「真実の口」1,785 人類の終焉(?)【後編】

前回の続き・・・。

【論議】

★主な研究成果

精子数の時間的傾向に関するこの最初の系統的批評とメタ回帰分析において、我々は 1973 年から 2011 年の間に収集されたサンプルにおいて、 SC と TSC の両方が全体的に有意に減少していることを報告した。

減少は、北米、ヨーロッパ、オーストラリア及びニュージーランドの研究においてのみ顕著であり、生殖能力で選択されなかった男性において最も顕著であった。

この後者のグループでは、調査期間中に SC は 52.4% (年間 -1.4%)、 TSC は 59.3% (年間 -1.6 ))減少している。

これらの傾きは、事前に選択した複数の共変量(年齢、禁欲期間、精液採取方法、精子計数方法、集団の選択と研究除外基準、男性一人当たりのサンプル数、データの完全性)及び複数の感度分析で制御しても、実質的に変わらなかった。

したがって、これらのデータは、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドにおいて、過去 40 年間に SC と TSC が減少していることを確実に示すものである。

また、 1996 年から 2011 年にかけてサンプルが収集された研究に限定して分析したところ、減少が「横ばい」になる兆しは見られなかった。

★先行研究との比較

今回報告された SC の全体的な減少( -0.7 億 / ml /年)は、以前報告された期間と一致するが、それほど急ではなかった( -0.93 億 / ml / 年、 -0.94 億 / ml / 年)。

今回報告された SC の年間変化率は -0.75 百万 /ml で、 Carlsen らが報告した -0.83% と同等であった。

以前の分析と同様に、南米、アジア、アフリカの研究では有意な減少が見られなかったが、これは統計的検出力が限られていることと、 1985 年以前にこれらの国の非選択男性における研究がないことが一因であろう。

しかし、地理的グループによる勾配の変化は有意であった。

したがって、ここに示した結果に基づくと、非西洋諸国における傾向を否定することはできないが、これらのデータは、西洋諸国で観察されたような急激な減少を支持するものではないことがわかる。

今回の分析では、北米とヨーロッパ・オーストラリアにおける減少は同程度であったが、北米の研究の割合が高かった過去の分析とは異なっている。

検索の完全性、研究期間全体にわたるかなりのサンプルサイズ、メタ回帰法の使用により、この分析は先行研究の限界の多くを回避している。

Carlsen ら( 1992 )の研究は、サンプルサイズによって重み付けをしているが、全対象者の 30% を含む研究が 1 つしかなく、分析の最初の 30 年間のデータが少ないという批判を受けた。

今回のメタ回帰分析で最大の研究は、全対象者の 5% しか含まれておらず、感度分析では、 1 つの国が全体の傾向を左右することはなく、研究は研究期間の 39 年間と 50 ヶ国にうまく分散していることが示された。

さらに、本研究で用いたメタ回帰法は、推定値を SE で重み付けすることで、研究推定値の信頼性における異質性の問題に対処している。

この保守的な方法は CI を膨らませるが、我々の分析のように研究数が十分に多い場合には適切である。

さらに、データの完全性や研究の除外基準を示す変数と同様に、あらかじめ決められた共変量のセットで調整し、メタ回帰分析から信頼できる結論に達する際の主な落とし穴を回避した。

我々の検出力により、受胎率と地理的なグループによる修正を評価することができた。

妊娠可能な男性は選択された集団であり、非選択男性は一般集団の代表である可能性が高いので、妊娠可能な集団による修正は特に重要である。

研究者の中には、過去の研究においてより大きな測定誤差が予想されるとして、過去の精子数の推定値を使用することを批判する者もいる。

しかし、今回報告した傾向の説明としては、いくつかの理由から、これは考えにくい。

第一に、 1931 年まで遡ってサンプルを収集した研究を含む以前の分析とは異なり、今回の分析では 1973 年以降に収集されたサンプルのみを用いている。

仮に過去に測定の信頼性が低かったとしても、このような不正確な測定によって、初期の研究では不確かさが大きくなり、傾きが変化することはないだろう。

さらに、我々は推定値を SE で重み付けしているので、この仮説的な制限を回避することができた。

さらに、 SE が推定される、あるいは非常に大きい研究を除外した感度分析においても、結果は頑健であった。

この結果は、より保守的なメタ回帰モデルにおいても有意であり、偶然の産物であることは考えにくい。

我々は、研究のすべての段階において、潜在的な情報と選択バイアスを最小化するために、文書化された計画書と広範な品質管理手順を使用した。

★制限事項

このシステマティックレビューとメタ回帰分析には、いくつかの限界がある可能性がある。

英語以外の出版物を含めなかったことで、非西洋諸国に関する分析が制限された可能性がある。

精液サンプルを喜んで提供する男性は、他の人々と異なる可能性があり、選択偏向の可能性があると主張されてきたが、現在の証拠はこの主張を支持していない。

我々は精子数( SC と TSC の両方)を分析したが、運動性と形態に関する情報は古い研究ではほとんど得られなかったため、精子の運動性と形態は分析しなかった。

さらに、運動性と形態の評価について推奨される方法と基準は時代とともに大きく変化しており、時系列での比較は困難である。

一方、血球計数法による SC の評価は、 1902 年に初めて記述され、 1980 年以降、世界保健機関が推奨する方法であり、この方法が時代とともに系統的に変化したという証拠はない。

