昨年も、同時期に人口動態統計について取り上げたのだが、少し、興味深い統計が出ているのでご報告する。
昨年も解説したのだが、人口動態統計とは、我が国の人口動態事象を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的とするものであり、「戸籍法」及び「死産の届出に関する規程」により届け出られた出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の全数が対象となる。
調査の期間は、調査該当年の 1 月 1 日から同年 12 月 31 日までとされている。
前回の解説は以下のリンクで確認して欲しい。
今回は、コロナ前とコロナ後でどのように変わったのかを見てみようと思う。
下記リンクが、令和 3 年 9 月 10 日に厚生労働省から発表された 2020 年の人口動態統計である。
【出生数】
2020 年： 840,835 人( -24,404 人)
2019 年： 865,239 人
・ 1899 年(明治 32 年)の人口動態調査開始以来最少となっている。
・因みに、それ以前の統計も含む人口動態総括表を見ると、 1873 年( 明治 6 年)の出生数が約 84 万 2 千人と記されているので、それ以来の 84 万人台ということになる。
・母の年齢( 5 歳階級)別にみると、 45 ～ 49 歳の階級では前年より増加したが、その他の階級では減少している。
・出生順位別にみると、全ての出生順位で前年より減少している。
・出生男女比は 1.05 となっている。
【死亡数】
2020 年： 1,372,755 人( -8,338 人)
2019 年： 1,381,093 人
・2009 年(平成 21 年)以来、 11 年ぶりの減少となっている。
・死因別：
第 1 位：悪性新生物(腫瘍) 378,385 人(死亡総数に占める割合は 27.6% ) / 前年比：+1,960 人
第 2 位：心疾患 205,596 人(同 15.0% ) / 前年比： -2,118 人
第 3 位：老衰 132,440 人(同 9.6% ) / 前年比： +10,577 人
第 4 位：脳血管疾患 102,978 人(同 7.5% ) / 前年比： -3,574 人
第 5 位：肺炎 78,450 人(同 5.7% ) / 前年比： -17,068 人
第 6 位：誤嚥性肺炎 42,746 人(同 3.1% ) / 前年比： +2,361 人
第 7 位：不慮の事故 38,133 人(同 2.8% ) / 前年比： -1,051 人
第 8 位：腎不全 26,948 人(同 2.0% ) / 前年比： +304 人
第 9 位：アルツハイマー病 20,852 人(同 1.5% ) / 前年比： +122 人
第 10 位：血管性等の認知症 20,815 人(同 1.5% ) / 前年比： -579 人
・肺炎は前年比 -18% 減、インフルエンザは前年比 -73% の大幅減となっている。
・新型コロナウィルス感染症は、 3,466 人(同 0.3% ) となっている。
・熱中症の死亡数は、 1,528 人( 同 0.1％ ) となっている。
・自殺による死亡数は、21,081 人 / 前年比： +912 人
【自然増減数】
2020 年： ▲531,920 人( -16,066 人)
2019 年： ▲515,854 人
・ 2007 年(平成 19 年)より 14 年連続で減少・低下している。
【死産数】
2020 年： 17,278 胎( -2,176 胎)
2019 年： 19,454 胎
・死産率<出産(出生＋死産)千対>は 20.1 で、前年の 22.0 より低下している。
【 婚姻件数】
2020 年： ▲525,507 人( -73,500 人)
2019 年： ▲599,007 人
・ 2019 年は、“令和婚効果”によって久しぶりに前年比プラス 2% と増加したが、その反動があったものと考えられ、ここ 30 年間では最も大きい減少率となっている。
・ 1934 年( 昭和 9 年)の約 51 万組以来の低い婚姻数となっている。
・史上、最も婚姻数の多かった第二次ベビーブーム期の 1972 年の約 110 万組と比較すると半減以下となっている。
【離婚件数】
2020 年： ▲193,253 人( -15,243 人)
2019 年： ▲208,496 人
・離婚数を婚姻数で割ったいわゆる特殊離婚率は 36.7% であり、これは年 1899 年以降の統計上では 4 番目に高い離婚率となっている。
ここまでは、令和 2 年( 2020 )人口動態統計(確定数)による厚生労働省からの発表と私が調べた統計での報告である。
10 月 22 日(金)に、厚生労働省から最新の人口動態統計速報が発表されたので、これらに基づいて 2021 年に入ってからの死亡数を追ってみる。
【 1 月】
2020 年： 140,844 人( +8,222 人) / 前年比： +6.2%
2019 年： 132,622 人
【 2 月】
2020 年： 118,984 人( +1,974 人) / 前年比： +1.7%
2019 年： 117,010 人
【 3 月】
2020 年： 123,579 人( +4,418 人) / 前年比： +3.7%
2019 年： 119,161 人
【 4 月】
2020 年： 118,169 人( +4,807 人) / 前年比： +4.2%
2019 年： 113,362 人
【 5 月】
2020 年： 118,634 人( +10,254 人) / 前年比： +9.5%
2019 年： 108,380 人
【 6 月】
2020 年： 108,734 人( +8,311 人) / 前年比： +8.3%
2019 年： 100,423 人
【 7 月】
2020 年： 112,222 人( +7,373 人) / 前年比： +7.0%
2019 年： 104,849 人
【 8 月】
2020 年： 117,804 人( +6,213 人) / 前年比： +5.6%
2019 年： 111,591 人
【 2021 年 1 月から 8 月までの累計(令和 3 年 1 月～令和 3 年 8 月)】
2020 年： 958,970 人( +51,572 人) / 前年比： +5.7%
2019 年： 907,398 人
【 2020 年 9 月から 2021 年 8 月までの累計(令和 2 年 9 月～令和 3 年 8 月)】
2020 年 9 月から 2021 年 8 月： 1,436,116 人( +60,042 人) / 前年比： +4.4%
2019 年 9 月から 2020 年 8 月： 1,376,074 人
これらの統計をどのように感じるだろうか？
それ以前の過去 5 年を見てみよう
2015 年・・・ 1,290,510 人(前年比： +17,485 人)
2016 年・・・ 1,308,158 人(前年比： +17,648 人)
2017 年・・・ 1,340,567 人(前年比： +32,409 人)
2018 年・・・ 1,362,470 人(前年比： +21,903 人)
2019 年・・・ 1,380,198 人(前年比： +18,628 人)
ここ 5 年は、毎年 2 万人前後の死亡数が増えているようだが・・・。
今年は、 1 月から 8 月までの 8 ヶ月間で、 51,572 人増である。
因みに、この間にコロナウィルス感染症による死亡報告は・・・。
2021 年 1 月から 8 月まで： 12,572 人
2020 年 9 月から 2021 年 8 月まで： 14,754 人
この死者数増加の間にあった日本国内での大きな環境変化はワクチン接種である。
因果関係が無ければいいのだが・・・。
次回へ・・・。
