前回、土を自然に戻すということを書いた。
では、そもそも土とは何だろう?
多くの人が、自分の周りに当然の如く存在しているため、余り考えたことはないと思う。
地球が誕生して45億年。
その頃の地球にはまだ土はなく、表面は岩石などで覆われていた。
岩石は、大気、雨、風などの自然のはたらきで、風化が繰り返されていった。
しかし、岩が風化しても、所詮、石になるだけで土にはならない。
では、土が作られ始めるのは、いつ頃からなのだろう?
生命が水中で誕生したのが、35億年前。
それらの生物が陸上に上がった頃にようやく土が作られ出したようである。
まず、岩石が風化して、細かくなる。
そこに、バクテリアが生きていく。
バクテリアが排泄するものと、細かくなった石が、徐々に土の原型になっていくのである。
そして、土の原型ができあがると、今度は地表を植物が覆いだす。
覆われた草木をバクテリアが分解する。
こうやって、土は、長い年月をかけて、生物、地形、気候、その他諸々の物が作用しながら出来上がったのである。
調べてみたのだが、1cmの土が出来るのに100年を要すらしい。
そして、狭義の土は平均すると、1m以下でしか存在しないようである。
我々は、それだけの年月をかけて出来た土を、肥料と農薬で殺していっているのである。
しかも、土は無限ではないということにも気付いてないようである。
土を汚せば、当然、水も汚れる。
つまり、水も無限ではなくなるということである。
人間の文明生活を維持するために、土が削られたり、土がコンクリートで覆われたりしている。
しかも、農地でさえも、本来の土ではなくなっている。
我々は、自分で自分の首を絞めているだけではないだろうか?
今まで、肥料や農薬漬けにした土地を自然に戻すのは並大抵のことではない。
だが、自然の大地から農地という形へ変えた物を、今更、自然へと戻すこともできない。
我々には智慧という物を与えられている。
そして、空気中、土中、水中のいたるところにバクテリアは存在している。
このバクテリアの力を借りることができれば、元に戻すことも可能である。
それには、肥料、農薬等々バクテリアのバランスを崩したり、殺したりする技術を放棄するしかない。
単純なことではないが、環境回復農法であればそれは可能である。
次回へ。