「真実の口」935 介護・・・12

前回の続き・・・。

昨年12月7日~13日にかけて、シリーズ6回に分けて連載された「殺人事件の『告白』」には、多くの反響があったようだ。

12月29日、『自らに重ね 涙の反響』というタイトルで、再度、取り上げられた。

読者からの声である・・・。

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■脳出血で体がまひした母親を11年間、自宅で介護しているという看護師(48)。

連載5回目の記事を読んで、この長女を自らに重ね、何度も読み返したという。

昼間はデイケアに母を預けて働き、夜は一人で面倒を見る。

ショートステイ(短期入所)も何回か利用したが、母親が深夜に大声で叫ぶため、利用を拒まれている。

夜中のおむつ交換が頻繁になって「ちょっとはがまんしてよ!」ときつく当たったり、わがままを言われた時に母親をたたきそうになったりするという。

「母の鼻と口を布団でふさいだら、楽になれる……と考えている自分に気付きます。」

「涙が止まりませんでした。まさに彼女は私でした。記事にいやされ、救われました。」

「一番辛(つら)い思いをしているのは母なのに、なぜ、優しい言葉をかけることができないのか……と自分が情けなく、気付くと無意識に泣いていることがあります」

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■リウマチの痛みに苦しみ、夫の介護を受けている広島市の女性(64)。

連載4回目を読んで「身につまされた」という。

介護する側の夫も2年前にがんを患い、体調は万全ではない。

女性が痛みのために笑顔を見せないでいると、夫は機嫌が悪くなるらしい。

「なるべく『痛い』と言わないよう生活してきましたが、老化とともに厳しい毎日です。」

「立派に奥様を懸命に介護された。立派であればあるほど自分を追い込んでしまう悲劇を哀(かな)しく思います。」

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■認知症の母親を4年半にわたり介護しているという女性(53)。

「毎日他人事とは思えず、読むのが怖いと思いながらも読んでしまいます。」

「比較的、楽な介護生活を送っている私でさえ『殺してしまうかもしれない』という恐怖は常につきまとう。」

実際、約30年前に認知症の祖母を介護していた時には、何度も祖母を殺したいという衝動にかられたという。

「介護が原因で、大切な人を自分の手で殺してしまう哀(かな)しい人たちがいる。介護をしている人たちが持っているノウハウをマニュアル化しておくべきだ。」

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■脳梗塞や認知症の母を介護する大阪市の50代女性。

「兄に仕事してもらわないと母を養っていけず、介護は私一人でしている。何回か死のう、母を殺して一緒に死のうと思ったことがある。連載を読んで共感した。私はまだましかな、と思うが、本当に誰にもわかってもらえない。」

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■介護サービス事業者の50代元職員。

「昼夜逆転は介護者にはきつい。夜間に施設で預かってもらえると家族は少し助かるが、施設で夜勤する人が少ない。私も夜勤をしてきたが、きつい。社会全体が明日は我が身と思って真剣に取り組まなければ悲しい事件は繰り返される。介護に行政はもう少しお金をつぎ込んでほしい。」

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■愛媛県今治市の70代女性。

「夫を今年7月末に見送った。夫は夜の徘徊(はいかい)があり、私も働けなくなってわずかな貯金も底を突いた。耐えるしかなかったが、この連載の方々も先が見えなかった。追い詰められた在宅介護の疲れが分かり、ひしひしと胸に迫った。何年も笑った記憶もないですが、これからは自分の体を大事にしつつ、子どもに迷惑をかけないように笑って暮らしていきたい。」

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■大阪府枚方市の70代男性。

「今年10月、7年間の在宅介護の末に母をみとった。毎日5回のおむつ交換や、床ずれ予防の体位変換など、多忙の日々だった。毎晩一方通行だったが、いろいろなことを話しかけては涙、涙の連続。日々痩せ衰えていく母を見るのが、悲しくつらかった。介護の疲れや悩みの共有ができれば、介護にまつわる事件が減少するのでは。一日も早く安心して介護を受けられる社会が来ることを切望する。」

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■しゅうとめと父親が介護施設に入居中の兵庫県西宮市の50代女性。

「介護する側も介護される側も、それまでの生き方が問われると思った。「介護離職なし」「在宅介護の充実」などのかけ声は、お手伝いさんや子守を雇うのが当たり前の階級の人が作った幻想だと思う。財産がない人は本当に苦しいと思う。」

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■母親が入院中の50代男性

連載3回目に登場し、糖尿病などの夫を殺害した女性の気持ちが理解できる。私は体力とそれなりの収入もあり、ネットで情報収集ができるので、この女性のように一人で抱え込まずに何とかなっている。それでも、毎日泊まり込みの看病で体力的にも精神的にもストレスだ。いつまで続くのかも先が見えない。自分たちで情報収集しないと、生活が成り立たないことが悲しい。」

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今回は、原文のまま紹介させていただいた。

次回へ・・・。