「真実の口」1,092 平成28年熊本地震から1年・・・⑫

前回の続き・・・

前回、「被災ローン減免制度」について触れたが、政府広報に事例が出ているので参考例としてみてみよう。

【事例1】住宅ローンを一部免除(福島県・女性)

東日本大震災による影響で・・・
・自宅全壊
・現在は借上げ住宅に居住
・収入も大幅減
・800万円の住宅ローン返済が不可に・・・。

個人版私的整理ガイドラインを利用

【結果】
・自宅跡地の「公正な価額(※注)」に相当する約200万円を分割返済することとし、自宅跡地を手元に残して、約600万円の借入の免除を受けることができた。
(※注)時価に相当する額

個人版私的整理ガイドラインケース1

【事例2】住宅ローン・自動車ローンを一部免除(宮城県・男性)

東日本大震災の影響で・・・
・自宅が津波によって流出。
・現在、仮設住宅に居住。
・勤務先が被災して勤務不可となり、収入を失う。
・仮設住宅を退去する際には、家賃負担も発生するため、住宅や自動車のローン2,000万円の返済が今後困難に。

個人版私的整理ガイドラインを利用

【結果】
・保有していた現預金のうち、義援金など250万円含む合計750万円を手元に残し、それ以外の現預金600万円を住宅ローン・自動車ローンの返済に充当。
・600万円の返済後、残った借入金は免除に。また、自宅跡地と自動車は引き続き保有。
※上記とは別に、義援金を含む現預金750万円を保有。

個人版私的整理ガイドラインケース2

被災しないにこしたことはないのだが、もし、自身が被災者となたとき、あるいは親戚・知人が被災した場合は、いち早く、この制度を教えてあげた方が良いと思う。

東日本大震災では、津波で家が流された多くの被災者が、自宅を再建できずにローンだけが残ったり、再建しても二重のローンの重さに耐えきれず、後に自己破産に追い込まれたり、あるいは自殺したりという例が多々あった。

もちろん、東日本大震災では、この制度を作ろうとしたのは震災後だったため、以下のようなことがあったためということもある。

〇仕組みを一からつくった為、制度がスタートしたのが2011年8月と、震災から時間が開いていた
〇当初、手元に残せる資金は、公的な支援金などのほかは、最大99万円と、少なかった
〇仮設住宅に入っている人はすぐには利用できなかった
〇ローンを減免する制度があるということを、被災者に教えない金融機関も多かった

これらを踏まえて、日本弁護士弁連は「被災ローン減免制度」の周知徹底を呼び掛けている。

勿論、「被災ローン減免制度」は誰でもが受けられるわけではなく、ある要件を満たさなければいけない。

▼あくまでも、自然災害の被害によって「ローンが返せない」あるいは、「返せなくなる見通し」になったということ、
▼世帯の年収が、730万円未満であること
▼ローンの返済額と、新たに借りる家の家賃などの負担の総額が年収の40%以上になること
▼被災前は、住宅ローンなどの借入れについてきちんと返済していたこと

しかし、これは、あくまでも目安であって、家族構成や世帯主の年齢、それにローンの残高などを踏まえて、それぞれの金融機関が、総合的に判断するということになっているらしい・・・。

まずは、法テラスへ相談してみると良いのではないだろうか?

次回へ・・・。