「真実の口」1,515 新型コロナウィルス・・・53

前週の金曜日、新型コロナウィルスに罹ってはいけない理由を寄稿した。

これらの理由以外に、もう一つ気になるニュースがあり、ずっと、続報を待っているのだが、一応、警告の意味もかねて寄稿しておこう。

中国湖北省人民政府が、 3 月 12 日、公式ウェブサイトで、『新型コロナウィルスが睾丸に損傷を与える恐れがあるとして、感染経験のある男性が検査を受けるよう注意喚起した。』というニュースだ。

中国湖北省人民政府公式Web site

中国本土では、 2 月上旬、連日 3,000 人を超えるペースで新規の感染者が増えたが、 3 月に入り、減少傾向が顕著となり、 12 日の発表では、新たな感染者は武漢市で 8 人、山東省で 1 人という状況だった。

中国の国家衛生健康委員会は、 12 日の記者会見で「感染のピークは過ぎた」との認識も示している。

そういう状況下での、中国湖北省人民政府の注意喚起である。

ウェブサイトに掲載された記事は、武漢にある華中科技大学同済病院の生殖医学センター李豫峰教授の研究チームが執筆したものらしい・・・。

記事では、新型コロナウィルスが睾丸に傷つけ、男性の生殖能力に影響を与えるという研究はまだないとしているが、新型コロナウィルスは SARS ウィルスと高い類似性があり、 SARS に感染した場合、睾丸炎を引き起こし、生殖能力に影響する細胞が多く破壊されると指摘している。

新型コロナウィルスも SARS ウィルスも、表面のスパイク蛋白質が、ヒト細胞上のアンジオテンシン変換酵素 II (以下、 ACE2 )受容体に結合し、細胞内部へ侵入するらしく、 ACE2 受容体は肺のほか、睾丸や精巣などにも多く含まれているそうだ。

また、記事では、「理論上から推測すれば、新型コロナウィルスは睾丸に損傷を与え、精子の形成と男性ホルモンの合成を阻害する恐れがあり、男性不妊に至る場合がある。」としており、妊娠を希望する場合、検査を受けるよう呼びかけたということだった。

しかし、同記事は間も無く削除されたようだ・・・( ̄へ ̄|||) ウーム

英 BBC では、この記事は「感染を抑え込んだ!」という中国政府の“戦勝気分”にそぐわないと分析している。

ただ、中国医学紙『健康報』でも、 2 月 25 日、新型コロナウィルス肺炎が男性の生育力に影響を与える恐れがあるとの記事を掲載しているようだ。

記事では、「ウィルスは精子の活動率を下げる。感染の後遺症は精子の質に影響する。肺炎の治療は腎臓の損傷を深刻化にする。」などの理由が挙げられていたそうだ・・・ゥ─σ(・´ω・`*)─ン…

各国の感染状況を見てみると、新型コロナウィルス感染症( COVID-19 )は、女性よりも男性の方が重症化しやすいという特徴を持っているのは間違いない。

そして、 4 月に入り、「なぜ男性の方が COVID-19 が重症化しやすいのか?」という疑問に対し、インドの医師が「新型コロナウィルスが睾丸に隠れることが原因」という仮説を科学誌に発表した。

medRxiv:
Delayed clearance of SARS-CoV2 in male compared to female patients: High ACE2 expression in testes suggests possible existence of gender-specific viral reservoirs
☞(訳):女性患者と比較した男性における SARS-CoV2 の排除遅延:精巣における高い ACE2 発現は、性別特異的ウィルス貯留層の存在の可能性を示唆している。

・インド・ムンバイ・リファレンスラボでの実験。
・年齢の中央値が 37 歳( 3 〜 75 歳)の合計 68 人の被験者。
・ 48 人( 71 %)の男性と 20 人( 29% )の女性。
・女性が男性よりも大幅に早くウィルス排除が達成。
・ PCR 検査陰性を達成するのに 2 日の中央値の差を観察(女性は 4 日、男性は 6 日)。
・男女の両方の患者がいる 3 家族の調査では、各家族とも、同家族の女性が、早い段階で感染から治癒。
・男性におけるウィルス排除遅延の理由として、精巣が、 ACE2 発現の最も高い部位の 1 つであることが判明。
・ ACE2 は、精巣細胞において、タンパク質レベルで高度に発現していることも確認。
・ ACE2 の発現は卵巣組織ではほとんど見られない。

精巣での ACE2 の高発現は、精巣がウィルスを貯蔵する役割を果たす可能性がある。

これが、 4 月 16 日の発表である

そして、これらの仮説を受けて、 4 月 18 日にアメリカの医師たちがニュース紙に掲載したのが以下である。

Los Angeles Times:
Do testicles raise coronavirus risk for men?
☞(訳):睾丸は男性のコロナウィルスのリスクを高めるか?

