「真実の口」1,494 新型コロナウィルス・・・㉜

前回の続き・・・。

先週、 7 都府県に緊急事態宣言が発出され・・・。

「接触 8 割削減なら 1 ケ月で緊急事態脱出」

安倍総理が、爆発的な感染拡大を回避し、 2 週間後には増加する感染者数を減らし、封じ込めるために掲げたものである。

これは、新型コロナウィルスの今後の感染の広がりについて、人と人との接触をふだんより 2 割減らしたとしても爆発的な感染拡大は避けられず、 8 割削減した場合は感染が収束に向かうとするシミュレーションを感染症の専門家グループがまとめたものである。

シミュレーションを行ったのは、感染症が専門で国のクラスター対策班のメンバーでもある北海道大学の西浦博教授などのグループである。

西浦教授は、数理モデルと呼ばれる手法を用いて感染状況を推計する理論疫学の専門家である。

流行が始まった日を起点にして・・・。

無対策の場合は・・・?

☞緩やかな外出の自粛要請を行って、ふだんより人と人との接触を 2 割減らした場合は・・・?

☞強い外出制限を掛けて接触を 8 割減らした場合は・・・?

それぞれ人口 10 万人当たりの 1 日の新たな感染者数のシミュレーションは・・・??

その結果、流行開始から 30 日後には・・・。

無対策の場合・・・ 6,100 人余

☞接触を 2 割減らした場合・・・ 4,900 人余

☞接触を 8 割減らした場合・・・ 1,200 人余

1 カ月経過後・・・。

無対策の場合・・・オーバーシュート(爆発的な患者の増加)

☞接触を 2 割減らした場合・・・オーバーシュート(爆発的な患者の増加)

☞接触を 8 割減らした場合・・・ 感染収束

下のグラフがそれぞれを試算したものである。

行動制限によるシミュレーション

分析を行った西浦教授は、「今のような外出自粛のお願いだけでは接触は2 割ほどしか減らせず、 8 割削減するにはヨーロッパに近い外出制限が必要になり、国や自治体は早急に対策を打ち出すべきだ。ただ社会への影響を抑えるため医療や公共交通機関、それに物流を滞らせないような取り組みも不可欠だ。そして国民一人一人も慌てずにできることの準備を進めてほしい。」と話している。

東京の場合、流行が始まってから 10 日から 2 週間ほどたった状況だったということで、これからがオーバーシュートを防げるかどうかの重要な局面だと判断した安倍総理が、このシミュレーションを参考にして、緊急事態宣言発出したようなのだ。

単純に考えると・・・。

☞無対策の場合・・・ 1 × 1 = 1

☞接触を 2 割減らした場合・・・ 0.8 × 0.8 = 0.64

☞接触を 8 割減らした場合・・・ 0.2 × 0.2 = 0.04

百分率換算すると・・・。

無対策の場合・・・ 100%

☞接触を 2 割減らした場合・・・ 64%

☞接触を 8 割減らした場合・・・ 4%

まあ、明らかだ・・・〆(・。・〟)フムフム

これに関して、佐藤彰洋・横浜市立大教授が、発令地域を含む 15 都道府県を対象に、自治体が発表する新規感染者数と、感染・発症後に回復する人の割合を基に、感染した状態の人数の推移を分析算出したものがある。

新規感染者が大幅に増える時期より前の行動を「 100% 」とし、人と人との直接的な接触を今後 2 週間で何 % 減らせば、長期間新規感染が確認されない状態に近づくか目標値を示したものだという。

【今後 2 週間で必要な行動抑制率】

福岡県・・・ 99.8%
東京都・・・ 98.0%
京都府・・・ 97.2%
奈良県・・・ 97.0%
大阪府・・・ 96.0%
北海道・・・ 95.4%
千葉県・・・ 95.0%
神奈川県・・・95.0%
福井県・・・ 95.0%
愛知県・・・ 93.3%
茨城県・・・ 93.0%
兵庫県・・・ 91.2%
岐阜県・・・ 90.0%
埼玉県・・・ 89.0%
新潟県・・・ 70.0%

最も厳しい行動抑制が必要なのは福岡県で、 99.8% 減らさなければいけないことになるわけだが・・・ヽ((◎д◎ ))ゝ ひょえぇ~

例えば、感染拡大が続く東京の場合( 98.0% )・・・。

他人との接触をあらゆる場面で、各個人が 98% 減らす必要があるということになる。

もし、あなたが、電車やバス等の公共交通機関を通勤で計 1 時間利用していたとすると・・・。

1 × 60 × 0.02 = 1.2

通勤時間を 1.2 分まで短縮しなければならないということになる・・・ゥ─σ(・´ω・`*)─ン…

仮に週 5 日通っていたものを、 1 日にまとめようと思っても・・・。

1.2 × 5 = 6

最寄駅から一駅行けるか(?)行けないか(?)ということになる・・・“σ( ̄^` ̄;) エットォ

仕事や趣味で 1 日に接触する人数で考えると無理があるので、例えば、週に計 100 人と直接接触していた場合、 2 人に抑えなければいけないということになるのだが・・・σ(・ω・*)ンート…

ハッキリ言って、仕事も何も成り立つものじゃない・・・!

