「真実の口」1,140 “香”という名のテロリスト・後編

前回の続き・・・。

前回、大手各社動向並びに芳香性柔軟剤及び洗剤ブームの背景を寄稿した。

しかし、第一次ブーム(2008年~)から、第二次ブーム(2012年~)への過渡期の間でさえ、香りについては随分と問題視されてきていたようだ。

“香料 健康影響”というキーワードで、Yah●●!で検索してみると、約552,000件がヒットして、既に警鐘を鳴らしている方も大勢いらっしゃるようだ!

香害(こうがい)・・・こんな造語もできている・・・ε=┏(; ̄▽ ̄)┛

因みに、“香料 健康被害”というキーワードで検索すると、約132,000件がヒットする。

前段の検索で『香料の健康影響』というサイトがTOPに検索されたので一通り読んでみた。

筆者の渡部和男氏が気になったので、調べてみると、『環境汚染問題~私たちと子どもたちの未来のために~』というサイトを運営している浜松医科大学の教官らしい・・・。

『香料の健康影響』の要約に書かれている言葉がすべてだと思う。

“香りの好みには個人差が大きく、全ての人が好む香りはありえない”

“香水” を “香り” に置き換えさせていただいたが・・・( ̄ー ̄)ニヤリ

P〇G、花〇、ラ〇オ〇という大手三社の戦略に乗せられて、自分の好きな香りをいくらブレンドしようが、その香りは、“貴方の好む香りは、他の人には香害にしかなってない”かもしれないのだ・・・ヽ(*`Д´)ノ

現実に、国民生活センターへの『芳香性柔軟剤の臭い』の相談件数は年々増えているようだ。

平成25年9月19日に国民生活センターから発表された『柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供』柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供』によれば・・・。

2008年・・・14件
2009年・・・9件
2010年・・・29件
2011年・・・32件
2012年・・・65件
2013年・・・38件(※1)
2014年・・・167件
2015年・・・139件
2016年・・・152件

(※1) 2013年は8月31日までのデータ

更に、その中で健康危害(※2)を訴えているものは・・・。

(※2)「健康危害」とは、商品・役務・設備に関して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けたという相談のこと。

2008年・・・3件
2009年・・・4件
2010年・・・20件
2011年・・・20件
2012年・・・41件
2013年・・・27件(※3)
2014年・・・109件
2015年・・・85件
2016年・・・94件

(※3)2013年は8月31日までのデータ

まあ、これは生活相談センターに相談された方の数なので、ご近所トラブルを避けたい大多数の方は沈黙を守っているはずである。

実数にすればこの数十倍、数百倍に上るのは想像に難くない。

2008年度から2012年度にかけての、危害情報の内訳をみると、被害者(身体にけがや病気等の疾病(危害)を受けた者)の性別・ 年代は、30 歳代~50 歳代の女性が 70%(74 件)と多くを占めているという。

また、被害に あった場所は、回答があった 72 件のうち、「家庭」が 92%(66 件)
を占めているようだ。

更に、危害内容としては、体調不良などの「その他の傷病及び諸症状」(81 件)と「呼吸器障害」(24 件)をあわせると、全体の 9%(105 件)を占め、全体のうち、危害症状が 一ケ月以上に渡っているとの申し出も 12 件あったという。

事例もあったので紹介しよう・・・!

◆本人が使用した柔軟仕上げ剤に関するもの

【事例1】柔軟仕上げ剤を使用したところ、においで気持ち悪く、体調不良になる
贈答品であるためもったいないと使い始めた。洗濯時の柔軟仕上げ剤のにおいで気持ちが悪く、体調不良になる。家族ともに同じ症状が出る。この商品は大丈夫なのか。
(2013年8月受付、40歳代、女性))