・女性は、コロナウィルスが細胞に侵入する機会を多く提供するが、男性の精巣は、ウィルスにさらなる侵入口を与えるかもしれない。
・睾丸は、免疫系から隔離されているので、ウィルスが追い出される最後の隠れ場所なるかもしれない。

これらの仮説には、 3 つの重要なポイントがある。

First:「ある種のウィルスは体の免疫機能を回避するために体内の一部に隠れる性質を持つ。エボラウィルスは、網膜内の色素細胞に隠れることが知られている。この性質によって、エボラウィルスは、エボラ出血熱を完治した患者の網膜に残留し続けることが分かっている。」

Second:「新型コロナウィルスはヒトの細胞内に侵入する際、 ACE2 という酵素を利用する。 ACE2 は、人体に広範囲に存在しているが、特に、肺・胃腸・心臓に豊富に存する。そして、女性の卵巣には ACE2 がほとんど存在していない一方で、男性の精巣には、 ACE2 が高い割合で存在している。」

Third:「新型コロナウィルス流行から浮上している明確なパターンを説明するのに役立つかもしれない。確認された症例の発生率は、性別では、ほぼ同じだが、男性は、中国、韓国、イタリア、アメリカ合衆国において、女性より高い確率で死に至っている。ニューヨーク市では、新型コロナウィルスに起因している死では、男性が 68% 、女性が 32% である。」

まあ、どちらの記事も、早急な結論が出るものではなく、更なる研究が必要と結論付けている。

そして、 5 月に入り、 7 日、新型コロナウィルス感染症の男性患者の精液からウィルスが検出されたとする中国での研究が、医学専門誌「 JAMA Network 」で発表された。

Clinical Characteristics and Results of Semen Tests Among Men With Coronavirus Disease 2019

JAMA とは、 The Journal of the American Medical Association の略称で、「米国医師会雑誌」とも呼ばれ、米国医師会によって年に 48 回刊行される、国際的な査読制の医学雑誌である。

同誌は世界で最も広範に読まれている医学雑誌であると言われている。

新型コロナウィルスは、飛沫や接触、エアロゾル等で感染することは知られているが、ウィルスは便、尿、唾液などからも検出されている。

中国河南省にある商丘市立医院( Shangqiu Municipal Hospital )の研究チームは、新型コロナウィルスが精液中に存在するかどうかを調べるための検査を実施した。

検査では、 15 歳から 50 歳代までの新型コロナウィルス感染症患者 38 人の精液が調べられた。

検査の結果、 6 人の患者の精液から新型コロナウィルスに由来する遺伝物質が見つかった。

このうちの 4 人は「急性感染期」にあり、 2 人は「回復期」にあった。

急性感染期って、どの状態の時期なんだ?

『急性感染期』を検索してみた・・・\_((ヾ(`・∀・´*)カタカタ

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急性期とは、簡単にいうと「病気になりはじめた時期」のことで、病気やけがによる症状が急激に現れるため、患者さんの身体的、精神的な負担が大きい時期。

急性期は経過が早く、刻一刻と変化していく患者さんの状態をしっかりと把握することが必要。

たった数時間でもがらりと容体が変わっていることも多い。

現在だけでなく「朝はこうだった」「 1 時間前にはこうだった」といった的確な状況報告、素早い判断、迅速な対応が求められる。

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いやはや、そんな時に精液採取とは、恐ろしい国である・・・(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

ついでに、『精液 + ウィルス』も検索をしてみた・・・\_((ヾ(`・∀・´*)カタカタ


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エボラウイルス病の性感染に関する暫定的なアドバイス/ WHO

【 2016.1.21 WHO 】

世界保健機関( World Health Organization:WHO )は、 28 日、エボラウィルスは精液中に少なくとも82日間にわたって生存可能であるとの研究結果を発表した。

