「真実の口」1,443 マイクロプラスチック ・・・⑧

前回の続き・・・。

前回、企業におけるプラスチック排出への取り組みを紹介した。

今回は、国レベルでの取り組みを見てみたいと思う。

海外では、プラスチック資源を循環製品と資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小限化するという循環型のサーキュラー・エコノミー(循環経済)という考え方が定着しつつある。

特にプラスチック問題に積極的である EU に関しては、以下のような設定を設けている・・・。

● 2030 年までに、 GDP + 7% :約 1 兆ユーロ( 123 兆円)の経済成長と雇用創出
• 6,000 億ユーロ(約 74 兆円)のコスト削減
• EU 圏内での年商 8% アップ
•廃棄物管理分野における 170,00 0人の直接雇用
●競争力の強化と供給の安全確保
●経済的・環境上の強靱性(ジリエンス)構築
●イノベーションの誘発
●温室効果ガスの総排出量を 2 ~ 4% 削減

世界的に見ても・・・。

2030年までに世界全体で 4.5 兆 US$ ( 507 兆円)の経済効果が見込まれ、我が国における循環経済のポテンシャルは、約 20 兆円以上の GDP 増の可能性があると言われている。

EUのプラスチック戦略を覗いてみよう!

( 1 )プラスチックリサイクルの経済性と品質の向上

・ 2030年までにすべてのプラ容器包装を、コスト効果的にリユース・リサイクル可能とする
・企業による再生材利用のプレッジ・キャンペーン
・再生プラスチックの品質基準の設定
・分別収集と選別のガイドラインの発行

( 2 )プラスチック廃棄物と海洋ごみ量の削

・使い捨てプラスチックに対する法的対応のスコープを決定する
・海洋ごみのモニタリングとマッピングの向上
・生分解性プラのラベリングと望ましい用途の特定
・製品へのマイクロプラの意図的添加の制限
・タイヤ、繊維、塗料からの非意図的なマイクロプラの放出を抑制するための検討

( 3 )サーキューラーエコノミーに向けた投資とイノベーションの拡大

・プラスチックに対する戦略的研究イノベーション
・ホライゾン 2020 (技術開発予算)における 1 億ユーロの追加投資

( 4 )国際的なアクションの醸成

・国際行動の要請
・多国間イニシアティブの支援
・協調ファンドの造成(欧州外部投資計画)

本気度が伺える欧州委員会は 2018 年 5 月 28 日、大量に蓄積した有害なプラスチック海ごみ削減に向けて、 EU 全域に渡る新しい規制を提案している。

欧州の海岸や海に多く見られる、使い捨てプラスチック 10 品目と漁具を対象とした 規制内容案を発表した。

・消費削減 : 各国が削減目標を設定し、代替品普及や使い捨てプラ有料配布を実施
・市場規制 : 代替物が容易に手に入る製品は禁止。持続可能な素材で代替品を作るべき製品の使用禁止
・製品デザイン要求 : 複数回使用可能な代替物・新しい素材やより環境に優しい製品デザイン
・ラベル要求 : 廃棄方法表示・製品の環境負荷表示・製品にプラが使用されているか表示
・EPR(生産者の義務拡大) : 生産者はごみ管理・清掃・意識向上へのコストを負担する
・分別収集対象物 : デポジット制度等を利用し、シングルユースのプラスチック飲料ボトルの90% を収集する
・ 意識向上 : 使い捨てプラ・漁具が環境に及ぼす悪影響について意識向上させ、リユースの推奨、ごみ管理を義務付ける

EU使い捨てプラスチック等に関する規制案

主な国別の使い捨てプラスチックの規制を見てみると・・・。

【フランス】

・ 2016年8月30日に政令を公布し、 2020 年 1 月 1 日以降、使い捨てのプラスチック容器について原則使用禁止とする。
・対象製品は、主な構成要素がプラスチックで、使い捨ての想定されているタンブラー、コップ及び皿。例外は家庭用コンポストで堆肥化できる生物由来の素材を 50% 使用するプラスチック容器で、 2025 年までにはこの割合を 60% に引き上げる。
・対象者は、プラスチック製の使い捨てタンブラー、コップ及び皿を、自身の経済活動での必要性により、有償あるいは無償で流通・使用、あるいは国内市場に初めて投入する個人または法人。

【イタリア】

・ 2018 年 6 月、欧州委員会に対して、 2020 年 1 月 1日より、マイクロプラスチックを含有する、洗い流せる化粧品の製造及びマーケティングを禁止する計画を通知。規制対象は、不水溶性の 5mm 以下のプラスチックを含有した製品。
・同規制は、 2019 年 1 月 1 日より、非生分解性で堆肥化できない綿棒を禁止する内容も含む。製造業者は、綿棒の正しい廃棄方法を包装に明記しなければならない。
・いずれの規制も、罰金は、 2,500 ~ 25,000 ユーロ。含有製品が多ければ、違反業者は総売上 20% を超える罰金を課される。

【イギリス】

・ 2018 年 4 月 18 日、プラスチックストロー、マドラー及び綿棒の販売を禁止する意向を発表。施行にあたっては、産業界と連携して代替製品の開発や法制化への適用に必要な時間を確保する予定。

【台湾】

・ 2018 年 12 月、 2019 年から食品・飲料業界でいくつかの段階に分けて使い捨てのプラスチック飲料用ストロー、プラスチックバッグ、使い捨て容器・器具を禁止する予定であることを発表。
»ストロー
・ 2019 年から、ファーストフードチェーンなどで店内でのプラスチック製使い捨てストローの提供を禁止
・ 2020年以降、無料のプラスチック製ストローがすべての飲食店で使用禁止
・ 2025年、持ち帰り用のプラスチック製ストローはお金を支払わなければならない
・ 2030年、完全に使用禁止
»プラスチックバッグや使い捨て容器・器具
・ 2020年、無料のプラスチック製ショッピングバッグ、使い捨て容器、使い捨て器具などを小売店で提供することが禁止
・ 2025年、使用に際しては追加手数料の支払いを義務化
・ 2030年、完全に使用禁止

【サウジアラビア】

・ 2017 年 7 月 9 日、プラスチックに関する新たな規制を発表、同年 12 月 12 日より運用開始。
厚さ 250μ 以下のポリエチレンまたはポリプロピレンを使用した使い捨てプラスチック製品の製造・輸入を禁止
プラスチック製品における政府承認の酸化型生分解性材料の使用を義務付け

【コスタリカ】

・ 2021 年までにペットボトルやレジ袋など使い捨てプラスチック製品を、再生可能かつ 180 日以内に水中で分解可能な製品に置き換えることを宣言

一番、手っ取り早く取り組まれているのがレジ袋の規制なのだが・・・。

各国におけるレジ袋規制

環境省が、“プラスチックとの賢い付き合い方”を進め、広める活動・取組として、Plastics Smart (プラスチック・スマート)というキャンペーンを行っているようだが・・・(笑)

「プラスチック・スマート」 キャンペーン

プララスチック資源循環戦略案に関しては・・・。

プララスチック資源循環戦略案

大丈夫か・・・?

ニッポン・・・??

次回へ・・・。