「真実の口」1,771 新型コロナウィルス・・・268

前回の続き・・・。

11 月 12 日(金)に、開催された合同部会で、モデルナ製の新型コロナウィルスワクチンの接種後、男性 4 人が心筋炎を発症し死亡したと報告された。

若い男性へのモデルナ接種をめぐっては、心臓の筋肉に炎症が起こる心筋炎などが出る割合が比較的高いとして、厚労省が注意を呼び掛けていたが、死亡したのは 20 代男性 2 人 と 40 代男性 2 人だった。

心筋炎で死亡した事例が報告されたのは、モデルナ製では初めてだが、接種との因果関係はいずれも評価不能とされている。

先行したファイザー製でも死亡事例は 26 例あり、若い男性に限ると 20 代の死亡例が 2 例ある。

今回発表の 27 歳の男性は 6 月28 日に 1 回目を接種し、 7 月 6 日に心停止し、 8 月 3 日に死亡した。

接種前から心臓に疾患があった可能性もあるといい「接種が原因と強く疑うことは困難」と専門家が評価した。

24 歳の男性は 8 月 14 日の 2 回目接種後、17 日に死亡した。

接種後には発熱や腹痛を訴えていた。

≪心筋炎関連症例≫

【ファイザー社製】

1.報告状況

○ ファイザー社ワクチン接種後の心筋炎関連事象(心筋炎・心膜炎)疑いとして、接種開始から 10 月 24 日までに製造販売業者から 210 例の報告があり、 10 歳代及び 20 歳代男性の報告頻度が多い傾向にあった。

2. 死亡事例

No. 年齢 性別 接種日 発生日 接種回数 ロット番号
4691 72 5/31 6月 1回目 EY4834
7007 85 6/8 6/19 1回目 EY5423
7677 84 6/25 6/25 1回目 FC5295
9114 80 6/14 7/2 2回目 FY5422
9322 67 7/10 7/10 2回目 不明
9975 71 6/16 6/25 1回目 EY0779
10272(※注) 85 6/8 7/24 1回目 不明
6/29 7/24 2回目 不明
11093 85 6/29 7/24 2回目 不明
11830 72 5/31 未記入 1回目 EY4834
13714 66 7/10 7/12 1回目 FD0889
14199 47 8/31 9/5 2回目 FF3622
14208 48 9/10 9/24 1回目 FF9942
14248 27 9/5 9/21 1回目 FG0978
14591 72 8/25 8/25 1回目 FF9942
14756 71 7/8 7/8 1回目 FC8736
14825 43 8/30 9/8 2回目 FF0843
15158 51 9/30 10/4 1回目 FJ5790
15388 85 6/8 6/19 1回目 EY5423
19187 76 7/17 7/19 2回目 FC3661
19230 71 6/16 6/25 1回目 EY0779
20377 85 6/29 7/24 2回目 不明
23184 27 9/5 9/21 1回目 不明
23762 71 7/8 7/8 1回目 FC8736
23893 72 8/25 8/25 1回目 FF9942
23971 43 8/30 9/8 2回目 FF0843
24044 47 8/31 9/5 2回目 FF3622

(※注) 1 回目摂取時、 2 回目摂取時ともに心筋炎発生。

★男女比は・・・。

男性: 14 人

女性: 12 人

★年齢構成は・・・。

10 代・・・ 0 人

20 代・・・ 2 人

30 代・・・ 0 人

40 代・・・ 5 人

50 代・・・ 1 人

60 代・・・ 2 人

70 代・・・ 9 人

80 代・・・ 7 人

90 代・・・ 0 人

100 代・・・ 0 人

★接種回数は・・・。

1 回目: 15 人

2 回目: 11 人

【モデルナ社製】

1. 報告状況

・武田/モデルナ社ワクチン接種後の心筋炎関連事象疑いとして、接種開始から 10 月 24 日までに製造販売業者から 152 例の報告があり、 10 歳代及び 20 歳代男性の報告頻度が多かった。

2. 死亡事例

No. 年齢 性別 接種日 発生日 接種回数 ロット番号
17070(※注) 24 7/17 1回目 不明
8/14 8/16 2回目 不明
17097(※注) 43 7/22 1回目
8/19 9/30 2回目 不明
28333 24 8/14 未記入 2回目 不明
28359 43 8/19 9/30 2回目 不明

(※注) 1 回目接種時、 2 回目接種時ともに心筋炎発生。

★男女比は・・・。

男性 4 人

女性 0 人

★年齢構成は・・・。

10 代・・・ 0 人

20 代・・・ 4 人

30 代・・・ 0 人

40 代・・・ 4 人

50 代・・・ 0 人

60 代・・・ 0 人

70 代・・・ 0 人

80 代・・・ 0 人

90 代・・・ 0 人

100 代・・・ 0 人

≪心筋炎関連事象疑い報告の状況について(前回の審議会データとの比較)≫

○ ワクチン間の被接種者の属性等が異なることに留意が必要であるが、最新の年齢、性別別の報告頻度の解析で、 10 歳代及び 20 歳代の男性について、引き続きファイザー社ワクチンに比べて武田/モデルナ社ワクチン接種後の報告頻度が高いことが確認された。

