「真実の口」926 介護・・・2

前回の続き・・・。

12月7日付の毎日新聞では、2010~2014年の5年間に、首都圏1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)と近畿2府4県(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)で起きた介護殺人のうち、裁判記録を確認できたり、関係者を取材できたりした44件について、背景や動機を調べている。

そのリサーチの結果、以下のようにまとめられている。

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その結果、20(45)の加害者は、昼間だけではなく真夜中も介護したり、思い悩んだりして、深刻な寝不足に陥っていた。

認知症や痛みを伴う病気の患者は、睡眠障害や妄想から、眠らずに介助を求め、大声を出すことも少なくないとされる。

20件の加害者もこうした家族を介護しており、不眠が続いて追い詰められていたことがうかがえる。

20件以外の加害者が、不眠に悩んでいたかどうかは分からなかった。

ただ、44件のうち35(80)について、裁判所が介護疲れを事件の主な要因と認定しており、不眠に悩んでいた加害者の割合は、実際はもっと高いとみられる。

9件は貧困による将来の悲観などが背景にあったとされた。

「不眠」の20件のうち8件の加害者は、事件後の精神鑑定で「昼夜を問わない介護などで、事件当時うつ状態や適応障害だった」と診断された。

不眠が続いた影響で、精神的に不安定になった可能性がある。

他の事件の多くは、精神鑑定がされていなかったとみられる。

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具体的な例も挙げられている・・・。

( )の中は、事件当時の年齢である。

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2010年 地域:東京 加害者:息子(52) 被害者:母親(80)

【介護の状況】:認知症と脳梗塞(こうそく)で寝たきりの母親を息子が8年間介護。深夜のたんの吸引や母親のうめき声で肉体的・精神的に限界を感じた。

2012年 地域:奈良 加害者:母親(85) 被害者:娘(62)

【介護の状況】:深夜のおむつ交換など、脳性まひの娘の介護を約40年間続けた母親は体力の衰えや不眠からの鬱病となった。

2013年 地域:神奈川 加害者:娘(70) 被害者:母親(98)

【介護の状況】:高齢の母親の世話で娘は不眠や食欲不振となり、うつ病を発症。更に母親が難聴で意思疎通が困難になり追い詰められた。

2013年 地域:神奈川 加害者:夫(76) 被害者:妻(77)

【介護の状況】:深夜徘徊(しんやはいかい)を繰り返す認知症の妻の介護を続けた夫は心身が疲弊し、将来を悲観して無理心中を図った。

2014年 地域:大阪 加害者:夫(85) 被害者:妻(80)

【介護の状況】:パーキンソン病の妻の体調悪化や介護で夫は不眠や食欲不振となり、うつ病を発症した。

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如何だろうか・・・?

私は、正直言って、言葉を無くしてしまった・・・。

昨日までは、私たちと同じく平凡な日常を暮らしていた人たちが、ある病気の発症に伴い、介護生活を余儀なくされる・・・。

自分の愛する家族・・・。

祖父、祖母・・・。

父、母・・・。

夫、妻・・・。

息子、娘・・・。

兄弟、姉妹・・・。

一生懸命、献身的に介護を続ける・・・。

しかし、先が見えない・・・。

精神的にも、経済的にも、負担がのしかかってくる・・・。

そして・・・。

次回へ・・・。