「真実の口」94 健康診断(医者)が病人を作る?⑤

3回に渡り、東海大学医学部の大櫛教授が著した「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」に書かれていることを寄稿した。

何故、「健康診断(医者)が病人を作る」というテーマで寄稿し、どのような理由で私が医者を信用しなくなったかに触れたいと思う。

大学卒業後、私は大阪にある証券会社に入社した。

時代は、1985年のプラザ合意により急激な円高が進行し、1ドル240円前後だった為替相場が1年後に1ドル120円台まで急伸し、バブルの幕開けという時期だった。

NTTの公開等もあり、今まで株とは無縁だった主婦層までも巻き込んでの、一大財テクブームが起きていた。

入社前は、証券会社は個人・法人の資産を株式で運用して、その運用のセンスさえあれば大丈夫と思い、大学時代から株価のシミュレーションをして遊んでいた。

しかし、入社してみると、外から見るのと中から見るのは大違いだったと言うことに思い知らされる。

自分の推奨する株式だけを顧客に買って頂くだけではなく、投資信託や国債等の募集物と言われる貯蓄物も大量なノルマがかけられる。

当時、3ヶ月ほど近く日曜も出勤したのを覚えている。

生来、負けず嫌いの私は、それでも営業成績はかなり優秀だった。

しかし、入社した年の10月19日にブラックマンデーという史上最大規模の世界同時株価下落を体験する。

日経平均も、25,746.56円から21,910.08円と3,836.48円下がる14.9%の下落となった。

経済の恐ろしさを身をもって体験した。

その後、最初に入社した会社は、顧客ありきではなく利益最優先という経営方針に嫌気がさし、多分、経営も危なくなると思いやめる決意をする。

その時、丁度、金融関係に触手を伸ばしていた某大手グループが証券会社の大阪支店を出すと言うことで声をかけられて、縁があって会社を移った。

そこは基本的に、成績さえ上げれば何の文句も言われない会社だったので、顧客最優先という私の考えにピッタリだった。

一応、ここでも成績は優秀な方だった。

しかし、日常生活の中でも、ニューヨークダウや為替に一喜一憂し、そんなことをいつも気にする生活を続けたことで、ストレスがたまったのか心臓に負担がかかったらしく、心臓が痛み出した。

病院に行くと、心電図を取られ、狭心症の疑いがあるということで、ニトログリセリンを渡された。

「えっ!そんな簡単に狭心症にされるのか?」と私は思い、別の病院に行くことにした。

そこでは、24時間心電図を記録できる計器をつけて、観察してみようと言うことになった。

24時間計器で測定してみると何ら異常はなかった。

危うく私は、ニトログリセリンを外せない心臓病患者にされるとこだった。

それ以来、私の医者嫌いが始まった。

健康診断を受けて、数値がおかしくても、何故、老若男女同じ数値で決められるのかと疑問を思い、極端に異常がなければ放っておいた。

今回、東海大学医学部の大櫛教授が著した「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」を手にして、私の考えは間違いではなかったと思う反面、今の健康診断制度に対して、更なる疑問を膨らませることになった。

大櫛教授の「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」では、自分の身体は自分で守る時代であると書いている。

巻末には、様々な、五歳ごと男女別の診断基準が提示されており、自身で得点をつけて診断出来るようになっている。

是非、皆もこの本を参考にして、健康診断や医者に病人にされないように気をつけていただきたい。

検査値と病気 間違いだらけの診断基準