「真実の口」1,299 遺伝子組み換え問題に朗報・・・⑭

前回の続き・・・。

前回同様、三●氏の発言の検証!

Q.5 国内の種子の多様性が奪われ、遺伝子クライシスの恐れが発生するのか?

➡これは日本のみならず、世界的な問題になっているので、前回、あえて、日付を変えて寄稿することにしたのだ。

以下は、2011 年 11 月に National Geographic magazine に寄稿された文である。

『Food varieties extinction is happening all over the world—and it’s happening fast. In the United States an estimated 90 percent of our historic fruit and vegetable varieties have vanished. Of the 7,000 apple varieties that were grown in the 1800s, fewer than a hundred remain. In the Philippines thousands of varieties of rice once thrived; now only up to a hundred are grown there. In China 90 percent of the wheat varieties cultivated just a century ago have disappeared. Experts estimate that we have lost more than half of the world’s food varieties over the past century. As for the 8,000 known livestock breeds, 1,600 are endangered or already extinct.』

➡意訳
『食物品種の絶滅が世界各地で起こっており、そして、急速に起こっている。 アメリカでは、歴史上存在した果物や野菜の品種の 90% が消えている。 1800 年代に栽培されていた 7,000 種のリンゴの種のうち、100 種未満しか残っていない。フィリピンでは、数千種の米の種が繁殖され。しかし、現在では百種程度しか残っていない。中国では、ちょうど 1 世紀前に栽培された小麦品種の 90% が消えている。 専門家は、過去 1 世紀にわたって、世界の食品の品種の半分以上を失ったと推定している。 8,000種あった家畜の品種については、 1,600 種が絶滅の危機に瀕しているか、またはすでに絶滅している。』

また、アメリカでは農業で栽培している種子の種類が、 1903 年から 1983 年までに 93% が失われたと言われているらしい・・・。

更に、世界全体でも 1900 年から 2000 年の 100 年に 75% が失われていると言われているらしい・・・。

何故、急速にこのような状況が進んでいるのか?

実は、ここにもモンサント社が代表する GMO 多国籍企業の影がチラつくのである・・・ドキ(・・)ドキ

我々の祖先は、種子を自ら保存し、それを来年の耕作に使い、農耕を毎年毎年続けてきた。

地域によって、異なる種子が使われ、それにより多様性を保ってきた。

しかし、近年、種取りを行わず、種子企業から買うことが多くなり、そうした多様性は急速に失われているのだ。

そう、 F1 品種・・・(*゜0゜)ハッ

F1 品種については下記を参考にして欲しい・・・m(_ _)m

「真実の口」724 食の安全に関する再考 42

種子の多様性は、気候の変化に対応したり、病虫害を抑えるのに重要な役割を果たしてきた。

つまり、種子の多様性こそ、人類の生存を確保していく上で貴重な資源であるのである。

しかし、残念ながら、種子がビジネスつまり金儲けの対象になっている現在、世界の政治でさえも、種子の多様性を守ることに反対の方向に進んできているのだ。

ただ、人類も馬鹿ではないようで・・・ε=┏(; ̄▽ ̄)┛

種子の多様性の消失に危機感を覚えた人類は、 2001 年 11 月 3 日にローマで開催された第 31 回 FAO(※注) 総会において、「食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約(International Treaty on Plant Genetic Resources for Food and Agriculture:ITPGR)」を採択している。

(※注) 国際連合食糧農業機関( The Food and Agriculture Organization of the United Nations:FAO)のこと。 1945 年 10 月 16 日に“世界経済の発展及び人類の飢餓からの解放”を目的として設立され、日本も 1951 年に加盟。 194 加盟国 + 1 加盟組織( EU:欧州連合) + 2 準加盟国( 2016 年 9 月現在)

この条約は、『食料・農業のための植物遺伝資源の保全・持続可能な利用、得られた利益の公正・衡平な配分を目的とし、締約国による様々の措置を規定するととともに、植物遺伝資源の取得の促進と公正かつ衡平な利益配分のための仕組み(多数国間の制度)を設ける。』ものである。

