「真実の口」1,662 新型コロナウィルス・・・169

前回の続き・・・。

新型コロナウィルスに対するワクチン接種による副反応への続報が、先週、厚生労働省より報告された。

ワクチン摂取が開始された令和 3 年 2 月 17 日から令和 3 年 3 月 11 日までに、アナフィラキシーとして報告された事例が 37 件あった。

この情報を元に、“アナフィキラシー・ショック 37 件”という文言だけが独り歩きしているようだ・・・。

しかし、正確には、誤った情報である。

3 月 9 日までに報告された 17 事例を対象に、専門家が評価を実施した結果は以下の通りだ。

アナフィラキシーの症例定義として国際的な指標になっている「ブライトン分類」での評価は、 17 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 7 例となっている。

【ブライトン分類レベル】 件数
1 2
2 4
3 1
4 9
5 1

因みに、ブライトン分類レベルは以下のような評価法だ。

ブライトン分類レベル

前回、寄稿したアナフィラキシー事例にも、 1 例が重複するが前例を紹介する。

【事例 1 】
( 1 ) 患者背景
・ 36 歳 女性

( 2 ) 接種されたワクチンについて
・ファイザー株式会社「コミナティ筋注」/ロット番号: EP2163
・接種回数 1 回目

( 3 ) 予診票での留意点
・有 基礎疾患:難治性喘息( IgE 2019 年 5800IU/mL 、 2020 年 1 月 2654IU/mL )、アトピー性皮膚炎( 0 歳~)、甲状腺機能低下症( 20 歳~)、偽性副甲状腺機能低下症( 20 歳~)、卵巣嚢腫( 29 歳)
・内服:シムビコートタービュヘイラー 60 吸入 1 日 2 回、 1 回 4 吸入、レルベア 200 エリプタ 30 吸入 1 日 1 回 1 吸入、ホクナリンテープ 2mg、オノン( 112.5mg ) 2 カプセル、テオフィリン徐放錠 200mg 、サルタノールインヘラー 100μg 発作時 1 吸入、チラーヂン、アルファロール

( 4 ) 症状の概要
・接種日:令和 3 年 3 月 5 日午後 0 時 10 分
・発生日時:令和3 年 3 月 5 日午後 0 時 10 分
・概要:
> 3 月 5 日午後 0 時 10 分、ワクチン接種。接種後待機中、呼吸困難を自覚。咳嗽が徐々に増悪し、体中の掻痒感を自覚。
>午後 0 時 15 分頃、 SpO2 が 85-88%まで低下。酸素負荷、その後ネオフィリン注 125mg 、リンデロン注 2mg 点滴を開始。
>午後 0 時 30 分、 RICU に緊急入院。眼瞼浮腫、喘鳴、 SpO2 100%(酸素 4L )、血圧収縮期 150mmHg 程度、脈拍 70-80 /分、体幹に丘疹。
>午後 1 時 5 分、アドレナリン 0.3mL 皮下注。その後、喘鳴は徐々に改善。
>午後 4 時 19 分、酸素負荷終了。
> 3 月 6 日午前、一般病棟に転出。
>午後 4 時頃、吸気困難を自覚。サルブタモール吸入も効果なし。喘鳴は徐々に増強。
>午後 6 時頃、リンデロン 1.0mg 投与効果なし。 SpO2 は 98-100% 、心拍 70-80 /分であった。オキシマスク 2L 投与併用。意識障害はなかったが、発語は困難であった。
>午後 7 時 30 分、リンデ 3 ロン 3mg 投与したところ、徐々に呼吸状態は改善。
>午後 9 時頃には会話が可能な程度まで回復。
> 3 月 7 日朝時点、意識清明、会話可能、喘鳴なし、SpO2低下なし、リンデロン投与継続し、経過観察したところ再燃なし。
> 3 月 9 日自宅退院とした。

( 5 ) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)
・関連あり
・報告者意見:難治性喘息を基礎疾患に持つ女性に、コミナティ接種を契機にアナフィラキシーが出現した。いったん軽快したものの、次日には喘息発作、遅発性アナフィラキシー様反応と鑑別が困難な病状が出現し、 5 日間の入院を要した。コミナティ接種では、喘息やアレルギー素因に対し注意が必要と考えられ、問診での入念な確認も重要である。
・他要因の可能性の有無:有(難治性喘息)

( 6 ) 症状の転帰
・軽快(令和 3 年 3 月 9 日時点)

( 7 ) 専門家の評価
○ブライトン分類レベル: 1
○因果関係評価:α
○委員コメント:呼吸器、皮膚に Major な症状が接種直後から出現しているので、ブライトン分類レベル 1 に相当すると判断。

