「真実の口」1,456 化学物質過敏症・・・⑥

前回の続き・・・。

科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂新版)には、シックハウスとライフスタイルの関係についての考察が以下のように書かれている。

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シックハウス症候群は、これまでに述べた化学物質、ダニや微生物、高湿度に加えて、喫煙、睡 眠、飲酒などの様々なライフスタイルとも大きな関連があります。

タバコの中にはニコチンやタール、一酸化炭素のほか 200 種類以上にも及ぶ種々の有害な化学物質が含まれています。

喫煙は種々の生活習慣病や肺がんの発症・悪化に関連し、健康に悪い影響を及ぼすことが知られています。

同時にシックハウス症候群にも悪い影響を及ぼします。

さらに、受動喫煙(タバコを吸っている人の周囲の人がタバコの煙を吸わされること)の影響も大きなものがあります。

吸っているタバコの先から流れ出す副流煙には、主流煙よりも多くの種類の有害な化学物質が含まれています。

家でタバコを吸う人がいる家では、いない家に比べてホルムアルデヒドを含めた化学物質の濃度が高くなります。

受動喫煙によって、シックハウス症候群のリスクが 2.2 ~ 2.7 倍になることがこれまでに報告されています。

タバコは吸わないことがご自身やご家族の健康のためにも、シックハウス症候群のリスクを下げるためにも重要です。

飲酒については、飲みすぎると肝機能障害をはじめとする健康障害を引き起こしますが、適度な飲酒はシックハウス症候群のリスクを下げる可能性を示唆する報告もあります。

適度な飲酒は、心身をリラックスさせてストレスを緩和することで、シックハウス症候群のリスクを下げるのに役立っているのかもしれません。

睡眠は、人生の約 1/3 の時間を占める、重要なライフスタイルの因子です。

睡眠中の脳の中では、覚醒中に情報処理機構として活発に活動していた脳が休息をとる重要な働きが行われています。

睡眠は、脳が休息をとるための重要な生活習慣です。

睡眠時間が不十分と感じると、シックハウス症候群のリスクが男性で 3.6 倍、女性では 2.6 倍になることが報告されています。

個人差はありますが、十分と感じる時間の、規則正しい、質の良い睡眠が大切です。

睡眠の「時間・リズム・質」に注意して、「夜はぐっすり眠り、朝はすっきりと目覚められる」ように、自分なりの生活リズムをとることで、良い睡眠をとるように心がけてください。

現代社会はいろいろなストレスにあふれています。

多すぎるストレスは種々の疾病の発症・増悪因子の一つでもあり、ストレス関連疾患には多くの疾病が挙げられています。

また、ストレスはシックハウス症候群のリスクを上げることが報告されています。

特にシックハウス症候群の症状の中でも、頭痛、易疲労感、だるさ、集中力の欠如、不快感、吐き気、嘔吐などの精神・神経症状は、ストレスがあることでそのリスクが 2 倍以上となりました。

ストレスの原因をなるべく減らすことが大切ですが、自分ではコントロールできないものも多く、その実行は困難なことが多いものです。

原因を減らすことができない場合でも、対処法が大切で、自分なりのストレス解消法を見つけてス トレスに過度な注意を払わないことが大切です。

また、ご自分のストレスの状態にも気を付けてください。

自分でも気づかぬ間にストレスが蓄積していることも多いものです。

ストレスを測るため にはいろいろな方法がありますが、厚生労働省ホームページ内に、ストレスのセルフチェックなどのツールがあります。(http://stresscheck.mhlw.go.jp/)

シックハウス症候群は男性よりも女性で訴えが多い傾向があります。

中年女性の場合は症状を訴えても「頭が重い」、「疲れ易い」、「集中できない」などの不定愁訴が多いので、更年期障害と診断されることがままあるようです。

症状の原因に関する理解が得られないとして、複数の医療機関を受診する患者もいます。

従って、原因となる室内環境の調査とともに、環境が与えているストレス状況などについても調べることで、その症状が室内環境汚染によるものかを判断することが重 要です。

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これを読んでどのように感じただろうか・・・?

あれ・・・??

シックハウス症候群ってストレスが原因なの・・・???

このように感じたのではないだろうか・・・・!?

現実にシックハウス症候群で悩まれている方がこの文章を読んだらどのように感じるのか複雑な気持ちにならざるを得ない。

そして、このマニュアルには“相談フローチャート”なるものが存在する。

フルーチャート1

フルーチャート2

フルーチャート3

フルーチャート4

そして、「室内空気質汚染の健康影響のリスクコミュニケーションのあり方において重要な点がわかった」とある。

1.受け手の多様な知識状況をふまえた情報提供
2.健康リスクの不確実性の伝え方
3.リスクの存在を伝えるだけではなく、必要に応じて自ら対処できる方法を伝える

この文言だけ見ると、「シックハウス症候群を訴える人は、ややこしいから、取り扱いを間違わないように!」的な感じがしてしまうのは私だけだろうか?

更に、症状の出た住宅や職場などへの支援という項目がある。

1.相談を受ける際の注意点:特に重要なのは相談者の目的
2.相談チェックシート
3.症状のでた住宅、職場、学校などへの支援
4.住宅や職場で発生した場合の相談機関
5.医療機関の役割
6.メンタル面のサポート

相談を受けるにあたり、「シックハウス症候群に関する、ある程度の知識、これまでの解決事例・失敗例、対策依頼先に関する知識とネットワークがあることが望ましい。」ともある。

これで、シックハウス症候群で悩まされている方たちは、「ほっ・・・。」と胸をなでおろせる解決策を得られるのだろうか?

次回へ・・・。