「真実の口」1,655 新型コロナウィルス・・・164

前回の続き・・・。

医療従事者に対してのワクチン接種が 2 月 17 日からはじまり、 4 週間弱経過した。

以下のように厚生労働省からアナフィラキシーショックの報告がされている。

【 1 例目】

(1) 事例
・ 30 歳代の女性。基礎疾患:有(喘息、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症)
・接種日: 3 月 5 日(金)
・発生日: 3 月 5 日(金)
・報告日: 3 月 5 日(金)
・転帰日: 3 月 5 日(金)
※接種 5 分以内に咳がみられ、その後、呼吸が早い、まぶたの腫れ、全身のかゆみ等の症状がみられた。投薬後、症状は改善した。

(2) 症状の転帰
・軽快

(3) 接種されたワクチンについて
・ファイザー株式会社「コミナティ筋注」 ロット番号: EP2163

(4) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)
・有(喘息)

(5) 専門家の意見
・岡明 薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会長
「基礎疾患として喘息のある方が、 ワクチン接種後 5 分以内に咳などの呼吸器症状が出現し、また全身のかゆみやまぶたの腫れなどの症状も認めたことからアナフィラキシーと診断されている。適切な治療で症状は軽快をしたものと考えられる。本ワクチンを含めどのワクチンにもアナフィラキシーをおこす可能性はあり、接種後少なくとも 15 分以上の観察期間の周知と、アナフィラキシーによる症状が疑われた場合の適切な対応が重要と思われる。詳細な情報を収集し今後の審議会で評価をしていく必要がある。」

・森尾友宏 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会長
「薬や食品などで重いアレルギーの症状(アナフィラキシーなど)を起こした方は、問診票に必ずご記載いただくとともに、接種する施設ではこのような事態に備えて、アナフィラキシーに即時に対処できる体制を整えておくことが重要である。詳細な情報を収集し、また症例を蓄積して、今後の審議会で評価していく必要がある。」

【 2 例目】

(1) 事例
・ 20 歳代の女性。基礎疾患:調査中
・接種日: 3 月 5 日(金)
・発生日: 3 月 5 日(金)
・報告日: 3 月 5 日(金)
・転帰日:不明
※接種後 15 分の観察の後、約 25 分の時点でじんましんが発生し、その後、咳、発熱、血圧低下、息苦しい等の症状がみられた。投薬後、症状は改善した。

(2) 症状の転帰
・回復

(3) 接種されたワクチンについて
・ファイザー株式会社「コミナティ筋注」 ロット番号:不明

(4) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)
・無し

(5) 専門家の意見
・岡明 薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会長
「本事例は、現時点では基礎疾患の有無等は不明であるが、ワクチン接種後 15 分の観察の後、接種約 25 分の時点で皮膚症状が出現し、その後その他の症状も伴いアナフィラキシーと診断されている。適切な治療が行われ症状は軽快している。接種後 15 分経過してから初発症状が出現しているが、これまでの治験等での報告でも頻度は低いが同様の報告があり、 15 分経過後も注意する必要がある。今後情報を収集した上で、アナフィラキシーに該当するかどうかや、接種後の対応方法を含め審議会で検討した。」

・森尾友宏 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会長
「ワクチン接種後 25 分にじんましんがみられ、咳や血圧低下をきたしアナフィラキシーと診断されたが、速やかに投薬がなされ回復した事例である。基礎疾患やアレルギーについての情報は収集中である。約 4 万 6 千人へ接種された時点で、 2 例目の報告となるが、更に症例についての情報を収集し審議会で評価を行うと共に、今後の医療従事者等への接種の中でも事例を広く集め、日本におけるアナフィラキシーの発生頻度や、発症者の背景などについても明らかにしていく必要がある。」

【 3 例目】

(1) 事例
・ 30 歳代の女性。基礎疾患:食物、動物及び殺虫剤によるアナフィラキシーの既往症あり
・接種日: 3 月 7 日(日)
・発生日: 3 月 7 日(日)
・報告日: 3 月 7 日(日)
・転帰日: 3 月 7 日(日)
※接種後約5分の時点で咳、息苦しい、のどの違和感等の症状がみられた。投薬後、症状は改善したが、経過観察の目的で入院。

(2) 症状の転帰
・報告によれば治療後に改善

(3) 接種されたワクチンについて
・ファイザー株式会社「コミナティ筋注」 ロット番号: EP9605

(4) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)
・無し

(5) 専門家の意見
・岡明 薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会長
「アナフィラキシーの既往のある方が、ワクチン接種して 5 分後に呼吸器症状などを呈し、直ちに処置を受け症状の改善を認めている。本ワクチンではアナフィラキシーの既往のある場合には、特に接種後に注意をすることとしており、本事例でも観察の上で適切な対応がなされている。今後情報を収集した上で、アナフィラキシーに該当するかどうかや、接種後の対応方法を含め審議会で検討したい。」

・森尾友宏 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会長
「アナフィラキシーの既往のある女性で、接種後 5 分後にアナフィラキシー症状が出現し、速やかな処置で改善を認めた。 3 事例目の報告だが、全ての症例が女性であることは、欧米での先行報告と合致している。 4 万 6 千人接種の時点では、欧米の報告に比して頻度が高い印象であるが、事例の蓄積で日本におけるアナフィラキシーの頻度を明らかにし、発症者の背景などについて解析することが重要になる。引き続き、重いアレルギーの既往の記載、接種後の観察と、適切な対応体制について徹底する必要がある。今までの事例については、次回の審議会にて検討、評価を行うことになる。」

ワクチンの接種状況は以下の通りだ。

日付  接種回数  内1回目  内2回目  施設数(*)
2021/02/17 125 125 0 8
2021/02/18 486 486 0 16
2021/02/19 4,428 4,428 0 68
2021/02/22 6,895 6,895 0 95
2021/02/24 5,954 5,954 0 96
2021/02/25 4,008 4,008 0 100
2021/02/26 6,634 6,634 0 100
2021/03/01 3,255 3,255 0 100
2021/03/02 2,987 2,987 0 100
2021/03/03 2,531 2,531 0 101
2021/03/04 1,871 1,871 0 108
2021/03/05 7,295 7,295 0 149
合計 46,469 46,469 0

米保健当局から 1 月 6 日に、米製薬大手ファイザーと独製薬ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人のうち、 10 万人に 1 人ほどの割合で重篤なアレルギー反応が起きていたと発表されている。

このデータは米疾病対策センター( CDC )が明らかにしたもので、昨年 12 月 14 日~ 23 日の間に実施したと報告されている 189 万 3,360 本の接種後、アナフィラキシーの症例 21 件が記録されたという。

CDC のナンシー・メッソニエ氏は、「接種 100 万人当たり 11.1 人の割合でアナフィラキシーの症状が起きている」と語っている。

インフルエンザワクチンでは、 100 万人当たり約 1.3 人にアナフィラキシー症状が発生しており、ファイザーのワクチンはおおむねこの 10 倍となるようだ。

ファイザー社のワクチンによるアナフィラキシー例の 90% 、モデルナ社のワクチンによるアナフィラキシーは全例が女性であったと報告されてており、化粧品による経皮感作の可能性も否定できないとなっているが・・・。

現段階では、欧米よりもアナフィラキシーの頻度が多く発生しているようなので、ワクチン接種を考えている方は、自身のアレルギーを知っておいた方がよさそうだ。

先週後半の感染動向を追ってみる。

3 月 4 日(木曜日)

3 月 5 日(金曜日)

3 月 6 日(土曜日)

3 月 7 日(日曜日)

次回へ・・・。