「真実の口」975 平成28年熊本地震から3ヶ月⑧

前回の続き・・・。

前回、産業面の被害について寄稿したが、今回は、全壊、半壊、一部倒壊等の被害を受けた被災地での住居問題について寄稿したいと思う。

被災地を訪れると、「被災建築物応急危険度判定」を受けた建物に3種類の色の紙が貼られている。

「被災建築物応急危険度判定」とは、大地震により被災した建築物を調査し、その後に発生する余震などによる倒壊の危険性や外壁・窓ガラスの落下、付属設備の転倒などの危険性を判定することにより、人命にかかわる二次的災害を防止することを目的としている。

「危険」と書かれた赤紙・・・。

被災建築物応急危険度判定・・・危険

◆この建築物に立ち入ることは危険です
◆立ち入る場合は専門家に相談し、応急措置を行った後にして下さい

「要注意」と書かれた黄紙・・・。

被災建築物応急危険度判定・・・要注意

◆この建築物に立ち入る場合は十分注意して下さい
◆応急的に補強する場合には専門家にご相談下さい

「調査済」と書かれた緑紙・・・。

被災建築物応急危険度判定・・・調査済

◆この建築物の被災程度は小さいと考えられます
◆建築物は使用可能です

家屋の所有者の今後を左右する文言が書かれている・・・。

誰が、調査するのかというと、「応急危険度判定士」という方達である・・・。

その資格は、以下、三要件を満たす必要がある。

①建築士法に規定する建築士(一級建築士、二級建築士、木造建築士のいずれの資格でもかまわない)であること。

②各都道府県に居住もしくは勤務していること。 登録が各自治体により行われるため。

③判定士の養成を目的とした講習会を修了していること。

講習会は各都道府県で実施されている。

平成27年3月末現在、全国に106,123人が登録されている。

平成7年の阪神淡路大震災以降、約10倍に増えている。

現地での調査はボランティアであるという。

被災地を歩いていると、素人目に見ると、損壊もひどくないのに赤紙が貼られていたりする・・・?

疑問に思い、赤紙を覗き込むと、“注記”の所に、「隣家倒壊の恐れあり」とある・・・。

その家ばかりでなく、周囲の状況まで考慮した上での判定となるようだ・・・。

今回の地震における応急危険度判定は、平成28年6月4日をもって終了している。

その結果は・・・。

判定件数

調査済み

要注意

危険

熊本市

30,487

14,126

10,514

5,847

益城町

9,769

3,006

2.957

3,806

西原村

2,703

610

725

1,368

御船町

1,426

311

480

635

菊陽町

152

38

67

47

宇土市

1,265

506

531

228

南阿蘇村

2,128

550

564

1,014

南小国町

219

153

50

16

山都町

65

12

33

20

阿蘇市

1,725

863

519

343

菊池市

593

196

197

200

甲佐町

1,543

465

545

533

宇城市

2,099

1,006

606

487

美里町

294

50

201

43

大津町

891

181

321

389

高森町

26

22

3

1

嘉島町

2,115

731

682

702

氷川町

70

7

34

29

合計

57,570

22,833

19,029

15,708

57,570棟の調査が行われ、危険が15,708棟、要注意が19,029棟、調査済みが22,833棟・・・。

熊本地震による被害で「半壊」以上と認定された建物に関しては、6月22日から、公費で解体する受付が始まっている・・・。

しかし、当然、これらの被災家屋に住まれていた方達の住居を確保しなければいけない。

次回へ・・・。