2004 年 6 月 29 日、所定の要件を満たし、本条約は発効し、事務局は,FAO本部(ローマ)に所在している。

日本も遅ればせながら、2013 年 7 月 30 日、加入書を FAO に寄託し、同年 10 月 28 日より効力が生じている。

食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約

2018 年現在、143 ケ国及びEU(欧州連合)が署名・締結している。

また、UPOV 条約(International Convention for the Protection of New Varieties of Plants:植物の新品種の保護に関する国際条約)というものもある。

植物の新品種の保護に関する国際条約

ユポフ条約と読むらしい・・・。

この条約の目的は、『新しく育成された植物品種を各国が共通の基本的原則に従って保護することにより、優れた品種の開発、流通を促進し、農業の発展に寄与すること。』とされている。

1961 年に採択され、1968 年に発効し、1978 年と 1991 年に大きな改正がされているようだ。

日本は、1991 年の新条約には、1998 年に加盟している。

現在は、両条約を合わせると、 74 ケ国・1地域(EU)が加盟しているようだ。

UPOV 条約について

ただ、UPOV 条約の締結国とはいえ、品種登録の要件や方法が統一されているわけではなく、条約で定められた共通枠組みの中で各国独自の品種登録制度を持っていることになるそうだ。

日本国内では、種苗法による育成者権で守られ、海外では、UPOV 条約で知的財産が守られるということになっているようだが・・・。

前の Q.4 で出てきた「日本国内で開発された種が外国の農場に持ち込まれ、農産物が生産される⇒「安価な日本原産の農産物」が、日本に輸入されるのか?」にも絡んでくるのだ。

日本の優良品種が海外で遺法に栽培されないようにするためには、世界各国 UPOV 条約を締結してくれることが不可欠である。

しかし、条約を結んでいても全植物が保護対象とは限らないので、難しい所も出てくるのだ。

更に、UPOV 条約にある“新しく育成された植物品種”の中には、 GMO 作物も当然のことながら該当する・・・( ̄へ ̄|||) ウーム

諸刃の剣にならないことを願うばかりだ・・・( ̄▽ ̄;)アハハ…

種子クライシス・・・、人間の英知に頼るしかなさそうである

Q.6 モンサントなどの遺伝子組み換え作物の種子が広まり、日本固有の種子遺伝子が絶滅する(花粉の伝播は止められない)のか?

➡残念だが、現状ではこれを否定する材料は見つからない・・・ゥ─σ(・´ω・`*)─ン…

何故ならば、現状、国内での GMO 作物の商業栽培は行われていないことは前段でもお伝えしたが、輸入は大量に行われている。

一番多いのがコーン、次が大豆、そして菜種、最後が綿実という現状だ。

この中で、特に菜種は粒が小さいこともあって、輸送中にこぼれたと推察される GM品種が港や幹線道路沿いに自生しているのが発見されているのだ・・・。

もし、仮に、その GM菜種が野生の菜種と交雑したとしたら・・・(((( ;゚д゚)))アワワワワ

しかし、残念ながら、この仮定自体が、既に崩れているそうなのだ・・・Σ(゚Д゚;エーッ!

現在、交雑が進み、交雑種が誕生しているというのだ・・・工エエェェ(´ロ`ノ)ノェェエエ工

在来菜種の染色体数は 20 本、GM 菜種は 30 本・・・…((φ(。・c_,・。)φ))…フムフム

そして、その中間の 29 本の染色体を持った菜種が、日本各地で確認されているというのだ・・・ガ―――(((((∑(°Д° )))))―――ン

GM 菜種の自生やその交雑種が広まっていけば、将来的には菜種と同じアブラナ科の野菜にまで遺伝子汚染が広がっていく恐れも考えられる・・・(○Д○;)マヂッっiilllilll
アブラナ科の野菜・・・。

大根、蕪、油菜、水菜、小松菜、白菜、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、ハボタン、クレソン、etc・・・。

しかも、アブラナ科は交雑しやすいというのだから困ったもんだ・・・il||li _| ̄|○ il||li

現状をお伝えするしか術がないのが残念である・・・。

次回へ・・・。