「真実の口」1,926 新型コロナウィルス・・・415

前回の続き・・・。

前回、京都大学大学院医学研究科・西浦博教授のインタビューを寄稿した。

日本は、社会として、 1 日あたり 2 〜 4 万の新規感染者数、毎日 250 人前後の死者を受け入れる覚悟があるのだろうかという話だったのだが・・・。

これを季節性インフルエンザと対比するとどうなるのか?

季節性インフルエンザは、これまでの調査では 0.5% ぐらいの感染者割合と言われているらしい。

ピーク時では 0.8% ~ 1.0% 。

1 シーズンを通じての累積患者数(受療者数)は、約 1,000 万人程度いると言われている。

“エンデミック期”の新型コロナは、 数%、場合によってはもう少し高い 5 ~ 6% になり得るので、少なくともインフルエンザと比べると数倍レベル、悪い場合だと 10 倍レベルの感染者割合になることも想定されれる。

インタビュー後編である。

エンデミックに至る過程で予想される大量の高齢者の死 今が未来を変えるラストチャンス

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Q. 新型コロナの感染者数が季節性インフルエンザの数倍から 10 倍になる“エンデミック期”には、どういう人が感染し、どういう人が亡くなるのでしょう?

A. 人口全体では少なくとも数 % ぐらいの感染者が出ることは覚悟しなければならないと、前編の説明で分かったと思います。

年齢別に SIRS モデルで分析した研究が、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの若手研究者から報告されています。デルタ株での分析ではありますが、彼女らは日本がこの先どうなるかも昨年夏に先んじて分析しています。

その時に重要なのは、今は流行が著しい“エピデミック期”ですが、その後、“ミッドターム(中間期)”という移行期間を経た上で、ウイルスが定着した“エンデミック期”に至るということです。

流行のフェーズの考え方(西浦教授提供)

このミッドタームは、少なくとも今後数年から 5 〜 6 年はかかるだろうと考えられます。そして、この間に日本でたくさん死者が出るのではないかと分析されています。

“エンデミック期”はウイルスが常在している状態なので、成人がみんな新型コロナウィルスに感染して、何回も反復感染するループに入ります。

その前の“ミッドターム期”では、“エンデミック”化を受け入れるため、高齢者が多い国ではかなり多くの高齢者が自然感染せざるを得ません。

それをくぐり抜けないと、“エンデミック”には到達しません。超高齢社会の日本にとって、最も大事な期間がこの後に始まろうとしていることを認識しなければいけません。

この研究では免疫持続期間が変化したら年齢群別群の感染リスクがどうなるか、4つのパターンに分けて見ています。

年齢群別·感染リスク(西浦教授提供)

左は「終生免疫」という 1 回感染したら二度と感染しない状態です。左から 2 番目が平均 10 年免疫が持続する状態です。その次が 1 年、右端は 3 ヶ月続くとして計算しています。現実に起こっていることは、右 2 つの条件が近そうです。

上の 4 つのグラフは初感染の人の年齢分布を見ています。下側は初感染と再感染全てを合わせたものです。

“エピデミック期”は全ての年齢で等しく感染し、高齢者も成人も感染していました。

“ミッドターム期”が水色で、“エンデミック期”が赤色です。

免疫持続期間が長ければ、この感染症は次第に子供だけの感染症になります。大人になるまでにみんな感染して免疫を持ちますが、免疫のない子供や若年成人はゆっくり感染していきます。感染規模も終生免疫があれば低く推移します。

しかし残念ながら現実は免疫持続期間が短い右2つの条件に近く、“エンデミック期”に入っても、全ての年齢層で感染し始めます。常に全ての年齢群で感染のリスクがあります。再感染するリスクも、“エンデミック期”になると規模は小さくなりますが、高齢者も含めて全ての年齢層で見られます。

(中略)

こちらのグラフは A が終生免疫で、 B が 10 年、 C が 1 年、 D が 3 ヶ月です。人口の中で年間の死亡者の割合を出しています。

人口の中で年間の死亡者の割合(西浦教授提供)

黒:イタリア(日本同様の高齢化が進行)
黄色:南アフリカ(若年層が多い)
水色:イギリス

シミュレーションしてみると、終生免疫があれば、コロナはしばらく問題になりません。ショッキングなのは現実の状況と近い C や D の国別比較の結果です。

比較的早い時期に“ミッドターム期”を経過して、“エンデミック期”に進みますが、死亡者の割合は高いレベルでずっと推移します。

しかも高齢化が進むイタリアは、若い国の南アフリカと比べると、目立って死亡者数が多いです。高齢の国で免疫持続期間が短いのは、最悪の高止まり状態が生まれ得るということです。

Q. 日本はイタリアよりも死亡者の割合が多くなる可能性が高いですか?

A. はい。実を言うとイタリアより多くなります。

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なかなか衝撃のシミレーションだが、果たして、日本はこのシミュレーションを回避することが出来るのだろうか?

先週中半の感染動向をリンクにて報告する。

8 月 17 日(水曜日)

8 月 18 日(木曜日)

次回へ・・・。