「真実の口」1,220 東日本大震災から 7 年ー後編ー

前回の続き・・・。

本来は、一寄稿だけにする予定だったのだが、3 月 5 日、目を疑う新聞記事が飛び込んだので≪後編≫を追加する・・・。

「<東日本大震災>被災者援護資金回収本格化」

東日本大震災で被災者に貸し付けた災害援護資金の回収が本格化し、市町村が危機感を強めているというのだ。

災害援護資金とは・・・。

災害弔慰金法に基づき、負傷や住宅が全半壊するなどした被災者に上限 350 万円を貸し付ける制度で、原資は国が 3 分の 2、都道府県・政令市が 3 分の 1 を負担し、窓口や回収事務は市町村が担う。

利子は 3% だが、東日本大震災では特例として 1.5% で、保証人がいれば無利子。

返済期間も 10 年から 6 年の猶予期間を含む 13 年に延長された。

東日本大震災での災害援護資金の貸付額は、 1 月末現在、 9 都県で約 519 億円( 29,472 件)に上り、約 8 割が宮城県の市町村ということらしいのだが・・・。

6 年の猶予を含 13 年が返済期間で、最も早い被災者で昨年 12 月に返済期日を迎えていることになる。

貸付額が約 233 億円( 10,5137 件)と全国最多の仙台市では、昨年( 2017年 ) 4 月、仙台市役所に、ある専門部署を発足させたという・・・。

その部署とは、被災者に貸し付けた災害援護資金の回収業務や相談窓口を担う『災害援護資金課』である。

約 15 人体制で、担当者を神戸市に派遣し、阪神大震災での教訓を学んだという・・・。

阪神大震災では、兵庫県内で、総額約 1,308 億円(56,422 件)が貸し付けられた。

国が免除要件を緩和するなどして、147 億円(昨年 9 月末現在)が、返済免除となったが、 55 億円(昨年 9 月末現在)の未回収金が残るという。

阪神大震災は、私の 2 番目の娘が生まれた年なのだが・・・。

神戸市では、約 30 億円の未回収金を抱えているらしいのだが、これまでに回収コストで 43 億円を費やしているというのだから本末転倒である。

仙台市でも、昨年、 12 月から回収が本格的に始まっているという。

上記にも示したが、借金の額は、一世帯最大で、 350 万円。

仙台市では、一月末現在で期日を迎えた 7,651 万円に対し、 2,033 万円が返済されず、滞納率は 26.6% に上るという。

仙台市災害援護資金課 S 課長は、「市に回収責任はあるが、何が何でも回収することが正しいとは言えない」とジレンマを口にする。

その理由は、「仕事が軌道に乗らず生活が厳しい」、「震災後に病気になり治療費がかさんで生活が苦しい」という状況を聞くにつけ、回収を強いれば、被災者を追い込むことになってしまうからだ。

昨年暮れに NHK で特集された例を挙げてみよう・・・。

例 1 :宮城県石巻市に住む S さん( 76 歳)。

災害公営住宅で、夫と二人、年金で暮らし。

S さんの自宅は、津波で大きな被害を受け全壊、家財道具なども流さた。

生活資金にも困り、災害援護資金 250 万円を借りる。

S さん夫婦の収入は、年金の月 20 万円弱。

当初は、年金から返済できると考えていたのだが、震災から六年が経つ間に状況は一変。

S さんは心臓を患い、夫も大腸ガンを発症。

入院や薬代などで、医療費は多い時で月に 6 万円近くに上るようになる。

生活に必要な最低限の支払いをすると、手元に残るのは1ケ月 2 万円余り・・・。

年間 36 万円の返済を続けていけるのか、不安を感じながら生きているという。

それでも S さんは・・・。

「支払いが近づいてくるにしたがって、やっぱり不安は出てくる。払って死にたい、きちんとして。そう思って生きてきた。途方にくれますよ。」

・・・と答える。

例 2 :水産加工会社でパートとして働く 60 代男性。

震災前、この男性は妻と子どもと 3 人暮らし。

電機設備会社の正社員として働いていたが、震災で会社が倒産し、失業。

収入が途絶えたため、災害援護資金 170 万円を借りる。

その後、仕事を探すものの、 50 代の後半だったこともあり、安定した収入を得られる仕事は見つからず、地元の水産加工会社で、時給 800 円のパート従業員として働いている。

現在、収入は夫婦合わせて 20 万円余り。

家賃や光熱費、食費などを支払うと、年間 26 万円の返済にあてるお金を捻出するのはかなり難しい。

それでも男性は・・・。

「仕事はやっていても、収入がなかなか上がらない。果たしてこの金額が払えるかなと。いずれは払わなきゃいけない額なんですけど。」

・・・と答える。

前述した神戸市では、三年前、返済していない被災者に対し調査を実施したという。

その結果、 7 割近くの人が、生活保護や自己破産などに陥っていて、すでに返済能力がないことが判明した。

神戸市保健福祉局 S 係長は、「返済してきた方との公平性もある。公金を回収するという使命もあるので、効果が上がっていなくても、同じ事務手続き、債権管理をしないといけないジレンマに陥っている。」と語っている。

神戸市では、生活保護や自己破産、それに年収が 150 万円未満の世帯などに限って、2015 年、返済を免除することを決めた。

東日本大震災でも免除の規定は設けられているのだが、適用されるのは今から 10 年以上先になるという・・・。

上記 2 例を紹介したが、東北ということもあり、真面目に返済していこうというのが伺知れる。

しかし、生活と返済と言う不安を抱えながら生きていく心労は如何ばかりかと思う。

こんな時ではないだろうか・・・?

民主党時代に発生した東日本大震災で被災された方々を自民党が大ナタを振るって助けの手を差し伸べるのは・・・フムフム(-ω-)3