【事例 2 】
( 1 ) 患者背景
・ 24 歳 女性

( 2 ) 接種されたワクチンについて
・ファイザー株式会社「コミナティ筋注」/ロット番号: EP2163
・接種回数 1 回目

( 3 ) 予診票での留意点
・不明

( 4 ) 症状の概要
・接種日:令和 3 年 3 月 5 日午後 2 時 25 分
・発生日時:令和 3 年 3 月 5 日午後 2 時 50 分
・概要:
>午後 2 時 25 分、ワクチン接種。会場で 15 分待機した後に仕事に戻った。
>午後 2 時 50 分頃、上半身にじんま疹が発生した。心窩部痛、咳嗽、 37.6℃ の発熱も出現し、徐々に血圧低下、息苦しさも出現したためボスミン 0.3mL 筋注し症状は軽快した。

( 5 ) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)
・関連あり
・報告者意見:記載無し
・他要因の可能性の有無:無

( 6 ) 症状の転帰
・回復(令和 3 年 3 月)

( 7 ) 専門家の評価
○ブライトン分類レベル: 1
○因果関係:α
○委員コメント:上半身の蕁麻疹( Major 皮膚症状)、血圧低下( Major 循環器症状)が接種直後から出現しているのでブライトン分類レベル 1 に相当すると思われる。ただし、第 2 報の時点で詳細な血圧(実測値)の記載がないので、後に御報告願いたい。

【事例 3 】
( 1 ) 患者背景
・29 歳 女性

( 2 ) 接種されたワクチンについて
・ファイザー株式会社「コミナティ筋注」/ロット番号: EP9605
・接種回数 1 回目

( 3 ) 予診票での留意点

( 4 ) 症状の概要
・接種日:令和 3 年 3 月 8 日午後 2時 15 分
・発生日時:令和 3 年 3 月 8 日午後 2時 35 分~ 40 分頃
・概要:
>上記時間帯より、接種部位側の肘(屈側)周辺、右肘に膨疹あり。その後体幹(腹側)に同様の発疹出現。眼がちかちかし、頭痛あり。
>午後 3 時 20 分頃より、呼吸苦はないものの咳嗽が出現。皮膚症状、呼吸器症状でアナフィラキシーと判断。入院。
>午後 8 時 0 分頃より、消化器症状+眼症状+咳嗽+皮疹の悪化あり。ボスミン 0.3 mg 筋注し、すみやかに改善。経過よりアナフィラキシーと考えた。
>3 月 9 日、退院。

( 5 ) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)
・評価不能
・報告者意見:アナフィラキシーと診断。薬剤の因果関係は評価困難と考える。
・他要因の可能性の有無:有(慢性じんましんの既往有り)

( 6 ) 症状の転帰
・回復(令和 3 年 3 月 9 日時点)

( 7 ) 専門家の評価
○ブライトン分類レベル: 2
○因果関係:α
○委員コメント: Major な皮膚症状と Minor な呼吸器症状から、ブライトン分類レベル 2 と判断する。症例概要(第 3 報)に「消化器症状(ブライトン分類では Minor 基準の一つ)」と記載されているが、具体的な症状の記載はない。

【事例 4 】
( 1 ) 患者背景
・ 52 歳 女性

( 2 ) 接種されたワクチンについて
・ファイザー株式会社「コミナティ筋注」 ロット番号: EP2163
・接種回数 1 回目

(3) 予診票での留意点
・有(気管支喘息、オゼックスで膨隆疹、浮腫あり)

( 4 ) 症状の概要
・接種日:令和 3 年 3 月 8 日午後 2 時 57 分
・発生日時:令和3 年 3 月 8 日午後 3 時 2 分
・概要:
>接種後、 5 分経過時にのどが詰まったような感じがあり。乾性咳嗽や両手の痺れた感じ、頻脈、脱力感を認めた。血圧: 169/94 、脈拍 109 、 SpO2 低下なし 98%。
> 13 分経過時、 SpO2 : 96%。血圧: 116/73 と血圧低下あり。両手の脱力症状や咳、咽頭違和感、軽度の息苦しさは持続していた。ワクチン接種後、急速な咽頭違和感および咳などの呼吸器症状、血圧低下が見られた。即時型のアレルギー症状であり、アナフィラキシー、グレード 2 と診断した。喘息の既往があるためリンデロン点滴施行した。
> 2時間後に症状回復し、帰宅した。

( 5 ) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)
・関連あり
・報告者意見:記載無し
他要因の可能性の有無:無

( 6 ) 症状の転帰
・回復(令和 3 年 3 月 8 日時点)

( 7 ) 専門家の評価
○ブライトン分類レベル: 3
○因果関係:α
○委員コメント:呼吸器症状、循環器症状共に Minor 基準に相当することから、ブライトン分類レベル 3 と思われる。

