「真実の口」1,768 新型コロナウィルス・・・265

前回の続き・・・。

11 月 12 日(金)に、第 72 回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和 3 年度第 22 回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)が開催された(以下、合同部会)。

≪アナフィラキシー報告事例≫

【ファイザー社製】

1.報告状況
○前回の集計対象期間( 10 月 3 日)以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 165 件あり、令和 3 年 2 月 17 日から令和 3 年 10 月 24
日までに報告されたアナフィラキシー事例は計 2,922 件、総副反応事例は計 15,231 件となった。

2.専門家の評価
○令和 3 年 10 月 24 日までに報告された総副反応事例 15,231 事例のうち、上記 165 件を含むアナフィラキシーの疑いのある 2,922 事例を対象に、専門家の評価を実施。
○評価結果の概要は、以下のとおり。

ブライトン
分類レベル
報告件数
1回目接種時 2回目接種時
1 103(±0) 81(-1) 22(+1)
2 428(+27) 321(+19) 107(+8)
3 24(+1) 21(+1) 3(±0)
4 2,268(+128) 1,691(+92) 577(+36)
5 99(+9) 68(+7) 31(+2)
合計 2,922(+165) 2,182(+118) 740(+47)

○アナフィラキシーの症例定義として国際的な指標になっている「ブライトン分類」での評価は、2,922 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 555( +28 ) 例となっている。

●レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数注・・・555 件/155,454,673 回接種
● 100 万回あたりの報告件数・・・ 3.6 件

○ブライトン分類レベル 1 ~  3 の年齢別・性別の報告件数も見てみる。

年齢 報告件数
男性 女性 性別不明
0~9歳 0(±0) 0(±0) 0(±0) 0(±0)
10~19歳 12(+2) 7(+1) 5(+1) 0(±0)
20~29歳 84(+7) 12(+1) 71(+6) 1(±0)
30~39歳 130(+6) 19(+1) 111(+5) 0(±0)
40~49歳 166(+8) 13(+1) 153(+7) 0(±0)
50~59歳 83(+4) 5(-1) 78(+5) 0(±0)
60~69歳 42(+1) 6(±0) 36(+1) 0(±0)
70~79歳 17(-1) 4(±0) 13(-1) 0(±0)
80歳以上 20(±0) 2(±0) 18(±0) 0(±0)
不明 1(+1) 0(±0) 0(±0) 0(±0)
合計 555(+28) 68(+4) 486(+24) 1(±0)
(参考)
65歳以上
61(-1) 12(±0) 49(-1) 0(±0)

表から見て取れることは・・・。

【年齢】
65 歳未満・・・ 494 ( +29 )例
65 歳以上・・・ 61 ( -1 )例

ファイザー社の報告通り、副反応は若年世代に多いことが伺える。

40 ~ 49 歳の年齢層を中心値にして、前後の年齢に副反応が多い。

【性別】
男性・・・ 68 ( +4 )例
女性・・・ 486 ( +24 )例

ファイザー社の報告通り、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。

次に、アレルギーの有無を見てみよう。

ブライトン
分類レベル
報告件数
アレルギー
既往歴あり(※注)
アレルギー
既往歴なし(※注)
1 103(±0) 21(-1) 82(+1)
2 428(+27) 92(+7) 316(+20)
3 24(+1) 5(+1) 19(±0)
合計 555(+28) 118(+7) 437(+21)

アレルギーの有無は関係ないようである。

(※注)  今回の合同部会のデータでは、“アレルギー既往歴あり”と“アレルギー既往歴なし”の数字がこれまでの発表の位置が変わっている。厚労省の発表ではよくやらかすことなのだが、今までと同じと判断し、修正して報告する。

【モデルナ社製】

1.報告状況

○前回の合同部会( 10月 3 日)以降、COVID-19 ワクチンモデルナ筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 42 件あり、令和 3 年 5 月 22 日から令和 3 年 10 月 24 日までに報告された副反応事例は、計 491 件となった。

2.専門家の評価

○令和 3 年 10 月 24 日までに報告された 491 件のうち、アナフィラキシーの疑いのある事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。

ブライトン分類レベル 報告件数
1回目接種時 2回目接種時
1 8(±0) 7(±0) 1(±0)
2 42(+6) 29(+2) 13(+4)
3 0(±0) 0(±0) 0(±0)
4 415(+35) 317(+23) 98(+12)
5 26(+1) 2+(+1) 0(±0)
合計 491(+42) 379(+26) 112(+16)

○「ブライトン分類」での評価は、 491 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 50 例となっている。

・レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 50 件/ 30,632,541 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 1.6 件

○ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数

年齢 報告件数
男性 女性 性別不明
0~9歳 0(±0) 0(±0) 0(±0) 0(±0)
10~19歳 3(+1) 0(±0) 3(+1) 0(±0)
20~29歳 21(+2) 8(+1) 12(+1) 1(±0)
30~39歳 15(+2) 3(±0) 12(+2) 0(±0)
40~49歳 6(±0) 1(±0) 5(±0) 0(±0)
50~59歳 4(+1) 0(-1) 4(+1) 0(±0)
60~69歳 1(±0) 0(±0) 1(±0) 0(±0)
70~79歳 0(-1) 0(±0) 0(-1) 0(±0)
80歳以上 0(±0) 0(±0) 0(±0) 0(±0)
合計 50(+6) 12(+1) 37(+5) 1(±0)
(参考)
65歳以上
1(±0) 0(±0) 1(±0) 0(±0)

表から見て取れることは・・・。

【年齢】
65 歳未満・・・ 49 ( +6 ) 例
65 歳以上・・・ 1 ( ±0 )例

今回も、20 ~ 29 歳の年齢層が一番多く、今回もアナフィラキシー症状があったのは 10 代~ 30 代のみなので、ファイザー社より若年層への偏重が顕著のようだ。

【性別】
男性・・・ 12 ( +1 )例
女性・・・ 37 ( +5 )例

ファーザー社同様、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。

次に、アレルギーの有無を見てみよう。

ブライトン分類レベル 報告件数
アレルギー
既往歴あり
アレルギー
既往歴なし
1 8(±0) 0(-1) 8(+1)
2 42(+6) 3(-1) 39(+7)
3 0(±0) 0(±0) 0(±0)
合計 50(+6) 3(-2) 47(+8)

前回と変化なしで、ブライトン分類 4 以下しかなかったようだ。

【アストラゼネカ社製】

1.報告状況

○前回の集計対象期間( 10 月 3 日)以降、バキスゼブリア筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシー疑いとして報告された事例が新たに 2 件あり、令和 3 年 8 月 3 日から令和 3 年 10 月 24 日までに報告されたアナフィ ラキシー疑い事例は計 3 件となった。

2.専門家の評価

○令和 3 年 10 月 24 日までに報告された 3 事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。

ブライトン分類レベル 報告件数
1回目接種時 2回目接種時
1 0(±0) 0(±0) 0(±0)
2 0(±0) 0(±0) 0(±0)
3 0(±0) 0(±0) 0(±0)
4 3(+2) 2(+1) 1(+1)
5 0(±0) 0(±0) 0(±0)
合計 3(+2) 2(+1) 1(+1)

○「ブライトン分類」での評価は、 3 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 0 例となっている。

・レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 0 件/ 64,713 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 0 件

○ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数は無し。

アナフィラキシーに関する考え方(副反応疑い報告の状況に関するまとめ)

【最新のアナフィラキシーの報告状況の整理】
○ アナフィラキシー疑いとして報告された例については、透明性をもって公表するため、報告件数をそのまま公表する一方、正確な評価も重要であり、引き続き国際的な基準(ブライトン分類)に基づく評価を行っている。
○ 副反応疑い報告制度において、製造販売業者からファイザー社ワクチンのアナフィラキシー疑いとして報告されたものは、接種開始から 10 月 24日までに 2,922 件であった。うち、ブライトン分類に基づく評価においては、 555 件がアナフィラキシー(ブライトン分類 1 ~ 3 )と評価された。
○ また、ワクチン間において被接種者の属性等に大きく差があることに留意が必要であるが、武田/モデルナ社ワクチンは 10 月 24 日までにおいて製造販売業者報告は 491 件であった。うち、ブライトン分類に基づく評価においては、アナフィラキシー(ブライトン分類 1 ~ 3 )と評価されたものは 50 件であった。
○ また、アストラゼネカ社ワクチンは 10 月 24 日までに医療機関報告は 3 件であり、いずれもブライトン分類 4 であった。
○ 年齢、性別別の解析結果では、若年の女性においてアナフィラキシーの報告頻度が多い傾向が⾒られている。
○ アナフィラキシー疑いとして報告され、転帰が確認されたほとんどの例で軽快したことが判明している。

【アナフィラキシーに関する論点のまとめ 】
○ 新型コロナワクチンのアナフィラキシーとして報告された事例に関して、現時点においては、引き続き、ワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない。

死亡例は、次回へ・・・。