「真実の口」1,120 煙草に関する考察・・・⑯

前回の続き・・・。

“喫煙=肺がん” or  “喫煙≠肺がん” に続いて、今回からは、巷で問題視されている“受動喫煙”について考えてみよう・・・。

まあ、受動喫煙も、肺がんリスクがあがるって言われているので同じようなもんなのだが・・・(笑)

国立がん研究センターを中心とする研究班が、昨年8月31日、以下のような調査結果を発表した。

『1984~2013年に発表された、喫煙者の夫がいる非喫煙者の妻らを主な対象にした9本の論文を合わせて解析したところ、受動喫煙がある人はない人に比べ、肺がんリスクは 1.28 倍 上昇する。』

以下がその調査結果だ。

国立がん研究センタープレスリリース:受動喫煙による日本人の肺がんリスク約 1.3 倍 

日本人での受動喫煙によるがんリスクが、統計学的に明確な差を見ることが出来て、科学的に証明されたのは初めてのことという。

この研究結果に伴い、肺がんのリスク評価で受動喫煙は、「ほぼ確実」から「確実」に変更され、がん予防の指針「日本人のためのがん予防法」でも、他人の煙草の煙を「できるだけ避ける」から「避ける」に修正された・・・そうだ。

しかし、こういう発表をされると黙っちゃいない企業が・・・( ̄▽ ̄;)アハハ…

そう・・・、J〇(日〇た〇こ〇業)さんである・・・キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

それも、即日、しかも、社長名を出しての反論である・・・d(^o^)b ィィョ

2016年8月31日
日〇た〇こ〇業株式会社
代表取締役社長 小〇 光〇

J〇の言い分としては・・・。

『今般、国立がん研究センターは、受動喫煙による日本人の肺がんリスクは約 1. 3 倍とする研究結果を報告し、「受動喫煙の肺がんリスク評価は確実である」との発表を行いました。

(※1)これは、過去に実施された日本人を対象とした疫学研究論文から9つの論文を選択し、これらを統合して統計解析したところ、受動喫煙を受けない非喫煙者のリスクを 1 とした場合に、受動喫煙を受けた非喫煙者のリスクが 1.3 となったとの結果をもって、受動喫煙と肺がんとの関係が確実になったと結論付けた発表であると認識しております。本研究結果だけをもって、受動喫煙と肺がんの関係が確実になったと結論づけることは、困難であると考えています。

(※2)受動喫煙を受けない集団においても肺がんは発症します。例えば、今回の解析で選択された一つの研究調査でも、約5万人の非喫煙女性中の受動喫煙を受けない肺がん死亡者は42人であり、受動喫煙を受けた肺がん死亡者は46人でした。(※3)肺がん等の慢性疾患は、食生活や住環境等の様々な要因が影響することが知られており、疫学研究だけの結果をもって喫煙との因果関係を結論付けられるものではありません。

また、今回用いられた複数の独立した疫学研究を統合して解析する手法は、選択する論文によって結果が異なるという問題が指摘されており、むしろ、ひとつの大規模な疫学研究を重視すべきとの意見もあります。(※4)今回の選択された9つの疫学研究は研究時期や条件も異なり、いずれの研究においても統計学的に有意ではない結果を統合したものです。

(※5)これまで、受動喫煙の疾病リスクについては、国際がん研究機関を含む様々な研究機関等により多くの疫学研究が行われていますが、受動喫煙によってリスクが上昇するという結果と上昇するとは言えないという結果の両方が示されており、科学的に説得力のある形で結論付けられていないものと認識しています。

(※6)受動喫煙については、周囲の方々、特にたばこを吸われない方々にとっては迷惑なものとなることがあることから、JTは、周囲の方々への気配り、思いやりを示していただけるよう、たばこを吸われる方々にお願いしています。(後略)。』