WHO は感染後に治療中の男性に対してエボラ出血熱の症状が出てから 3 ケ月間はコンドームを使用するよう呼び掛けている。

WHO は声明で、「この期間には性的接触によってエボラウィルスの感染が起きる可能性があることから、回復した男性は自慰行為後の衛生状態を良好に保つ必要がある。また、症状の出現から 3 か月は性行為(オーラルセックスを含む)を控えるか、それができない場合はコンドームを使用する必要がある」と警告した。

エボラウィルスに感染した計 43 人を対象とした 4 件の研究の結果、エボラ出血熱から回復した男性 3 人の精液中に、症状の発現からそれぞれ 40 日後、 61 日後、 82 日後にもウィルスが生存していたことが確認されたという。

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エボラウィルスに関しては、感染から半年経過した後に、パートナーに性行為を介してエボラをうつしてしまった事例も報告されているようだ。

つまり、この事例では半年後も精液中からエボラウィルスが検出されていたということだ。

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ジカウィルス、症候性男性精液の3割から検出/ NEJM

【 2018.4.12 NEJM 】

米国疾病管理予防センター( CDC )の Paul S. Mead 氏らが、 185 例の男性患者を対象に行った前向き試験の結果、蚊媒介性のジカウィルス(以下、 ZIKV )は、症候性の男性約 3 割の精液中に、また約 4% の尿中に存在していたことが明らかにされ、 6 ヵ月以上残存する男性もいたという。

一方で、感染性 ZIKV が検出されたのはごくわずかで、そのすべてが発症後 30 日以内に検体が採取された男性だった。

研究グループは、症候性 ZIKV 感染の男性 185 例を対象に試験を行い、 ZIKVの精液や尿への排出頻度とその期間について検証し、排出期間の長期化についても、そのリスク因子を特定する検討を行った。

発症後 6 ケ月間に検体を月 2 回採取し、 ZIKV RNA については RT-PCR 法で、感染性 ZIKV についてはベロ細胞培養とプラークアッセイで検出した。

発症後 14 ~ 304 日の間に、精液は 184 例から 1,327 検体、尿は 183 例から 1,038 検体、それぞれ採取された。

その内、 ZIKV RNA が検出されたのは、精液検体では 60 例( 33% )、尿検体では 7 例( 4% )で、発症後 30 日以内に精液採取を行った人のうち ZIKV RNAが検出されたのは、 36 例中 22 例( 61% )だった。

精液中への ZIKV RNA 排出は、発症後 3 ケ月間に大幅に減少したが、 1 例( 1% )では 281 日後に検出された。

ZIKV RNA 排出長期化に関する独立リスク因子は、高年齢、射精回数の低頻度、発症時での特定の症状だった。

また、感染性 ZIKV が分離されたのは、 ZIKV RNA が検出された精液 78 検体のうち 3 検体と少なく、その全てが発症後 30 日以内に採取されたもので、精液中 ZIKV RNA 量は 7.0log10コピー/mL 以上だった。

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ジカウィルス感染症は 2016 年に行われたリオ・オリンピックの際に、一部競技者が参加を取りやめたことでも話題になったが、ブラジルで流行した蚊媒介性感染症であり、感染した妊婦さんの一部で胎児に小頭症などの先天異常がみられたというニュースも衝撃を与えた。

このジカウィルス感染症は、性感染症としての側面があり、ジカウィルス感染症の流行地域から帰ってきた人と性交渉をした後にジカウィルス感染症を発症した事例が複数報告されている。

その後、ジカウィルス感染症患者の精液や腟分泌液からジカウィルスが検出され、性行為で感染することも確認されている。

このように、これまでにも、ウィルスが精子内で発見されている例がある・・・。

この新型コロナウィルスが性感染症になるのかどうは、まだまだ、これからの研究に寄るところが大きいようだ。

唾液から新型コロナウィルスが検出されていること、舌には ACE2 受容体が多数発現していることから、一般的な性行為より、キスだけでも感染リスクがあるので、どうやって調べるのかは不明だ・・・(笑)。

ただ、睾丸を隠れ蓑にして、身を潜め、長期間生存することが出来るとしたら、人類にとってはかなりの脅威となるかもしれない。

子孫繁栄が絶たれる・・・?

文明の発展と言う名のもとに、自然を破壊し、我が物顔に地球を荒廃させている人間への地球からの警告でなければ良いのだが・・・( ̄ー ̄)フッ

次回へ・・・。