「真実の口」1,298 遺伝子組み換え問題に朗報・・・⑬

前回の続き・・・。

前回、 GMO 作物の認可に対して、最終的な判断を行う“食品安全委員会”について寄稿した。

日本の現在の世論等を見れば、主食であるイネに関しては、安易な認可はないだろうとは思うのだが・・・?

ただただ、我国のことである・・・( ̄▽ ̄;)アハハ…

次に、評論家・三●貴●氏の発言を検証してみよう!

Q.1 種子法廃止後、種子は育生者権保護を強化した種苗法で管理⇒種苗法では、登録品種を「種子として販売・無償配布しない」という誓約書にサインを求められる。

➡種苗法とは、 1998 年 12 月 24 日に“新種苗法”が施行され、 2003 年 7 月に改正され、その目的としては、「この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。」とある。

つまり、「新品種を保護・育成を進めることにより、業界全体をますます発展させることを目的とし、新品種を保護するための法律」である。

種苗法

上記が、種苗法全文だが、どこにも、「種子として販売・無償配布しないという誓約書にサインを求められる。」という文言は無い!

Q.2 農業競争力強化支援法により、公的な種苗の生産に関する知見が民間事業者に提供されるのか?

➡農業競争力強化支援法とは、 2017年 5 月 19 日に公布され、同年 8 月 1 日に施工された法律で、その目的としては、「この法律は、我が国の農業が将来にわたって持続的に発展していくためには、経済社会情勢の変化に対応してその構造改革を推進することと併せて、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化の実現を図ることが重要であることに鑑み、これらに関し、国の責務及び国が講ずべき施策等を定め、当該施策の一環として事業再編又は事業参入を促進するための措置を講ずること等により、農業者による農業の競争力の強化の取組を支援し、もって農業及び農業生産関連事業の健全な発展に寄与することを目的とする。」とある。

つまり、「農業の構造改革」と併せて、「良質かつ安価な農業資材の供給」及び「農産物流通等の合理化」の実現を図るものである。

農業競争力強化支援法

上記が、農業競争力強化支援法全文だが、この第八条四号に以下のような文言がある。

「種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。」

これに対して、戦後から積み重ねてきた公的機関の知見(※注 1)を民間業者に払い下げろと記されているのです。

(※注 1)
① 実際に見て知ること。特に,神仏が衆生(しゆじよう)の願いを知ること。
② 知識。見識。 「 -を広める」
③ 〘仏〙 智慧(ちえ)に基づく認識。

まあ、平たく言えば、種子や種苗を生産するに当たって必要な技術、ノウハウのことだろう・・・。

これを言い換えて、「今まで培った知的財産を民間企業、特にモンサント社を含むGMO企業へ教えると言うことは売国奴である。」とまで騒いでいるのである。

しかし、ここで Q.1 で取り上げた“種苗法”について考えてみよう!

農作物の品種改良は、野生種のままでは食べにくかった野菜を食べやすくするために必要不可欠な作業として、古来より連綿と行われ続けてきたもので、こういった品種改良の結果に生まれた農作物の権利を守るのが、“種苗法”内に明記されている育成者権である・・・。

品種改良で生み出された新しい品種の農作物や花は、種苗法に基づき登録を行うことで、育成者に権利が与えられ、「農作物を対象とした知的財産権」と言えるもののはずである。

つまり、育成者の権利は守られているのだが、何をどう突けば、売国奴になるのだろうか?

Q.3 特定企業が、過去に日本政府や地方自治体が蓄積した遺伝子を活用し、開発した新品種の「特許」が認められる⇒本来、公共財であった種の遺伝子の権利が特定企業に移行するのか?

➡別に、日本政府や地方自治体が蓄積した遺伝子とまで言っているが、現物さえあれば、その遺伝子情報など簡単に手に入ると思うのだが・・・???

Q.4 低廉な種子を供給してきた制度が廃止され、種子価格が高騰する可能性が高くなるのか?日本国内で開発された種が外国の農場に持ち込まれ、農産物が生産される⇒「安価な日本原産の農産物」が、日本に輸入されるのか?

➡どうやら、これは、農協新聞 2017 年 3 月 30 日に掲載された京都大学院経済学研究科・久野秀二教授の記事を元に取り上げたもののようなのだが、論文も見つけたので、以下にアップする。

主要農作物種子法廃止の経緯と問題点

これに対しては、種子法廃止法の付帯決議がなされているので紹介しよう・・・!

・種苗法に基づき、主要農作物の種子の生産等について適切な基準を定め、運用すること。

・主要農作物種子法の廃止に伴って都道府県の取組が後退することのないよう、引き続き地方交付税措置を確保し、都道府県の財政部局も含めた周知を徹底するよう努めること。

・主要農作物種子が、引き続き国外に流出することなく適正な価格で国内で生産されるよう努めること。

・特定の事業者による種子の独占によって弊害が生じることのないよう努めること。

ただし、残念なことに、付帯決議はあくまで付帯するものであり、罰則規定も何もない・・・( ̄へ ̄|||) ウーム

一般的に考えれば、一民間企業が、を生産・管理する手間とコストを考えれば、コスト上昇ということは考えられる。

薬価等を見れば、想像が付くのではないだろうか?

ただ、自然災害、天候不良、厳寒、酷暑等が想定される将来に対して、種子の面からも考えていかなければいけない時期に来ているのではないだろうか・・・?

これに関して、国が完全に無策で民間に丸投げして、放棄するというのであれば、問題だと思う・・・(*-゛-) う゛~ん

農林水産省から、以下のような資料が出されている。

稲作の現状とその課題について

平成 27 年及び 28 年には、「稲作コスト低減シンポジウム」と題して、有識者を集めてシンポジウムが開催されている。

日本という国が、馬鹿でないことを願うばかりだ・・・(>人<)オネガイ!!

「安価な日本原産の農産物が、日本に輸入されるのか?」という問題については、少し複雑になる・・・。

TTP 問題がアメリカ離脱で喜んでいたのに、アメリカ抜きでの交渉が進んでいる現在、何とも言いようがない・・・。

ただ、現時点では、 1993 年、日本はウルグアイラウンド(※注 2)で、コメの一部自由化を認めたため、1995 年から国内消費量の 4% を最低限輸入することを約束させられている(ミニマム・アクセス)・・・。

(※注 2 ) 世界貿易上の障壁をなくし、貿易の自由化や多角的貿易を促進するために行われた通商交渉。

多分、これ以上の輸入はないだろうと推察しているのだが・・・。

また、次の問題提議にある種子クライシスとも関係してくるので次回へ・・・。