≪ワクチン接種後の心筋炎関連事象に係る臨床的経過について≫

○ ワクチン接種後の心筋炎関連事象については、若年男性において因果関係が疑われている一方、発症しても軽症であることが多いとされている。

○ 10 月 24 日までに製造販売業者より報告された10代~30代の男性事例の最新の転帰については、以下のとおりであった。

ワクチン接種後の心筋炎関連事象(10代~30代の転帰状況)

○ 心筋炎関連事象疑いとして製造販売業者より報告された 10 代~ 30 代の男性において、転帰が確認された者のうち軽快または回復が確認された者の割合は、ファイザー社ワクチン 84% 、武田/モデルナ社ワクチン 88% であった。

≪ワクチン接種後の心筋炎関連事象に関するまとめ ≫

・コロナワクチン接種後数日後に心筋炎を発症し、特に若い男性に多い報告が本邦を含めされている。

・ 機序は不明だが、ワクチン接種による発熱等の全身の炎症や免疫反応の賦活化により、心筋の炎症が惹起されることも考えられるが今後の解明が必要である。

・ 若年男性にワクチン接種後の心筋炎発症が多いことに関しては、女性では抗炎症作用を有するエストラジオールが血中レベルで高く心筋炎発症が抑制されていることも考えられる。一般的に心筋梗塞や心不全、心筋炎等の心血管病の発症が若年女性で少ないことと同じ機序と推察される。高齢者より若い世代で多いのはワクチン接種による発熱等の副反応の差と同じ理由と考えらえる。

・ ワクチン接種後の心筋炎発症の機序は未だ不明であり、因果関係も含めて今後の検証が重要である。

 

 

次に・・・。

前回の合同部会から取り上げられている血小板減少症を伴う血栓症( TTS )についても取り上げてみる。

≪血小板減少症を伴う血栓症( TTS )≫

【ファイザー社製】

1.報告状況

○前回の集計対象期間( 10 月 3 日)以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者から血栓症(血栓塞栓症を含む/血小板減少症を伴うものに限る)( TTS )疑いとして報告された事例が新たに 7 件あり、令和 3 年 8 月 3 日から令和 3 年 10 月 24 日までに報告された  TTS 疑い事例は計 39 件となった。

2. 専門家の評価

○令和 3 年 10 月 24 日までに報告された 39 事例を対象に、専門家の評価を実施。

TTSのブライトン分類(ファイザー社製)

○「ブライトン分類」での評価は、 39 事例中、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 12 例となっている。

・レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 12 件/ 66,306,484 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 0.2 件

【モデルナ社製】

1. 報告状況

○前回の集計対象期間( 10 月 3 日)以降、 COVID-19 ワクチンモデルナ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者から血栓症(血栓塞栓症を含む・血小板減少症を伴うものに限る)( TTS )疑いとして報告された事例が新たに 1 件あり、令和 3 年 8 月 3 日から令和 3 年 10 月 24 日までに報告された TTS 疑い事例は計 3 件となった。

2. 専門家の評価

○令和 3 年 10 月 24 日までに報告された 3 事例を対象に、専門家の評価を実施。TTSのブライトン分類(モデルナ社製)

○「ブライトン分類」での評価は、 3 事例中、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 2 例となっている。

・レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 2 件/ 19,612,307 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 0.1 件

【アストラゼネカ社製】

1. 報告状況

○前回の集計対象期間( 10 月 10 日)以降、バキスゼブリア筋注の副反応疑い報告において、医療機関から血栓症(血栓塞栓症を含む・血小板減少症を伴うものに限る)( TTS )疑いとして報告された事例はなく、令和 3 年 8 月 3 日から令和 3 年 10 月 31 日までに報告された TTS 疑い事例は計 1 件となった。

2. 専門家の評価

○令和 3 年 10 月 31 日までに報告された 1 事例を対象に、専門家の評価を実施。

TTSのブライトン分類(アストラゼネカ社製)

○「ブライトン分類」での評価は、 1 事例中、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 1 例となっている。

・レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 1 件/ 77,782 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 13 件

≪血小板減少症を伴う血栓症についてのまとめ≫

○ 血小板減少症を伴う血栓症については、副反応疑い報告基準を設定し、新型コロナワクチン接種後の発生状況を注視している。

○ 国内の報告事例については専門家評価を行っており、ファイザー社ワクチンについては 12 件、モデルナ社ワクチンについては2件、アストラゼネカ社ワクチンについては 1 件が、国際的な基準(ブライトン分類)に基づき血小板減少症を伴う血栓症と評価された。

≪ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症に関する論点のまとめ≫

○ 血小板減少を伴う血栓症の症状としては、ワクチン接種後 4 ~ 28 日程度の間に、重度もしくは持続的な頭痛等の症状が出現すると想定されることから、こうした症状が現れた場合は医療機関を受診することを Web サイト( Q&A )や添付文書等において注意喚起を行っている。

○ 引き続き、国内の接種状況を踏まえつつ、国内の血小板減少を伴う血栓症を疑う報告の状況や海外における報告状況を注視していくとともに、最新の情報の周知及び注意喚起を行っていく。

○ 血小板減少を伴う血栓症については、現時点においては、引き続きワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められない。

次回へ・・・。