以下の構成上、ほぼ全文掲載になってしまった・・・ε=┏(; ̄▽ ̄)┛

こうまで言われると、国立がん研究センターも黙っていられなかっただろう・・・( ̄▽ ̄;)アハハ…

反論への反論・・・(ノ`□´)ノ⌒┻━┻

『J〇コメントは、国立がん研究センターが行った科学的アプローチに対し十分な理解がなされておらず、その結果として、受動喫煙の害を軽く考える結論に至っていると考えられます。これは、当センターとは全く異なる見解です。』

ここからが凄い・・・。

J〇の一言一句にド反論である・・・( ゚Д゚)┏┳ズドドドド*** —–**

J〇:(※1)『今回の選択された~。』

→『「9つの論文を選択し」との表現は恣意的に選択したような印象を与える、~(中略)~、この手法は、メタアナリシスの国際的なガイドラインであるPRISMAに従ったものである。』

J〇:(※2)『受動喫煙を受けない~。』

→『肺がん死亡者42人、46人という数値は、9つの論文のうち、女性における受動喫煙の相対リスクが最も小さい(つまり受動喫煙のリスクが小さい)論文から恣意的に抽出されたものである。~(中略)~。 受動喫煙を受けた群(「ほぼ毎日」)の肺がん死亡リスクは受けなかった群の 1.06 倍 となっている。~(中略)~。上記の 1.06 倍 は受動喫煙を「ほぼ毎日」受けた群の肺がんリスクであるが、受動喫煙を「1日3時間以上」を受けた者の肺がん死亡リスクは男性で 5.29 倍、女性で 1.12 倍と報告されており、受動喫煙の曝露量が多いほどリスクが大きい~(後略)。』

J〇:(※3)『肺がん等の慢性疾患は~。』

→『複数の研究を統合して解析する手法は「メタアナリシス」と呼ばれる。(中略)。メタアナリシスは、医学研究の中で最も信頼度が高いもののひとつとして位置づけられている。その理由は、個々の研究では対象者の偏りや不足、調整されていない要因などの影響で結果が不安定になるが、複数の研究を統合することでより確かな結果が得られるからである。喫煙や生活習慣など病気の予防法、病気の治療法、がん検診の有効性などは、研究者個人の意見や個別の研究ではなく、ガイドラインに基づいて決定される。』

J〇:(※4)『今回の選択された9つの疫学研究は~。』

→『(前略)~、研究時期や条件が異なる複数の研究で、1件を除いてすべて受動喫煙と肺がんとの関連を示す結果が得られており、このことがむしろ、受動喫煙と肺がんとの関連の確かさを示している。~(中略)~。メタアナリシスにおいては、個々の研究が有意であるかどうかではなく、複数の研究で結果の方向性が一致しているか、複数の研究を統合した結果が、統計学的に有意かどうかが重要である。』

J〇:(※5)『これまで、受動喫煙の疾病リスクについては~。』

→『世界保健機関(WHO)の下部組織である国際がん研究機関(IARC)は、2004年の報告書で環境たばこ煙について「ヒトに対して発がん性がある」と判定している。米国公衆衛生総監報告書は、2006年に受動喫煙と肺がんとの関連について「科学的証拠は、因果関係を推定するのに十分である」と判定している。いずれの判定も、メタアナリシスなどの疫学研究と、動物実験などの生物学的メカニズムを総合して行われている。~(後略)。』

J〇:(※6)『受動喫煙については~。』

→『受動喫煙は「迷惑」や「気配り、思いやり」の問題ではなく、「健康被害」「他者危害」の問題である。健康被害・他者危害があるという科学的事実に基づいて、公共の場および職場での喫煙を法律で規制するなど、たばこ規制枠組み条約で推奨されている受動喫煙防止策を実施することが必要である。』

如何だろう・・・?

伏せ字にしても分かっているだろから、これらのやりとりを全文掲載しているPDFがあるので興味がある方はどうぞ・・・。

受動喫煙と肺がんに関するJ〇コメントへの見解

次回へ・・・。