「真実の口」113 我々は何をすべきか?⑪

前回に引き続き林業について書こうと思う。食糧自給率という言葉は聞いたことがあると思う。

平成18年には、40%を割れ込んで39%となり大騒ぎをしていた。

その後、どうかというと平成20年度で41%と言うことらしい。

しかし、この食糧自給率という言葉にもカラクリがある。

これはカロリーベースで見た数字である。

野菜や果実は、同じ重量や同じコストで見た場合に、米や芋に比べて比較的低カロリーになる。

そのため、カロリーベースで計算すると、その食料を生産するために使った費用や労働力を正当に評価できないため、経済価値として考えた場合は、より的確に示すために生産額を用いる。

そうすると、平成20年で65%になる。

今回はこのことを論じるために引き合いに出したのではないので、農林水産省のHPを参考にして欲しい。

では、話を林業に戻し、木材自給率と言う言葉を聞いたことがあるだろうか?

これは、食料と同じように、国内で消費される木材の内国産はどの程度あるかという数字である。

日本は森林面積が66%と先進国の中でも有数の森林保有国である。

こう聞けば、誰もが木材自給率は高いのだろうと考えるのだろうが、平成20年度で24%である。

4分の3を輸入木材に頼っているのである。

では、何故、有数の森林保有国であるにも関わらず、このような現状になっているのだろう?

昭和20年~30年代にかけて、戦後の経済復興で空前の木材需要が巻き起こった。

しかし、その反面、戦争による乱伐で供給が追いつかなくなり、価格を高騰させることになってしまった。

この時期に合わせて、木材の輸入自由化が始まり、昭和39年には完全自由化になった。

原木市場から、伐採、搬出などに必要な経費を控除し、森林にある木を1立米売るといくらなのかという価格を、山元立木価格というのだが、昭和40年に約45,000円していた杉は10,000円前半まで落ち込んでいる。

林業は、昨日やったからと言って今日収益があがる産業ではない。

また、林業に携わる人たちは、大変な手間をかけている。

そのため、働けど働けど、費用ばかりかさみ収益の上がらない林業に、林業経営者も労働意欲を無くし、労働者も安易に収入を得るために都会へと流出していくと悪循環をくり返している。

昭和35年度には、44万人いた林業就労者数は、現在5万人そこそこしかいない。

林業に頼ってきた山村では、後継者問題、高齢化問題と問題山積になっている。

しかし、価格競争に勝てなかった国内林業は、昭和30年代に植裁した森林の伐採時期を迎えている。

これを機に、是非、一次産業への回帰を考えるべき時期に来たのではないだろうか?

次回へ・・・。