【事例2】柔軟仕上げ剤を使用したところ、せきが止まらなくなり、医師に複数の薬を処方された
柔軟仕上げ剤を使用し、室内干ししたところ、においがきつく、妻と 2 人ともせきが 出るようになった。柔軟仕上げ剤を使用したタオルで顔を拭くとせきが止まらなくなった。メーカーに連絡すると、柔軟仕上げ剤を持参して医師の診察を受けるように言われたのでそのとおりにした。2 人共アレルギーの反応が低かったため、原因不明とのこと で、複数の薬を処方してもらった。
(2011年10月受付、30歳代、男性))

◆他人が使用した柔軟仕上げ剤に関するもの

【事例3】近隣からの柔軟仕上げ剤と思われるにおいで悩まされている
最近、マンションのベランダ側から入ってくる近隣からの柔軟仕上げ剤と思われるに おいで、鼻や喉が痛くなり悩まされている。ベランダの窓を閉めていても換気口からにおいがする。
(2012年10月受付、40歳代、女性)

【事例4】隣人の洗濯物のにおいがきつ過ぎて頭痛や吐き気がある
隣人の洗濯物のにおいがきつ過ぎて頭痛や吐き気があり、窓を開けられなく換気扇も回せない。柔軟仕上げ剤のにおいではないかと思う。医師の診察は受けていないが、家族3人全員同じような症状で今まで特定の物質にアレルギーがあると言われたことはない。
(2013年6月受付、40 歳代、女性)

【事例5】飲食店の店員からの柔軟仕上げ剤のにおいで、食べたい気持ちがなくなってしまう
皆が柔軟仕上げ剤を使い過ぎてそのにおいに過敏に反応して気持ちが悪くなる。特に、 飲食店で柔軟仕上げ剤のにおいがする店員に運んで来られると食べたい気持ちがなくなってしまう。
(2012年6月受付、50歳代、女性)

【事例6】頭痛や気分が悪くなる。化学物質過敏症に苦しむ人がいることを知ってほしい
最近、香りが長く継続するような柔軟仕上げ剤が販売され使用している人が多く、近 隣の洗濯物や電車内等で、香り付きの柔軟仕上げ剤の香料によって頭痛や気分が悪くなることがある。化学物質過敏症に苦しむ人がいることを知ってほしい。
(2012年8月受付、40歳代、女性)

切実な問題である・・・。

渡部氏によれば、香料には様々な種類があり、その数は 4000 種類を越すという。

そして、事業者はそれらをブレ ンドして特徴のある香りを作っている。

しかし、所詮、化学的に合成もしくは抽出された化学物質であり、揮発すれば揮発性有機化合物(VOC)でしかない。

厚生労働省は、シックハウス対策として、室内空気質の総揮発性有機化合物(TVOC)の暫定目標値を 400μg/m3と定めている。

しかし、この基準値も2000年に定められたものであり、芳香性柔軟剤・洗剤の“香害”が問題になる前に定められたものである。

“香害”が複数の家から襲ってくるのだから、この基準などあっという間に超えてしまう可能性すらある。

業界団体にすれば、『衣料用の柔軟仕上げ剤は、家庭用品品質表示法の政令指定品目に該当しないことから、品質等 の表示については、各社の自由裁量に任されています。』と利益優先の態度を取っている。

当Blogで重ねて言っているが、呼吸器から体内に入った化学物質は、気管を通って、肺に集められる・・・。

肺を起点に、香という名の有害物質は、ろ過されることもなく、全身を巡っていく。

そして、これらの有害物質は、化学的性質によって親油性の物質は脂肪分の多い組織に蓄積していく・・・。

脂肪分の多い組織=内臓、脳へと深刻なダメージを与えていく。

あなたのその洗濯が、“香” という名のテロリストを作り出している・・・!

あなたの身勝手な “香” 信仰が、近隣の人を殺しかねないのである・・・!!

日本人は、元来、人に迷惑をかけないという気質が身についていた。

だからこそ、『防臭』・『消臭』という文化が根付いていたのに・・・。

香まで欧米人化して、自分さえよければという風潮に危惧をしてならない・・・( ̄へ ̄|||) ウーム