「真実の口」150 殺す技術から生活かす技術へ・・・②

現在、多くの病院が、多剤耐性菌の脅威に怯えている。

多剤耐性菌とは何ぞや?

医学的には「ある微生物が作用機序の異なる2種類以上の薬剤に対する耐性を示すことをいう。」とある。

要は、複数の薬剤を投与しても、全く効果がない菌のことである。

これらの発生原因として、以前は突然変異が挙げられていた。

しかし、現在では安易な抗生物質の投与が大きな原因の一つと見られている。

“抗生物質”・・・良く耳にするが、この抗生物質を熟知して服用している人は少ないのではないだろうか?

抗生物質(antibiotics)は、ノーベル生理学・医学賞の受賞者でもあるアレクサンダー・フレミングの偶然の発見から見つけ出された。

どうやらフレミングの部屋が雑然として、汚かったことが瓢箪から駒をうんだようである。

1928年、フレミングが片手間で実験していたブドウ球菌を片付けようとしていたときのこと。

培養していたブドウ球菌の中に青カビのコロニーを見つけ、そのコロニーの周囲だけ透明になり、ブドウ球菌の生育が阻止されており事に気付く。

ん?雑然とした部屋?偶然?・・・どこかで聞いたような話であるσ(^_^;)?

フレミングは、これにヒントを得て、アオカビを液体培地に培養し、その培養液をろ過したろ液に、この抗菌物質が含まれていることを見い出す。

そして、人類初の抗生物質は、アオカビの属名であるPenicilliumにちなんで、“ペニシリン”と名付けられた。

ただ、残念ながらフレミングはペニシリンの精製には至らなかった。

1940年、フレミングの報文を読んだ、ハワード・フローリーとエルンスト・ボリス・チェーンという二人の科学者がペニシリンを精製し効果的な製剤にする方法の開発に成功した。

そして、彼らの作った製剤は、我々一般人には ? と思うような、人間にとって都合の良い特徴を持っていた。

それは、“ブドウ球菌などの細菌をきれいに殺してしまうのに、人間など高等生物にはほとんど害がない”というものである。

何故、ペニシリンは動物には害がなく、細菌だけを殺すことができるのか?

それは細胞の構成の違いにある。

細菌等の細胞は自身の形を保持・保護するために「細胞壁」で覆われているが、動物にはこの「細胞壁」がない。

ペニシリンはこの細胞壁を作る酵素と反応してその動きを止めてしまう。

そうすると、細菌は細胞壁を作ることが出来ず破裂→死に追いやられてしまうと言う構図である。

我々、人間を含む動物、魚類はこの細胞壁を持たないためにペニシリンは無害と言うことになる。

しかし、人類はその発見だけでは止めななかった。

青カビから作れるのでれば、他の菌にも同様な性質を持っているものもあるはず・・・

そうして、数多くの抗生物質が産まれてくるのである。

確かに、これらの抗生物質のお陰で、人類の脅威であった結核、ペスト、チフス、赤痢、コレラなどの伝染病から救うことが出来るようになった。

抗生物質が使われるようになった1950年~1960年代に人類の平均寿命は飛躍的に延びている。

しかし・・・