これらの理由から、 SC は疫学的分析において最も信頼性の高いエンドポイントであると考えられている。

この安定性と他の計数方法の経時的変動から、我々は、計数が血球計数装置で行われた(または行われそうな)研究のみを対象とし、代替計数装置(例えば、マクラー、コールター、マイクロセル)または非手動法(すなわち、コンピュータ支援精子分析またはフローサイトメトリ)を用いた研究は除外した。

詳細な計画書に従ったとはいえ、この研究は Prospero に事前登録されていない。

サンプル採取年ではなく、出生の紐づけ別に傾向を分析することは、減少の原因(出生前または成人期)を評価するのに役立つと思われるが、情報不足のため実行できなかった。

★広義的含意

この厳密かつ包括的な分析により、欧米諸国の非選択男性において、 SC は 1973 年から 2011 年の間に 52.4% 減少し、近年は「横ばい」であるという証拠はないことがわかった。

平均 SC の減少は、精子数が不妊症または不育症の閾値を下回る男性の割合が増加していることを意味する。

この閾値以下の精子数は妊娠の可能性の低下と関連するという証拠を考えると、 4,000 万 /ml 以下の濃度を持つ西洋諸国の男性の割合が高いことは特に懸念すべきことである。

精子数の減少は、生殖能力および生殖以外の意味合いもある。

今回報告した減少は、精巣生殖細胞腫瘍、停留睾丸、男性思春期の開始、総テストステロン値など、他の男性の生殖に関する健康指標の報告傾向と一致する。

公衆衛生への影響はさらに広い。

最近の研究では、精子数の不足が全病的状態と死亡率に関連することが示されている。

本研究は、観察された減少の原因に関する直接的な情報を提供するように設計されていないが、精子数は、出生前および成人期の両方で、複数の環境およびライフスタイルの影響ともっともらしく関連付けられている。

特に、男性の生殖機能の発達に重要な時期に化学物質への曝露や母親の喫煙による内分泌かく乱作用が胎生期に、生活様式の変化や農薬への曝露が成人期に役割を果たしている可能性がある。

したがって、精子数の減少は、生涯にわたる男性の健康の「炭坑のカナリア」と考えられるかもしれない。

精子数の継続的かつ強固な減少という我々の報告は、したがって、その原因究明と予防を目指す研究の引き金となるはずである。

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長々と論文を紹介してきたので、嫌気がさした人もいると思う。

ただ、この論文は本タイトルにあるように、“人類の終焉”にもなりかねないので、全文を紹介させて頂いた。

論文通り、 1973 年 から 2011 年の約 40 年で男性の精子は半減しているのである。

更に、減少ペースは上がっているようなので、最悪、 40 年も経たないうちに“ゼロ”になるということを言い含んでいる。

それはどのような状況を招くのかというと、近い将来、男女の自然な性行為での出産は不可能になるということである。

当然、人類は不妊治療に頼るしかない・・・。

ホルモン療法・・・?

タイミング法・・・??

人工授精( AIH )・・・???

体外受精( IVF )・・・????

顕微授精( ICSI )・・・?????

いやいや、精子の絶対量がないのだから、手は尽きていくのは目に見えている。

単純な話だが、妊娠するには、卵子 1 が精子 1 つを受胎させれば良いわけだが・・・。

かつての男は 2 億の精子は放ってきたわけだ。

これが、半分の 1 億に減ったとしても、左程、影響がないと考え、甘い考えを持ってきたのが現在に至るわけだ。

また、上にも上げたが、不妊治療も人工授精、体外受精、顕微授精等々、技術も進んだから、少ない精子で受胎が可能になってきていたことも一因である。

少子化問題 = 精子減少

・・・と結びつける考えはなかったのである。

少子化問題は、社会的にみると、女性の社会進出が増え、経済的にも自立し、その為、出産を遅らせ、出産の回数も減らしているせいだと考えられたのではないだろうか?

今回の研究では、精液 1ml あたりの精子数が 1973 年当時に比べて半分以下に減っただけでなく、精子の総量も 6 割近く減っていたということも分かった。

どういうことかと言うと、精液の量も減少、そこに含まれる精子の数も減少していたということなのだ。

当該論文にも指摘されているのだが、精液の濃度は、死亡率や様々な病気への罹患率と密接な関係性があるらしいのだ。

南デンマーク大学医学部のジェンセン教授によると、精子が少ない男性 5,000 人の健康状態を 10 年以上、追跡調査した結果、精子の数が少ない人は、糖尿病のリスクが 50% 、心臓疾患などのリスクが 40% 高いことが分かったという・・・Σ(゚Д゚)ガーン

決して、精子力の衰えが、病気を引き起こすというわけではなく、精子の状態が悪い人は、健康状態も悪いことが多い、ということだそうだ。

死亡率の調査でも、精子の数が少ないとリスクが上昇し、 1ml の数が 1,000 万を割ると 1.7 倍死亡率があがるらしい・・・((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

化学物質・・・?

環境ホルモン・・・??

食生活・・・・???

生活習慣・・・????

ストレス・・・?????

精子減少の理由は色々挙げられている。

我々人類に未来はあるのだろうか・・・il||li _| ̄|○ il||l

コロナ禍にあり、まだまだ終息の見えない中、年末にハードの話題を提供して申し訳ない。

ただ、解決法が無いことはない、その答えは、また次の機会に・・・。