「真実の口」974 平成28年熊本地震から3ヶ月⑦

前回の続き・・・。

前回、人的、建物、交通等々の被害状況についてご報告させていただいたが、今回は、産業的な被害状況をご報告させていただく。

■農業関係の被害

・農作物等・・・約349.7億円
農作物の損傷・・・350ha他、約2.6億円(熊本県、大分県)
家畜の斃死等・・・541,330頭羽他、約9.9億円(熊本県、大分県)
共同利用施設の損壊等・・・225箇所、約196.6億円(熊本県、大分県、宮崎県)
農業用ハウスの損傷・・・171件、約11.8億円(熊本県、大分県、宮崎県)
畜舎等の損壊・・・1,183件、約128.8億円(熊本県、大分県、宮崎県)

・農地・農業用施設関係・・・約713.0億円
農地の損壊・・・11,696箇所、約278.3億円(熊本県、大分県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県)
農業用施設等の損壊・・・5,260箇所、約434.9億円(熊本県、大分県、福岡県、佐賀県、宮崎県、鹿児島県)
〔内訳〕
農業用施設(ため池、水路、道路等)・・・5,187箇所、約397.1億円
農地海岸保全施設・・・70箇所、約35.0億円
農村生活環境施設(集落排水施設)・・・3箇所、約2.8億円

■林野関係・・・約395.4億円

林地の荒廃・・・433 箇所、約347.8億円(熊本県、大分県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県)
治山施設・・・36 箇所、約26.6億円(熊本県、大分県)
林道施設等・・・1,686 箇所、約12.9億円(熊本県、大分県、佐賀県、宮崎県)
木材加工・流通施設及び特用林産物施設等・・・29 箇所、約8.0億円(熊本県、大分県、宮崎県)

■水産業関係・・・32.8億円

養殖施設・・・121件、約 2.7億円(熊本県)
水産物・・・14件、約1.6億円(熊本県、大分県)
漁場・・・1件、約1.1億円(熊本県)
漁港施設等・・・18漁港、約19.2億円(熊本県、大分県)
共同利用施設・・・17件、約8.2億円(熊本県)

ここに記載した、被害状況は、あくまで7月14日時点で、県から報告があったもの(推計を含む)である。

実に、農林水産業だけで、約1,491億円の被害を出しているのである・・・。

その後については・・・。

農地・農業用施設に関しては、約2,000ha が断水していた菊池台地地区では、土地改良区等による迅速な応急工事を 実施し、国営幹線水路からの取水はすでに可能となった他、県営以下の施設についても 5 月 30 日に復旧完了されている。

また、県管理の農地海岸については、12 海岸で堤体の沈下、クラックが確認されたが、熊本県から要請を受け、7海岸の復旧を国による直轄代行で実施された。

更に、益城町、大津町、玉名市の三市町で農業集落排水施設の被害が確認されたが、大津町、玉名市については対応済みであり、益城町については管路が一部破損したが、4月 30 日に仮復旧済となっている。

水産関係に関しては、一部の施設に被害が発生したが、現在、水産物の水揚げや流通はおおむね順調に推移しているという。

■廃棄物関係

・県内各市町村で災害廃棄物の仮置場・・・26 市町村で合計61箇所
・災害廃棄物の発生総量・・・推計195 万トン(7 月12日16 時半時点)
・廃棄物処理施設(7 月 12 日16 時半熊本県情報)
ごみ焼却施設27施設のうち2施設が稼働停止。
し尿処理施設21施設のうち1施設が稼働停止。
最終処分場25施設全て稼働中。

■原子力発電所関係(原子力規制庁情報:7月14日11:30現在)

・玄海(九州電力管轄)・・・佐賀県玄海町、異常なし 、最大震度3(4月16日1:26)
・川内(九州電力管轄)・・・鹿児島県薩摩川内市、異常なし、最大震度4(4月16日1:26)
・伊方(四国電力管轄)・・・愛媛県伊方町、異常なし、最大震度4(4月16日1:26)
・島根(中国電力管轄)・・・島根県松江市、異常なし、最大震度3(4月16日1:26)

甚大な被害をもたらした熊本地震だったが、政府の対応も見てみよう・・・。

4月20日、被災地域において食料品、飲料水、日常生活品など当面の避難生活に必要となる物資を緊急支援するための経費として、予備費の使用(約23億円)を閣議決定。

5月13日、住宅の確保や生活再建支援金の支給など被災者支援に要する経費(約 780億円) と今後、被災者の方々の事業再建、道路・施設等のインフラ復旧やがれき処理等を迅速に進めていくための備えとして「熊本地震復旧等予備費」(約7,000億円)を内容とする平成28年度補正予算案(約7,780億円)を閣議決定し、5月17日に成立。

5月31日、中小企業・農業・観光業等の事業再開支援とインフラ施設等の復旧のための経費として、「熊本地震復旧等予備費」の使用(約1,023億円)を閣議決定。

6月14日、自衛隊の災害派遣活動や被災した自衛隊施設等の復旧と公共土木施設や治山・森林整備関係の災害復旧等のための経費として「熊本地震復旧等予備費」の使用(約590億円) 閣議決定。

東日本大震災時の前政権時代と比べて、皆は、どのように感じるだろうか?

次回へ・・・。