【事例 5 】
( 1 ) 患者背景
・ 33 歳 女性

( 2 ) 接種されたワクチンについて
・ファイザー株式会社「コミナティ筋注」/ロット番号: EP9605
・接種回数 1 回目

( 3 ) 予診票での留意点

( 4 ) 症状の概要
・接種日:令和 3 年 3 月 8 日午後 3 時 5 分
・発生日時:令和 3 年 3 月 8 日午後 3 時 10 分
・概要:
>午後3 時 5 分、ワクチン接種
>午後 3 時 10 分、咽頭違和感、体幹と両側上肢の膨疹、咳、呼吸困難が出現した。アナフィラキシーと診断。
>午後 3 時 15 分、アドレナリン 0.3mg 筋注したところ、徐々に症状改善。
>午後 4 時 30 分、症状は消失。
>午後 6 時 0 分に咽頭部違和感が再燃したため入院となった。アレルギー歴:ネコ。

( 5 ) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)
・関連あり
・報告者意見:ワクチンによる副反応と考えられる。
・他要因の可能性の有無:無

( 6 ) 症状の転帰
・回復(令和 3 年 3 月 9 日時点)

( 7 ) 専門家の評価
○ブライトン分類レベル: 2
○因果関係:α
○委員コメント:なし

【事例 6 】
( 1 ) 患者背景
・ 27 歳 女性

( 2 ) 接種されたワクチンについて
・ファイザー株式会社「コミナティ筋注」/ロット番号: EP2163
・接種回数 1 回目

( 3 ) 予診票での留意点
有(卵アレルギーあり。インフルエンザワクチンで発熱・倦怠感の出現歴あり)

( 4 ) 症状の概要
・接種日:令和 3 年 3 月 8 日午後 3 時 15 分
・発生日時:令和 3 年 3 月 8 日午後 4 時 15 分
・概要:
>接種後 30 分から、倦怠感、呼吸困難が出現。
>接種後 1 時間、顔面浮腫・紅斑が出現し、呼吸困難も増悪傾向であったことから、アナフィラキシーと診断。ボスミン筋注し症状すみやかに軽快。経過観察目的に 1 泊入院。

( 5 ) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)
・関連あり
・報告者意見:記載無し
・他要因の可能性の有無:無

( 6 ) 症状の転帰
軽快(令和 3 年 3 月 9 日時点)

( 7 ) 専門家の評価
○ブライトン分類レベル: 2
○因果関係:α
○委員コメント:なし

【事例 7 】
( 1 ) 患者背景
・ 48 歳の女性

( 2 ) 接種されたワクチンについて
・ファイザー株式会社「コミナティ筋注」/ロット番号: EP9605
・接種回数 1 回目

( 3 ) 予診票での留意点

( 4 ) 症状の概要
・接種日:令和 3 年 3 月 8 日午後 1 時 30 分
・発生日時:令和 3 年 3 月 8 日午後 4 時 15 分
・概要:
>午後 1 時 30 分、コミナティ筋注を接種し、直後より口の中の苦みを感じた。
>午後 2時頃、腹部全体に腹痛が出現し、前胸部と上肢が発赤し掻痒感が出現した。上肢、前胸部の掻痒感は比較的速やかに改善したが、嘔気を伴う腹痛が 1 時間程度持続した。
>午後3 時 30 分頃、頭痛がありロキソニンを内服したが、ロキソニンは普段より内服しているとのことであった。
>午後 4 時 15 分頃より、乾性咳嗽が出現し、症状が持続するため受診し、アナフィラキシーと診断された。ルート確保の上、経過観察入院とし、ソルコーテフ 100 mg の点滴静注を行った。また、 SpO2 100% (室内気)、血圧 128/75mmHg と酸素化不良や血圧低下は認められていない。
> 3 月 8 日、アドレナリン 0.3mg を筋注した。
> 3 月 9 日 14 時に軽快退院した。

( 5 ) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)
・関連あり
・報告者意見:コミナティによるアナフィラキシーと考えられる。
・他要因の可能性の有無:無

( 6 ) 症状の転帰
・軽快( 3 月 3 日時点)

( 7 ) 専門家の評価
○ブライトン分類レベル: 2
○因果関係:α
○委員コメント:なし

以上、ブライトン分類レベル評価において、アナフィラキシーと診断されて 7 事例を紹介したが、実際は、その他の 22 例では、報告医評価では症状が“重い”と診断され、まだ( 3 月 7 日時点)、“未回復”という状況の方もいらっしゃるようだ。

アナフィラキシー事例報告

アナフィラキシーとして報告された事例の 37 件(後に 1 件取り下げ)のうち 36 件が女性で 1 件が男性となっている。

女性が多い理由として、ファイザーやモデルナのワクチンに含まれる“ポリエチレングリコール”という成分が一因ではないかと推測されている。

“ポリエチレングリコール”は、化粧品やシャンプー、ハンドクリームなどのほか、医薬品にも広く使われていることから、過去に免疫が異物と記憶していた可能性があり、化粧品やハンドクリームなど女性のほうが接触する機会が多いことも影響しているようだ。

看護師や病院事務など日本の医療従事者に女性が多いことも、少なからず関係しているとのではないだろうか?

次回へ・・・。