「真実の口」1,085 平成28年熊本地震から1年・・・⑤

前回の続き・・・。

前回までに、人的、建物、交通等々の被害状況についてご報告させていただいたが、今回は、産業的な被害状況をご報告させていただく。

地震発生3か月後に発表された数字と比較してご覧いただきたい。

■農業関係の被害
・農作物等・・・約349.7億円→約607.3億円
農作物の損傷・・・350ha他→332ha他、約2.6億円→約3.8億円(熊本県、大分県)
家畜の斃死等・・・541,330頭羽他→325,387頭羽他、約9.9億円→5.3億円(熊本県、大分県)
共同利用施設の損壊等・・・225箇所→205箇所、約196.6億円→約101.0億円(熊本県、大分県、宮崎県)
農業用ハウスの損傷・・・171件→920件、約11.8億円→約36.8億円(熊本県、大分県、宮崎県)
畜舎等の損壊・・・1,183件→11,418件、約128.8億円→約460.6億円(熊本県、大分県、宮崎県)

・農地・農業用施設関係・・・約713.0億円→約713.2億円
農地の損壊・・・11,696箇所(±0)、約278.3億円(±0) (熊本県、大分県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県)
農業用施設等の損壊・・・5,260箇所(±0)、約434.9億円(±0) (熊本県、大分県、福岡県、佐賀県、宮崎県、鹿児島県)
〔内訳〕
農業用施設(ため池、水路、道路等)・・・5,187箇所(±0)、約397.1億円(±0)
農地海岸保全施設・・・70箇所(±0)、約35.0億円(±0)
農村生活環境施設(集落排水施設)・・・3箇所(±0)、約2.8億円(±0)

■林野関係・・・約395.4億円→約439.7億円
林地の荒廃・・・433 箇所→474箇所、約347.8億円→約392.9億円(熊本県、大分県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県)
治山施設・・・36 箇所→45箇所、約26.6億円→約25.3億円(熊本県、大分県)
林道施設等・・・1,686 箇所→1.687箇所、約12.9億円→約13.4億円(熊本県、大分県、佐賀県、宮崎県)
木材加工・流通施設及び特用林産物施設等・・・29 箇所→30箇所、約8.0億円→約8.1億円
億円(熊本県、大分県、宮崎県)

■水産業関係・・・約32.8億円→約33.4億円
養殖施設・・・121件→186箇所、約 2.7億円→約3.2億円(熊本県)
水産物・・・14件(±0)、約1.6億円(±0) (熊本県、大分県)
漁場・・・1件(±0)、約1.1億円(±0) (熊本県)
漁港施設等・・・18漁港(±0)、約19.2億円(±0)(熊本県、大分県)
共同利用施設・・・17件→24件、約8.2億円→約8.3億円(熊本県)

ここに記載した、被害状況は、平成29年4月10日時点で、県から報告があったものである。

実に、農林水産業だけで、1,793.6億円(約302億円増)の被害を出しているのである・・・。

詳細については・・・。

【農業分野】
(ア)園芸作物等
一部の施設で被害があり、作物についても一部落果等の被害が発生。
① 共同利用施設
・18 の選果場で、外壁、選果ライン等の一部破損が発生(熊本県 17 件、長崎県1件)
② 農業用ハウス
・ハウス本体・高設栽培ベンチ・配管の損傷、燃油タンクの傾き等の被害が散見される 状況
③ 作物
・メロン、トマトの一部落果被害が発生
・いちご、レタス、すいか等の一部枯死被害が発生
・カーネーション、コチョウラン等の鉢物の一部落下被害が発生
・一番茶で一部適期を逃して収穫できなかった地域あり

(イ)畜産
当初は生乳の廃棄が発生したものの、4 月 21 日以降道路事情により集乳できない地域は なくなっている。施設等に被害が発生。
① 生乳
・発生直後は集乳できない地域が熊本県下で広がっていたものの、4 月 21 日以降道路事 情により集乳できない地域はなくなっている
・乳業工場の多くが操業を停止していたが、順次、操業を再開
② 酪農・肉用牛農家
・畜舎等の施設、設備が全壊又は一部損壊したほか、死亡牛も発生

