「真実の口」1,370 24時間戦えますか?(笑)・・・⑭

3 月 8 日からの続き・・・。

パラオキシ安息香酸エステル類(通称:パラベン)に関して解説してきたわけだが・・・。

EU では使われていないパラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸イソブチルが我が国では使われているという現状はご理解いただけたと思う。

医薬品としての、パラベンの安全性を見てみよう・・・!

一般社団法人 日本医薬品添加剤協会(IPEC JAPAN)

《パラオキシ安息香酸エチル》

■最大使用量
経口投与・・・ 60mg
その他の内用・・・ 1㎍
筋肉内注射・・・ 2.5mg
一般外用剤・・・ 2.5mg/g
経皮・・・ 8mg
舌下適用・・・ 1mg/g
直腸膣尿道適用・・・ 60mg
眼科用剤 0.26mg/g
耳鼻科用剤 0.4mg/g
歯科外用及び口中用1mg/g

■単回投与毒性

動物種 投与経路 LD50(※注 1 )(mg/kg体重)
マウス 経口 >8000mg/kg
マウス 経口 Na塩 約2,500mg/kg
マウス 腹腔内 Na塩 520mg/kg
モルモット 経口 2,000-2,400mg/kg
ウサギ 経口 5,000mg/kg
イヌ 経口 5,000mg/kg

(※注 1 ) 半数致死量。物質の急性毒性の指標、致死量の一種としてしばしば使われる数値で、投与した動物の半数が死亡する用量をいう。“Lethal Dose, 50%”を略してLD50と書く。上記の表においては、マウスにパラオキシ安息香酸エチルを経口摂取させたら、体重 1 kg あたり 8g 以上は急性毒性の症状が現れたとういうこと。
犬及びウサギにおいては、 5g/kg が致死量で、 4g/kg で有害な影響を及ぼした。

■反復投与毒性
【ラット(※注 2 )
パラオキシ安息香酸エチル 40% 、パラオキシ安息香酸プロピル 60% の混合物(いづれもナトリウム塩にして投与)を、 15mg/kg 体重を 40 匹のラットに、 150mg/kg 体重を 20 匹のラットに、 1,500mg/kg 体重を20匹のラットにそれぞれ 18ヶ 月、混餌投与した。
➡ 15mg/kg 体重、 150mg/kg 体重投与群で体重増加率の上昇が認められた。
➡ 1,500mg/kg 体重投与群においては、実験開始初期に体重増加率の抑制が観察されたが、後期には正常に戻った。
全ての投与群において、死亡率、主要臓器の病理学的検査所見は対照群に比較し異常は認められなかった。

(※注 2 ) 1 群 65 匹のラット(雄 35 匹、雌 30 匹)にパラオキシ安息香酸エチルを 2% 添加した餌を一生涯投与し、対象群には 50 匹のラットを用い、死亡した動物は全て剖検した。
➡実験開始 1 ヶ月後に観察された僅かな体重増加抑制を除き、パラオキシ安息香酸エチル投与による悪影響は認められなかった。死亡率、血液学的検査、主要臓器における腫瘍発生率及び組織病理学的検査結果は、対照群と比較し異常は認められなかった。

(※注 2 ) 1 群 39 匹のラット(雄 19 匹、雌 20 匹)に、 10% パラオキシ安息香酸エチルのナトリウム水溶液を 1ml/週 、一生涯投与し、対照群として 27匹 のラット(雄 16 匹、雌 11 匹)に、 3% 食塩水を 1ml/週、同期間投与した。
➡ 10% パラオキシ安息香酸エチルのナトリウム水溶液は pH が高く刺激性が強いため、実験開始後 4 ~ 10 ヶ月で投与期間を 1 回/週から 1 回/2週に減らし、更に、実験後期には 1 回/月の投与に減少せざるを得なかった。投与による死亡率への影響や腫瘍の発生も認められなかった。

■遺伝毒性
・微生物突然変異試験➡(-)
・染色体異常誘発試験
➡ハムスターSCEs(※注 3 ) ・・・(-)
➡人 SCEs・・・(-)
(※注 3 ) 姉妹染色体分体交換

■がん原性
該当文献なし

■局所刺激性
(ウサギ)
パラオキシ安息香酸エチルの 0.5% 及び 7.5% の懸濁液は、コカイン塩酸塩 0.12% 及び 0.27% 液と同様に、角膜に対する局所麻酔作用を示した。

