前回の続き・・・。
前回、 30 年以内の発生が想定されている 3 つの大地震だが、この 3 つの地震を考えると、「液状化現象は、揺れる時間が長ければ、震度が小さくても発生する可能性があり、複数の悪条件が重なっている地域では、震度 4 でも発生する可能性がある」という原理に日本全国のいたるところが当てはまることになる。
現在、国では、液状化ハザードマップの作成を推進している。
これまでのマップは主に液状化危険箇所の周知を目的としたものであったため、なぜその場所で液状化の発生傾向が強いのか、液状化への備えとして何をすればよいか、等の液状化に対する理解を深め、事前対策への行動を促すための情報が不足していたと考えられる。
国土交通省では、液状化被害リスクを共有するためのツールや手法を検討し、令和 3 年 2 月に「リスクコミュニケーションを取るための液状化ハザードマップ作成の手引き」を作成・公表し、これらの情報を盛り込んだ液状化ハザードマップの作成と活用方法について示している。
最新の液状化ハザードマップは、地域の液状化発生傾向や液状化による宅地の被害リスクを確認するだけでなく、事前の対策として何が必要か、何をすべきか等を共有できるリスクコミュニケーションを図るためのツールとしても活用することが可能となるようだ。
行政による出前講座や地区で実施する防災訓練等で、マップをリスクコミュニケーションツールとして活用するためには、以下の 3 点の情報提供が重要なポイントとなるそうだ。
1 点目は、液状化しやすい場所を分かりやすく示すことを目的とした、「居住地域の液状化発生傾向を確認するための情報」
2 点目は、宅地液状化被害をイメージしやすくすることを目的とした、「液状化による宅地の被害リスクを確認するための情報」
3 点目は、前述の2点への理解を深め、事前対策・対応への行動を促すことを目的とした、「災害学習情報」
これらの情報を盛り込むことで、液状化のしやすい場所を避けた避難場所や避難路の検討・確認を行う等、地域防災の計画にも活用が可能となる。
貴方の住む地域は対応しているだろうか?
今後、液状化ハザードマップが未作成の市区町村は、前述の情報を掲載したマップの作成を進め、既にマップを作成している市区町村は、既存のマップが前述の情報を提供し、リスクコミュニケーションツールとして活用できるかを判断した上で、必要に応じて更新を行うことが望ましようだ。
市区町村によって液状化ハザードマップの担当部局は危機管理部局や都市部局など様々だが、お互い連携を図り、今後起こりうる地震に備えて、液状化ハザードマップを作成し、住民や事業者とリスクコミュニケーションを図っていくのがベストの災害対策となるのは言うまでもない。
内閣府では、「都道府県別地震被害想定概要集」なるものを公表している。
前回紹介した発生が想定される 5 大地震については、以下のようになっているのだが、興味のある方は覗いてみると良いと思う。
(4)日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震 (PDF形式:1.8MB)
また、各都道府県による地震被害想定調査結果もそれぞれ確認することが出来る。
例えば、今回の能登半島地震で被害を受けた石川県を例にとってみよう。
1 日 16 時 10 分ごろ発生した令和 6 年能登半島地震は、石川県能登半島北部、深さ 16km を震源とし、 M7.6 、最大震度 7 (志賀町)となっている。
想定では、季節も重なる冬の夕方で、石川県能登半島北部、 M7.0 、最大震度 6 強となっていたのだが、遥かにそれを上回った状況だ。
被害想定も、死者 7 人、負傷者 211 人となっているが、現実は、死者 241 人、負傷者 1,297 人となっている(消防庁情報: 2 月 22 日 14:00 現在)。
また、家屋被害に関しては・・・。
想定では、全壊 120 戸、半壊 1,689 戸、火災 0 件となっている。
しかし、現実は、石川県だけを見ても、全壊 8,783 戸、半壊 9,702 戸、火災 11 戸と被害は想定をはるかに上回っている。
如何に、地震による被害想定が難しいかが分かる。
次回へ・・・。