「真実の口」1,365 24時間戦えますか?(笑)・・・⑬

前回の続き・・・。

前回、“パラベン”の安全性について調べてみた・・・。

因みに、当然のことだが、“パラベン”は、厚生労働省によって化粧品への使用制限が定められている。

使用上限は 1.0% ・・・!

当然だが、100g に対して 1.0g である・・・!!

それに伴い、あるサイトの調べでは、国内では、以下のような配合量が多いようだ。

● クリーム類・・・ 0.4 ~ 0.5%
● 化粧水・・・ 0.15 ~ 0.3%
● 低刺激の化粧水・・・ 0.15%

“パラベン”を検索すると・・・。

上野製薬が上位にHitする !

上野製薬は、色んな実験データを元に、“パラベン”の安全性を説いている。

パラベンの効果と安全性

上記のリンクに安全性を説いているのだが、残念ながら、自社で行ったのは抗菌力のみである。

安全性については・・・。

『パラベンは以前から多くの研究者や公的機関で in vitro(※注 1 ) 、 in vivo(※注 2 ) 試験によって、 急性毒性、反復投与(慢性)毒性、変異原性、生殖発生毒性、皮膚・眼刺激性及び感作性、光毒性、発がん性などの安全性に関する知見が多く得られています。

また、安全性試験以外にも ADME (吸収/分布/代謝/排泄)の知見が得られています。』

(※注 1 & 2 ) in vitro (イン・ビトロ)とは、生物の体内(  in vivo )で営まれている機能や反応を、生体外に取り出して行わせている状態をいう。

『化粧品の安全・安心の科学-パラベン・シリコーン・新原料-(島田邦夫 監修) 第6章 化粧品におけるパラベンの効果と安全性について( p55 ~ p58 )』からの引用のみ・・・。

それに・・・

『 FAO/WHO 合同食品添加物専門家委員会( the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives, JECFA )では、メチルパラベン及びエチルパラベンの 1 日許容摂取量( ADI )は 0 ~ 10mg/kgと認められています。』

・・・とあるだけ。

タウリンの時もそうだったが、製薬会社ってこんなもんなのだろうか?

知見があるならあるで提示すればいいと思うのだが・・・??

まあ、ここまでは化粧品としての“パラベン”の扱いであって、経口摂取する食品とはまた別として考えてみるか・・・(笑)。

わが国では、“パラベン”は、醤油、果実ソース、酢、清涼飲料水及びシロップ、果実及び果菜の表皮に使用することができる食品添加物(保存料)という扱いになっているらしい・・・。

前回、寄稿した“パラベン” 7 品目のうち、下記の 5 品目が食品衛生法第 10 条に基づき、食品添加物として指定されているということだ。

パラオキシ安息香酸エチル(エチルパラベン、 ethyl 4-hydroxybenzoate )
パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン、 propyl 4-hydroxybenzoate )
パラオキシ安息香酸イソプロピル(イソプロピルパラベン、 isopropyl 4-hydroxybenzoate )
パラオキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン、 butyl 4-hydroxybenzoate )
パラオキシ安息香酸イソブチル(イソブチルパラベン、 isobutyl 4-hydroxybenzoate )

次に、“パラベン”の食品としての、1 日許容摂取量( ADI )を見てみよう・・・!

以前は、FAO/WHO 合同食品添加物専門家委員会( JECFA )では、“パラベン”の中で、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルについては、比較的安全性が高いものとして ADI グループとしていたようだ・・・。

ADI グループに属するということは、毒性が判断しやすく、上限が定めやすいと言い換えられる。

ただ、“パラベン”については、色んな疑義があり・・・。

2006 年に開催された第 67 回 JECFA 会合の結果・・・。

● JECFA では、パラオキシ安息香酸エステル類のアルキル鎖が長くなるほど内分泌撹乱作用および生殖への影響も大きくなると推定。

●弱いエストロゲン(※注 3 )作用があることがいくつかの in vitro 試験系で報告されており、その作用は、 メチル < エチル < プロピル < ブチル < イソプロピル < イソブチル < ベンジルの順で増加。

(※注 3 ) 主に卵巣から分泌される雌性ホルモン。ステロイドホルモンの一種で、発情を誘発し、生殖腺・乳腺などの発育や第二次性徴の発現を促進する作用がある。

●委員会は、この非常に弱いエストロゲン作用がヒトの健康にどのように関連するかということは、現時点ではっきりしないと考えている。

●一方、げっ歯類で雄の生殖系への影響を調査した結果では、低用量で影響が見られている。

●パラオキシ安息香酸プロピルを未成熟ラットに 10 、 100 、 1,000 mg/kg* bw/day(※注 4 ) の用量で 4 週間混餌投与した試験では、100 および 1,000mg/kg*bw/day 投与群で用量依存的に貯蔵精子量や精子濃度の減少が確認され、全ての群で精子生産能と血中テストステロン濃度が減少した。

(※注 4 ) (以前にも開設しているが念のため)食品に用いられたある特定の物質について、生涯にわたり毎日摂取し続けても影響が出ないと考えられる一日あたりの量を、体重 1kg あたりで示した値。

●パラオキシ安息香酸ブチルで同様の試験を実施した結果、パラオキシ安息香酸プロピルよりさらに影響が強かった。

●新たなデータによればパラオキシ安息香酸プロピルは 10mg/kg*bw/dayという低用量で雄ラットへの影響を示しており、NOEL(※注 5 ) はまだ明らかになっていない。

(※注 5 ) no-effect level (無作用量)。化学物質の毒性試験で、複数の用量段階で動物への毒性を観察したとき、有害/無害を含めた影響が認められない最高の暴露量のこと。

●したがって、委員会は雄ラットへの毒性という観点から、パラオキシ安息香酸プロピルを食品に使用するパラオキシ安息香酸エステル類のグループ ADI から除外した。

つまり、ADI グループとして残ったパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチルのみが安全性が高いということだ。

元々、色んな意味で基準が厳しい、 EU では、認可していたパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルに対して、2004年に EFSA (欧州食品安全機関) は評価を行い、パラオキシ安息香酸プロピルをグループ AD Iから除外していた。

なお、我が国で食品添加物に指定されているパラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸イソブチルは、当初から ADI グループではない・・・(笑)。

メチル < エチル < プロピル < ブチル < イソプロピル < イソブチル < ベンジル

エストロゲン作用の強いとされる 2 番目、 3 番目、 4 番目が認められている・・・( ̄▽ ̄;)アハハ…

ではでは、我が国では、“パラベン”の扱いはどうなっているのか?

使用の認められているパラオキシ安息香酸エステル類は、食品衛生法第 11 条第 1項に基づき、使用基準が定められている。

■ 醤油・・・パラオキシ安息香酸として 0.25g/L
■ 酢・・・パラオキシ安息香酸として 0.10g/L
■ 果実ソース・・・パラオキシ安息香酸として 0.20g/kg
■ 清涼飲料水及びシロップ・・・パラオキシ安息香酸として 0.10g/kg
■ 果実及び果菜の表皮・・・パラオキシ安息香酸として 0.012g/kg

これ以外への使用はできない。

また、醤油においては、日本農林規格( H16.9.13 農水告第 1703 号)において、醤油に使用する保存料としては、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル及びパラオキシ安息香酸ブチルのうち 3 種以下と規定されている。

さあ・・・?

我が国は安全なのか・・・ε=┏(; ̄▽ ̄)┛

来週の 3 月 11 日で、東日本大震災から 8 年目を迎えるので次回はしばらく先へ・・・。