前回、“こんにゃくゼリー訴訟”について触れた。
内閣府国民生活局・消費者安全課は、こんにゃくゼリーによる窒息死を受けて、「こんにゃく入りゼリーを含む窒息事故の多い食品に係るリスクプロファイル」というものを調査・発表している。その中で、窒息事故が一番多い食べ物は“餅”であるとしている。
また、前回寄稿のリンクでも解るように、こんにゃくゼリーより、パン、米、飴、芋、団子等の方が死亡事故が多いのだから、こんにゃくゼリーを製造禁止にするのであれば、餅は勿論のこと、これらも製造中止にならなければいけない等と、大多数の人間が書き込んでいる。
そして、子供や高齢者の窒息は、保護者の責任であるという理論を展開している。
親あるいは保護責任者に、全く非がないかどうかは詳しい状況も解らないのでコメントのしようがない。
しかし、匿名で被害者に追い打ちをかけるような、恥ずかしい行為をしようとは思いも浮かばない。
・・・と、前置きはさておき。
そもそもこんにゃくゼリーとは何なのだ?
本来、ゼリーを作る際には、固めるためにゼラチンを使用する。
それを蒟蒻の粉末にすることにより、弾力の強い食感を持たせることが出来る。
最近では、健康やダイエットに良いなどと謳っているが、この独特の触感が最大の“売り”なのであろう・・・
しかし、容器から直接に食べるため、幼児や老人が噛まずに飲み込んだ場合、そのまま、喉に詰まらせ窒息しやすくなる。
日本国内では、1994年以降、54件の窒息事故、うち22件は死亡に至っている。
海外でも、実際に死亡事故も発生しているため、EUでは2003年からゼリー菓子の材料にこんにゃくを使用することを禁じており、韓国やアメリカ合衆国でもこれに追随する形で、販売の禁止または事実上の流通停止を行っている。
では、日本での対応は如何なのだろう?
メーカーによると・・・
のどに詰まらせる可能性があることを伝える注意表記を目立つようにした?
ゼリーの大きさや、通常のゼリーより硬いとされる硬さを変えるなどの対応をした?
しかし、それでも死亡者が出た。
また、あるサイトでこういうインタビューを見つけた。
あるメーカー担当者「約8年間も死亡事故の報告がなかったことで、改善を目指す姿勢に気の緩みがあった。」
別のメーカー担当者「そのまま吸い込む食べ方に問題がある。表示で注意は呼びかけているが、最近は大きな事故がなかったことで、消費者の側も気の緩みがあったのではないか。」
誰でもが口に入れることのできる食品を扱っているメーカーの担当者がこれなのだ・・・
何より驚いたのは、死亡事故が起き、裁判で係争中であるにもかかわらず、トクホ申請をしていたマンナンライフ社の姿勢である。
また、厚生労働省は、昨年8月27日、同社の「クラッシュタイプの蒟蒻畑」をトクホとして認め、消費者庁も、今年8月23日にトクホ表示許可を出しているのである。
今年の夏あたりから、♪蒟蒻畑がトクホになりました~♪と言うメロディに乗ったCMが流れている・・・
いかにもコンニャクが、健康に良くて、お国からお墨付きをもらったという感じに受け取れる。
しかし、同商品がトクホになった成分は、“難消化性デキストリン”であり、決して、コンニャクでは無い。
同社CMを見た消費者は、色々問題あったけど、国が認定するくらいだろうから、安全なのだと勘違いしないだろうか?
形状等々はともかく死亡事故が起きている成分が入った商品をトクホ申請する会社も会社だが、それを認定する国とは、どういう国なのだろう?
消費者である国民のことはそっちのけなのか???
少し怒りも入ったので、長くなってしまった・・・
次回は、“難消化性デキストリン”について、触れてみる。