(ウ)土地利用型作物
一部の施設で被害があり、水田においても地割れ等の被害が発生。
① 共同利用施設
・カントーエレベーター等で地盤沈下、配管や搬送設備の破損等の被害が発生
② 加工施設
・製粉工場等で配管の破損等の被害が発生
③ 作物
・ほ場の地割れや液状化、法面の崩壊等の被害が発生
・水路やパイプラインの損壊等により、水が確保できないほ場が発生

(エ)土地改良施設
熊本県内において水田 7,674 箇所の損壊について、査定前着工による応急復旧を実施。 本復旧については災害査定を完了し、復旧工事を実施中。また、県管理の農地海岸の復旧 工事については、直轄代行で実施。
・約2,000haが断水していた菊池台地地区では、土地改良区等による迅速な応急工事を 実施し、国営幹線水路からの取水はすでに可能となった他、県営以下の施設についても 5月30日に復旧完了されている。
・国営造成施設の筑後川下流白石地区(佐賀県)でパイプラインからの漏水を確認したが、現在は漏水が止まっている
・県管理の農地海岸については、12海岸で堤体の沈下、クラックを確認。熊本県から要 請を受け、7海岸の復旧を国による直轄代行で実施。堤防から漏水のあった海路口海 岸において、予備費を活用した緊急応急工事を実施し9月に完了。12月より本復旧に 着手。
・益城町、大津町、玉名市の3市町で農業集落排水施設の被害を確認。大津町、玉名市 については対応済みであり、益城町については管路が一部破損したが、4月30日に仮 復旧済
・県管理の農地海岸については、12海岸で堤体の沈下、クラックを確認。熊本県から要 請を受け、7海岸の復旧を国による直轄代行で実施。堤防から漏水のあった海路口海 岸において、予備費を活用した緊急応急工事を実施し9月に完了。12月より本復旧に 着手。水産関係に関しては、一部の施設に被害が発生したが、現在、水産物の水揚げや流通はおおむね順調に推移しているという。

【林野関係】
地震直後から県と協力して、ヘリ調査、技術職員による現地調査を実施。また、県管理の 治山施設の復旧工事については、直轄施行で実施。
(ア)林地の荒廃
① 林地被害
・山腹崩壊等の林地被害が、433箇所で発生(熊本県398箇所、福岡県1箇所、佐賀県1箇所、長崎県5箇所、大分県25箇所、宮崎県3箇所)
② 治山施設
・36箇所の治山施設で、施設の一部損壊等の被害が発生(熊本県31箇所、大分県5箇所)
・熊本県において被災した治山施設31箇所のうち、熊本県から要請を受けた17箇所に ついて直轄施行で実施

(イ)林道施設等
・152路線の林道施設で、路面の亀裂・沈下等の被害が発生(熊本県121路線、佐賀県 1路線、大分県12路線、宮崎県18路線)

(ウ)木材加工施設・流通施設、特用林産物施設等
・30箇所の木材加工施設等で、施設の一部損壊等の被害が発生(熊本県24箇所、福岡県 3箇所、大分県2箇所、宮崎県1箇所)

【水産関係】
一部の施設に被害が発生したが、現在、水揚げや流通は回復。被害のあった漁港について、 復旧工事を実施中。
・熊本県の17漁港、大分県の1漁港において、防波堤等に被害
・共同利用施設(荷さばき所等)の一部破損
・飼育水槽の排水管破損によるアユ等の斃死 ・民間事業者の錦鯉等養殖池が破損
・アサリ漁場(白川河口部)への堆積土砂の流入

【卸売市場】
一部の地方卸売市場において施設に被害が発生。現在、復旧工事を実施中。
・熊本市田崎市場青果棟及び水産物棟において卸売場等の一部破損
・他の市場においても、事務所被害等が発生

次回へ・・・。