れたが、遺伝子組み換えという名前は聞いたことがあるが、どういうものか解らないと言う方も多いと思うので、少し解説したいと思う。

生物はその姿や形、性質などを、親から子へ伝えながら種を維持している。

このことを遺伝と言い、また、これを担っているのを遺伝子という。

細菌や植物、動物にいたるまで、すべての生物は、遺伝子を持っていまる。

以前にも書いたが、遺伝子は蛋白質の設計図で、1つの遺伝子から1つの蛋白質が作られる。

DNA上には、これら蛋白質の設計図=遺伝子がいくつも並んでいる。

では、遺伝子組み換えとはどういう事かというと、生物あるいは細菌等の遺伝子の一部を切り取って、別の生物の遺伝子に組み入れたりすることをいう。

つまり、一つの得意性を組み事により設計図を書き換えると言うことである。

例えば、特定の除草剤を分解する性質を持った細菌から、その性質を発現させる遺伝子を、大豆の細胞に挿入することで、その除草剤に強い大豆が作り出すこともできる。

人間は安定した収穫や美味しさを追求して品種改良を行ってきた。

これも遺伝子を操作しているわけである。

では、従来の品種改良と遺伝子組み換えはどこが違うのだろう?

品種改良と遺伝子組み換えの徹底的な違いは、”種の壁”を乗り越えることが出来るようになったということである。

人工的に遺伝子を組み換え(設計図を書き換え)るため、種の壁を越えて他の生物に遺伝子を導入し、その結果として、改良の範囲が拡大し、改良期間の短縮が可能になったということである。

遺伝子組み換えについては賛否両論がある。

国では以下のように安全性を謳っている。

http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/qa/pamph02.html

確かに、医薬品では、1982年に遺伝子組み換えでインシュリンがアメリカで始めて承認され、1986年にはB型肝炎ワクチンが承認され、それ以後、次々と遺伝子組み換えの医薬品・ワクチンが開発されている。

食品としては、1994年にアメリカで「日保ちのよいトマト」として初めて登場した。

たかだか16年前のことである。

バイオハザードという言葉を聞いたことがあるだろうか?

若い人には、同名のゲームや映画で知られていることと思う。

バイオハザードとは、有害な生物(特に原虫、真菌、細菌、リケッチア、ウイルス)やその構成成分が環境中に漏れることによって発生する災害のことである。

設計図を書き換えた植物が何年先、何十年先、何百年先に人体・環境に影響がないと誰が言い切れるのだろうか?

昨年、新型インフルエンザの流行は、人間を恐怖に陥れたことをもう忘れたのだろうか?

あれは人為的ではないが、一種の遺伝子の書き換えである。

少し本筋から外れてしまったが・・・

大豆生産大国のアメリカでの遺伝子組み換え生産面積は、’06年で89%にも及んでいる。

これは、’02年には75%という数字だった。

ある調査では、’06年以降は毎年2%ずつ生産面積を拡大しているらしい。

現在、’10年だから8%増えた換算だと、97%になってしまう。

もちろんアメリカに次ぐ生産国であるブラジルもバイオエタノールが儲かると言ってどんどん作地転換されていっている。

ブラジルのバイオエタノール製造のために、オレンジジュースが高騰したのは記憶に新しい。

‘04年に食品分析センターが調査した結果、「遺伝子組み換え不使用」の表示があった豆腐7種類から、遺伝子組み換え大豆を使用した豆腐が3件検出された。

儲かるのだから仕方がない。

数年前、日本では偽装・偽造がブームとなった。

現在、遺伝子組み換えを使用した場合は、表示義務がある。

しかし、これも原料の5%までなら表示しなくても良い。

どこまで、何を信じたらいいのだろうか?

抗酸化大豆の収穫が待ち遠しい。