因みに、行動制限をした場合の東京と大阪の感染者数推移は以下のグラフになるようだ。

東京・大阪の行動制限によるシミュレーション

また、発症者や症状のない感染者の行動に着目した大橋順・東京大准教授(集団遺伝学)のシミュレーションもある。

世界の感染状況のデータから 1 人が平均 2.5 人を感染させると仮定し、人口 10 万人の都市で陽性者が 1 人いるとピーク時には 1 日の新規感染者が 17,500人に達すると試算がでるそうだ。

しかし、陽性者が接触頻度を通常時と比べて 55% 減らせば、新規感染者を 1 日 430 人に抑えられるという。

大橋准教授は、「無症状や未感染の人も含めて全員が人との接触頻度を抑えなければ感染者は増加の一途をたどり、医療崩壊につながりかねない。ワクチンや治療薬が使えるようになるまでの長期的な視点が欠かせない。」と訴えている。

ところで、緊急事態宣言で安倍総理が言及した人と人の接触を最大 8 割減らす行動に対して、自民党の二階幹事長が 8 日、「できるわけない。」と述べたというニュースが独り歩きしているが・・・。

二階幹事長発言

実際に二階幹事長が話していたのは・・・。

「人の接触を 7 割とか 8 割とか 8 割 5 分にするとかって、そんなことはできるわけがないじゃないですか。それは国民の皆さんのご協力をお願いすると、こういう早く言うと、お願いベースですよね。」

まあ、これまでも問題発言の多い御仁だから、恣意的に報道されるんだろうが・・・。

国民が危機に立ち向かおうとしている時に、このマスメディアの姿勢は如何なものだろう?

このところ、ソーシャル・ディスタンスという言葉を耳にする機会が増えた。

本来、ソーシャル・ディスタンス( Social Distance )は、特定の個人やグループを排除するという社会学用語である。

日本人はすぐにカタカナ化するので、ソーシャル・ディスタンスとして広まってしまったが、正確には、Social Distancing = ソーシャル・ディスタンシングである。

ソーシャル・ディスタンシング( Social Distancing)は公衆衛生戦略を表す用語で、疾病の感染拡大を防ぐため、意図的に人と人との物理的距離を保つということ。

具体的にどの程度の距離を置けばいいのかという基準は国や機関によって、若干違うようだ。

世界保健機関( WHO )では、「Maintain at least 1 metre (3 feet) distance between yourself and anyone who is coughing or sneezing.(咳やくしゃみをしている人との間で少なくとも 1m の距離を保つ)」と勧告している。

Basic protective measures against the new coronavirus

国によっては、例えばオーストラリアでは 1.5m 、アメリカでは  6ft (約 1.8m )、イギリスでは 2m となっているようだ。

我が国では、何やら 2m が推奨されているようなのだが・・・。

この距離が実際計ってみると、結構遠い・・・。

ただ、ソーシャル・ディスタンシングで、濃厚接触を避けることにより 8 割削減が出来るのであればそれに越したことがない。

以下、毎日新聞を参考にして私なりにまとめた。

和田耕治・国際医療福祉大教授(公衆衛生学)によれば、「(接触とは)手を伸ばすと触れあう距離で、具体的には 2m の範囲内に他の人がいることだ」と説明する。

つまり、屋内で人と会話をする時に、 2m 以上の距離をとる工夫をすれば、接触を避けられたことになり、会話をする時には、普段よりも一歩、二歩と後ろに下がれば良いと言うことだ。

では、実際に接触を 8 割減らすためにはどうすればいいのだろうか?

実際やってみれば分かると思うが、人と会話をする際に、 2m 離れて会話するとなると、かなり無理があることがわかる。

ただし、普段は 10 人の人と会っていたところを 2 人にしたり、 4 、 5 人のグループで出かけていたランチを 1人 で行ったりするなどという工夫である程度の削減が可能だと言う

近所に買い物に行く際も、家族の中で 1 人だけが出かけることで、留守番をしている家族が人と接触することを避けられる。

一人一人の小さな取り組みで 8 割削減を考えていかなければならないようなのだが・・・。

水を差すようで悪いのだが、 4/12 このようなニュースが伝わった。

患者から4メートル離れた空気中に新型ウイルス、推奨対人距離の2倍

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中国の研究者らが 10 日、調査の予備段階の結果を米疾病対策センター( CDC )のオンライン雑誌「新興再興感染症雑誌( Emerging Infectious Diseases Journal)」で発表したものである。

中国・北京の軍事医学研究院が主導する研究者らは、 2 月 19 日から 3 月 2 日まで、中国・武漢の火神山医院の集中治療室と新型肺炎患者用の一般病棟で物体の表面のサンプルと空気のサンプルを採取した。

研究チームが着目したのは、いわゆる「エアロゾル感染」だ。

せきやくしゃみの飛沫は数秒以内に地面に落下するが、ウイルスが超微細な霧状の粒子である場合は、空気中に数時間浮遊する。

研究チームは、ウイルスを含んだエーロゾルが主に患者の近くおよび風下側最大4メートルの位置に集中していることを確認

患者の風上側では最大約2.4メートルの位置まで確認できた。

論文は、新型肺炎の感染の仕組みについての議論に影響を与える内容だが、中国の研究チームは、今回調査した距離で検出された少量のウイルスで感染するとは限らないとしている。

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・・・という新たな情報が飛び込んできた。

そして、人の動きが思ったより制限できていないと感じた政府は、 GW を目前に控えて、 16 日、新型コロナウイルスの感染防止に向けた「緊急事態宣言」を全国に拡大した。

先行した 7 都府県と北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府を合わせた 13 都道府県を「特定警戒都道府県」に指定した。

取り敢えず、私は、極力行動制限をして、感染拡大防止に貢献できる態勢を取っていこうと思う・・・。

次回へ・・・。