この局所麻酔作用の強さはコカインの 1/3 ~ 1/4 程度であり、プロカインの 1/2 程度であった。

同様の試験で、 0.25 ~ 0.30% 濃度のパラオキシ安息香酸エチルは角膜に対する麻酔作用は認められなかった。

■その他の毒性
該当文献なし

■ヒトにおける知見
7%パラオキシ安息香酸エチルのプロピレングリコール溶液を 50 人の皮膚に隔日 4~ 8時間おきに 10 回塗布したが、炎症或いは感受性は認められなかった。

しかし、濃度を上げると炎症が認められるようになった。

0.05% 溶液では、頬粘膜に局所の麻痺作用が認められた

《パラオキシ安息香酸プロピル》

掲載なし

多分、イソという接頭辞は、同じ分子式の化合物(異性体)を区別するための慣用名として、あるいは異性体(isomer)や同位体(isotope)など類似の物質の構造をもつものの接頭語として使用されるため、次のパラオキシ安息香酸イソプロピルと同じと捉えていいのだろう・・・。

《パラオキシ安息香酸イソプロピル》

■最大使用量
経口投与・・・ 14mg

■単回投与毒性
文献なし

■反復投与毒性
(ラット(※注 4))
(※注 4) 1 群雌雄各 10 匹の F334 ラット(※注 5 )にパラオキシ安息香酸イソプロピルを各 0% 、0.25% 、 1.25% 、 2.5% 、 5% の濃度を 13 週間混餌投与した。
(※注 5 ) マウスの種類。(参照:https://www.crj.co.jp/product/domestic/detail/3)
投与期間中、試験動物の死亡は見られなかった。
➡ 2.5% 及び 5.0% 投与群の雄ラットでは、有意に体重増加抑制が認められ、雌ラットにおいては 1.25% 以上の投与群で同様に体重増加抑制が認められた。
➡血液生化学的検査では、 2.5% 以上投与群の雄ラットにおいてγGPT(※注 6 )、総コレステロール(※注 7 )値の上昇が認められ、雌ラットにおいては1.25%以上の投与群でγGPT、ALP(※注 8 )、BUN(※注 9 )が対照群に比較し高かった。
(※注 6 )
 γ-GTP(γグルタミルトランスペプチダーゼ)とは、肝臓の解毒作用に関係している酵素のこと。基準値:男性* 80 IU/L 以下、女性* 30 IU/L 以下。
(※注 7 )  血液中のコレステロールの総量。LDLコレステロールやHDLコレステロールほかを合計した値。TC(total cholesterol)。基準値: 120~220mg/dl 。
(※注 8 ) アルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase)。有機化合物であるリン酸エステルを加水分解する酵素。ALTが高い場合は、殆どが肝臓に異常がある。基準値:5 ~ 46 単位。
(※注 9 ) Blood urea nitrogen。尿素窒素。血液中の尿素に含まれる窒素。体内でエネルギーとして消費されたたんぱく質の老廃物で、肝臓でアンモニアと二酸化炭素から合成され、腎臓から排出される。腎機能や肝機能の検査項目として用いられる。基準値: 8 ~ 20mg/dl 。
➡組織学的検査では、 2.5% 以 上投与群の雄ラット及び 5% 投与群の雌ラットにおいて、小葉中心性肝細胞膨潤(centrilobular hepatocellular swelling)が観察された。この肝細胞には脂質で満たされた小胞が、しばしば観察された。
➡ 5% 投与群の雄ラットで、腎臓近位尿細管上皮細胞質内に好酸性小球体の著しい生成が認められた。
➡これらの結果から、 2 ケ年の発癌試験における混餌最大耐用投与量(MTD)は、雄ラットにおいては 1%、雌ラットでは 0.5% が適当であると結論される。

■遺伝毒性
・微生物突然変異試験➡(-)
・染色体異常誘発試験
➡ハムスターSCEs・・・(-)
➡人SCEs・・・(-)

以下については該当文献なし
■がん原性
■局所刺激性
■その他の毒性
■ヒトにおける知見

声:「ヒトにおける知見なし・・・( ̄へ ̄|||) ウーム」

次回へ・・・。