昨日逮捕された検事は、大阪特捜のエースと呼ばれていたらしいが・・・。
抗生物質の中にもエース級と呼ばれる抗生物質があった。
その抗生物質は、“バンコマイシン”と呼ばれ、ほとんどの抗生物質が効かないMRSAを殺菌することができる最強の抗生物質である。
バンコマイシンは、1956年に発見されて以来、30年以上耐性菌が現れなかった。
まさに、人類最後の切り札として活躍してきたのである。
ここで、過去形で書いているので、オチは読めると思うが・・・
1986年、イギリスとフランスでバンコマイシンに耐性のある腸球菌 (VRE) の存在を報告。
幸いVREは病原性が低く、感染の広がりは見せなかった。
しかし、前回寄稿したように、”耐性菌は、多剤耐性となるための遺伝子を種の壁を超えてお互いにやりとりし、耐性を広げる”のである。
案の定・・・
1996年、病原性の高いバンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌 (VISA)の存在を報告。
2002年、バンコマイシン耐性ブドウ球菌 (VRSA)の存在を報告。
とうとう、人類最後の切り札も終焉の時を向かえたのである。
このバンコマイシンでもうひとつ驚く話しをしておこう。
過日、デンマークでバンコマイシンに耐性があるバンコマイシン耐性菌(VRE)が検出された。
ただし、デンマークでは人間へのバンコマイシンへの使用はない。
では、何から検出されたのかというと、牛からである。
何故?と思う方は当ブログを遡っていただきたい。
畜産業や漁業で抗生物質と成長促進剤が使用されているという事を書いている。
日本国内では、医薬品として使用する抗生物質の3倍以上が畜産・農業へと使用されている。
しかも、デンマークの農場では、大規模農場により多く、バンコマイシン耐性菌(VRE)が発生していたということである。
やはり洋の東西を問わず、金儲けに糸目はつけないと言うことなのだろうか?
皮肉はさておき、耐性菌は医療施設のみから作られているわけではないのである。
あなたの周りにある牧場、養豚場、養鶏場、魚の養殖場から作られているのである。
我々は、そんなことを知らされずにこれらを口にしているのである。
もしかすると、これらを口にして、安易な抗生物質の摂取することにより、あなたの体内で脅威の耐性菌を作っている可能性が無ではないのである。
ただ、この農業・漁業が抗生物質や成長促進剤を使うと言うことには消費者にも問題がある。
消費者がより安い物を求めた結果が、大量生産でコストを安くしようと言う発想になり、安易な抗生物質・成長促進剤の使用へと繋がっていることは否めない。
そろそろ我々の思考も転換しなければいけない時期に来ているのではないだろうか?
少し脱線したが・・・次回へ。