「真実の口」943 介護・・・20

前回の続き・・・。

19回に渡り、毎日新聞の取材班による介護に伴って起きた悲劇をお伝えしてきた。

著作権等に抵触することを承知の上で、原文、あるいは要約して寄稿させていただいた。

介護の奥に潜む現実を、少しでも多くの人に伝えたいが為なので、毎日新聞さん、記者さん、どうかご容赦を・・・m(_ _)m

さて、ではこの介護問題について、識者や介護経験者が言うようなことが実現できたら良いのだろうか・・・?

■T健康福祉大学大学院教授・W.T氏

『関係者に聞き取りをしたり、臨床心理士や精神科医を交えたりして行政が再発防止に向けた検証をすべきで、介護現場からの情報を吸い上げて対処する仕組みが必要である。』

■T工業大学名誉教授・K.J氏

『介護殺人の加害者は、家族に対する責任感が強くて他の人に任せられないというタイプが多いので、介護している人自身も周囲の人もよく注意し、少しでも危険だと思ったら、病院や相談窓口に駆け込んで、その上、公的機関が責任をもって、在宅介護をする人を支える仕組みを考えるべきだ。』

■O学院大学社会福祉学准教授F.K氏

『介護殺人事件は社会保障制度の問題を内在しており、加害者の証言や心理分析を再発防止に生かすことが不可欠なのだが、日本では司法手続きで罪を裁くのが主眼で、事件を検証したり、加害者の社会復帰を支えたりする機能に乏しいので、再発防止につなげるためにも、精神的に追い詰められた加害者の心をケアする公的な仕組みを作るべきだ。』

■京都の男性介護者を支援する会の代表・H.M氏

『今の日本の社会では在宅介護は無償の営みと考えられがちで、ほとんど評価されることがないので、介護の社会的評価を高めて理解を広げることが、介護者支援の第一歩だと思います。』

■大阪府大東市の男性介護者を支援するHサロンの代表・W.Y氏

「男性の多くは悩みを相談するのが苦手なので、一人で介護をする男性には仲間と愚痴を言い合う場が必要だ。」

■兵庫県西宮市の介護者支援のNPO法人TのM.T理事長

『在宅介護での悩みは女性より男性の方が深刻で、介護は思い通りにいかないことが多く、孤独な作業な上、家事や育児に不慣れな男性ほど戸惑いやすいので、介護をしている男性特有の事情を踏まえた相談の場や家事支援がもっと必要だ。』

一人一人のご意見は正論なのかも知れない・・・。

~(行政が)仕組みを作る。

~(相談の場が)必要だ。

ただ、現実を考えてみよう・・・。

2015年6月4日に日本創成会議が、介護需要の増加見込みを発表している。

日本創成会議とは、東日本大震災からの復興を新しい国づくりの契機にしたいとして、2011年5月に発足した有識者らによる政策発信組織である。

データは以下の通りだ。

2015年

2025年

対15年増加率

2040年

対25年増加率

(万人)

(万人)

(%)

(万人)

(%)

北海道

24

32

32.4

39

21.0

東北

43

53

21.8

62

16.4

北関東

25

32

29.5

40

25.9

1都3県

118

172

45.0

219

27.5

埼玉

21

32

51.5

42

28.5

千葉

20

30

49.8

38

28.3

神奈川

32

47

47.7

60

28.8

東京

46

63

37.9

79

25.7

中部

86

112

29.8

135

20.3

近畿

99

135

35.8

159

18.3

中国

37

46

23.2

52

14.3

四国

20

24

18.4

27

12.4

九州

67

83

24.6

101

21.0

全国

521

689

32.3

834

21.1

あなたの住んでいる地域は如何だろうか?

厚労省は、「医療、介護、介護予防、生活支援、住まい」の五つを一体的に提供し、要介護者を、地域全体で進める地域包括ケアで支える仕組みを考えているらしいのだが・・・。

また、~仕組みである。

地域包括ケアの中心となるのは、ホームヘルプサービスやデイサービスの機能をまとめて提供する「小規模多機能型居宅介護」となる。

平成26年に厚生労働省が行った『介護サービス施設・事業所調査の概況』である。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service14/dl/tyosa.pdf

現実と理想の乖離が激しすぎるのが見て取れる・・・。

次回へ・・・。