「真実の口」942 介護・・・19

前回の続き・・・。

通知通り、2月14(日)の毎日新聞の3面記事を紹介しよう。

タイトルは、『追い込まれる男たち』・・・。

サブタイトルは、『「仕事と同じ」過信し』・・・。

内容は、要約して、時系列を並び替えてある。

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■認知症の妻に暴力をふるっていた兵庫県の80代男性。

男性は、建設会社で定年まで約40年働く。

現場監督として、数十人の部下をまとめていた。

欠陥のない仕事をし、従業員の安全も確保するため、決められた手順を厳守してきた。

2007年、妻がアルツハイマー型認知症と診断される。

トイレにも行けなくなった妻を、男性は一人で介護する。

朝起きると、妻がおむつから便を垂れ流し、部屋中の畳が汚れている。

便で汚れた妻を入浴させようとするが、暴れるように拒む。

妻をひっぱたき、無理やりに浴室へ連れていく。

深夜には、突然起きて奇声を発する妻。

妻の介護の現場でも、仕事のときと同様に、一日の計画や手順を細かく決めて管理しようとする男性。

しかし、介護は思い通りにはいかない・・・。

降ってわいたような出来事に、男性は頭が真っ白になり、落ち込む。

次第に妻にいらだつことが多くなり、いつの間にか手をあげるようになる。

妻が認知症になるまでは、暴力などふるったことはないという・・・。

男性は誰にも相談しなかったが、疲れ切った姿を見かねたケアマネジャーに強く勧められ、妻を施設に入れる。

経済的に余裕があったこともあり、施設が見つかるのにそう時間はかからなかったのだが・・・。

「全てを一人で抱え、自分を追い込んでいた。妻に申し訳ない。」

男性は悔いている。

■脳内出血で倒れた妻を自宅で介護している大阪府大東市の男性W.Yさん(68)。

(紙面では実名が出ていたのだが、イニシャル表示にさせていただく。)

約13年前に脳内出血で妻が倒れる。

約30年勤めた食器販売会社をやめて、スーパーの買い物かごを洗う会社でパートの仕事をしながら一人で妻を介護することを決心。

仕事を終えて、帰宅してからの食事の準備、便で汚れた妻のシーツの洗濯などに追われる日々が続く。

夜中の数度に渡るトイレ介助。

寝不足・・・。

職場で居眠りすることも・・・。

自分の時間がほとんどない暮らしに疲れ切り、次第に妻への口調はきつくなる。

「死んでもいい」と考えることもあったという。

約6年前、ケアマネジャーの勧めで、男性介護者が集う民間の「Hサロン(紙面では実名)」(大東市)に参加。

Wさんは、他の男性も介護や家事に苦労していることを知り、つらさを他人に理解してもらい、気持ちがすっとしたという・・・。

今は旅行などで気分転換し、妻と向き合えているという・・・。

その後、Hサロンの代表になったWさんは、「男性の多くは悩みを相談するのが苦手だ。一人で介護をする男性には仲間と愚痴を言い合う場が必要だ。」と語る。

男性介護者が交流する場は少しずつだが、増えているとされるのだが・・・。

次回へ・・・。