突然だが・・・、皆は、人命救助をしたことがあるだろうか?
医師、看護士はもとより、ライフセーバー、救急救命士等の職業に就いていなければ、多くの人間の答えはNoではないだろうか?
しかし、どういう訳か(?)、私はそう言う場面によく遭遇する・・・。
それも、1度や2度ではない。
印象的に覚えているものだけでも、10度を軽く越える・・・。
古くは、子供の頃の水難救助に始まり、大学時代の学祭の食中毒騒動、事故を起こした飲酒運転者の救出、etc・・・。
しかし、明らかに、会田総研を設立してから、この頻度が増しているような気がする。
まず、設立間もない頃、東京の塗料メーカーを訪問する途中で、大型ダンプに小学生の男の子が巻き込まれる事故に遭遇した。
私と同行者が横断歩道で待っていると、左後方で、急ブレーキの音とドンという音が聞こえた。
事故を目の前で見たわけではないが、大型ダンプの後輪近くで男の子が倒れている状況を見て、身体が勝手に動き出してしまった。
私は、近くの人に救急車と警察を呼ぶように指示し、男の子に駆け寄った。
足が折れて、あらぬ方向に向いている・・・。
意識がある事を確認し、どこが痛いかと聞くと、お腹と足が痛いという・・・。
これは、動かさない方が良いと判断し、同行している人間に、痛快かいきいきパックを持っていないか聞いた。
いきいきパックを持っていると言う事なので、骨折している足に軽く巻き付け、腹部には軽く載せるだけにした。
しばらくして、救急車が到着したので、状況を説明した。
その時に感心したのは、救急隊員に、「このビニールは何ですか?」と聞かれたのだが、「これで、痛みが軽減するはずです」と答えると、救急隊員は、疑問も持たず、きちんと巻き直してくれたのが、印象的だった。
そして、現場を後にしようとしたところへ、救急車のサイレンを聞き、孫の帰りが遅いのを不安に思い、駆けつけた祖母がおろおろとしているのが目に入った。
私は、「命に別状はないようだから、貴女がしっかりしなくてどうする」と、一喝して、救急車に同乗させて、現場を後にした。
翌日、現場近くの警察署に電話してみると、男の子は骨折以外には、外傷がないということで胸をなで下ろした。
困ったのは、私の立場を説明することだった。
とりあえず、事故の現場で、救急活動をしていたものと伝えると、結構、あっさりと教えていただく事が出来た。
事故の状況について、詳しく聞く事があるかも知れないので、電話番号を教えて欲しいと言われて、教えはしたのだが、当時、我々以外にも目撃者が数十人いたので、電話が来ることはなかった。
そして、会田氏と二人で飛行機に乗っている時にも、現場に遭遇・・・。
会田氏と私は、最前列に座っていただのが、飛行機が駐機場から離れて、滑走路へ向かう途中に、3人掛けの右端に座っていた男性が、ガクンと意識を無くしたように、前方にうなだれた。
異常に気付いた客室乗務員が、駆けつけて、その男性に声をかけると、意識を取り戻したようで、客室乗務員が、「駐機場に引き返して、飛行機を降りるよう」に勧めるのだが、男性が、「大丈夫」と頑なに降機を拒否するので、そのまま、滑走路に入り、離陸することとなった。
離陸して、しばらくすると、その男性が、今度ははっきり解るように、半身をガクンと通路側にはみ出すように、気絶してしまった。
再度、客室乗務員が駆けつけて声をかけるが、今度はなかなか意識が戻らない。
テレビや映画で良く見かける光景だが、客室乗務員が、「お客様の中で、お医者様はいらっしゃいませんか?」と後方の客席に声をかけていた。
私らから、2列後方に医師が一人いたようだが、医療器具を何も持っていないので、何もする事が出来ないと言っている。
何も出来ないにしても、状況を見に来るくらいしろよと思いながらも、会田氏と私は、自分らにできることをすることにした。
「会長、クロス持ってましたよね?」
「うん」
・・・という、全てを語るまでもなく、阿吽の呼吸で、会田氏は抗酸化クロス(抗酸化溶液入りの糊でクロスを貼り合わせた物)を、その男性の腰にあて、左手をさすり続けた。
一時は、顔面蒼白になり、意識がもうろうとしていた男性も、徐々に意識を取り戻してきて、水平飛行に移るくらいには、正常に戻った。
男性に、持病があったのかと聞くと、今まで、こんな経験は一度もないという・・・。
我々が、居合わせていなかったら、どうなったことだろう???
次回へ・・・。